あらすじ
「買えば、一生安心」は大間違い。
マンションは「終の住処」ではありません。
――なぜ、すべてのマンションに廃墟化の危機が訪れるのか?
マイホームを購入するほとんどの人が、「一生住むこと」を前提に家を買っている。そのために何千万というお金を借りる。
だが、じつは日本に存在する分譲マンションのほとんどが、廃墟化への時限爆弾を抱えいている。
その理由は、現在のマンションにおける所有形態、つまり区分所有制度にある。
この制度には決定的な欠陥があり、これを改めない限り、すべてのマンションは廃墟化への軌道をひたすら突き進むこととなる。
なぜ、「終の住処」であるはずのマンションが廃墟になってしまうのか?
どのようにして、廃墟への道を進むのか?
どうしたら廃墟化を食い止められるのか?
住宅ジャーナリストがその危機的現実と解決策を提示する。
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Posted by ブクログ
面白かった。
バブルの遺産みたいな廃墟の話とか大好物なのだけど、それはそれとして、新築ではないけれど分譲マンションに住まう身として、将来的な展望(終わり)をちゃんとイメージしたことがなかったので、なかなか考えさせられる内容だった。
区分所有法とか管理組合運営とか、マンションに住んでいる以上はちゃんと知っておかねばと思うし、ゆくゆく子に負の遺産を負わせないようにしたい。
Posted by ブクログ
近年空き家が増えている、という話を聞く。
正直不動産の知識があるわけではないので、この本を読んでも理解できないことは多かった。ただこの先何年、何十年と経ったら空きマンションが増えて問題になりそうだという、ある種当たり前ではあるが自分にとって驚きでもある考えを知ることができた。それだけでも読んでよかったと思える1冊だった
Posted by ブクログ
現在、マンションの購入を検討しているタイミングで刺激が強いタイトルだが、購入前の夢見心地の時に負の面を示してくれて大変参考になった。
参考になった点を挙げる。
1.借入額は世帯年収の5倍程度(できれば4倍台)
2.総会議事録を確認せよ
総会議事録とはマンション内の水漏れや争い事が記録されている。区分所有法で利害関係人(購入検討者も含まれる)の請求があった場合は閲覧を拒んではならないので、これを過去3年分くらい熟読する。
3.管理会社をうまく使え
管理会社と管理組合は利益相反の関係。しかし、管理会社は上手に使えば役に立つし、理事会の負担を軽減してくれる。適度な距離を保ち、監視する。
また、著者が懸念していた点について法改正があった。
NHKニュース(2025年5月23日)より
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改正区分所有法などでは、老朽化したマンションが増加する一方で、「建て替え」などが十分に進んでいないことを踏まえ、マンションの管理組合が建物の「取り壊し」や「売却」、「リノベーション」を行う際の決議について、これまで必要だった「全員の同意」を緩和し、「5分の4の賛成」でも可能とします。
(中略)
施行は一部を除き来年4月です。
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ハードルが高かった全員の同意が必要なのが緩和される。これで懸念事項のマンションの出口戦略に兆しが見えたか。
Posted by ブクログ
増築が進む分譲マンションに関し、将来的な見立てをまとめた一冊。基本、マンション保有者からするとホラーシナリオが展開されていたが、納得感はあった。
住居を選ぶ際、特に念頭に置きたいことは以下の通り
・不動産の価値を決めるのは、土地>建築物
・35年ローンを組んだ後に残るのは、資産価値が著しく低下したマンション
・マンションの行く末(老朽化対策/取り壊し等)を決めるのは、区分所有者により構成される管理組合。合議制のため、管理組合内での方向性を定めるのが難しく、また理事による組織腐敗等、様々な問題が噴出する可能性が高い
・現在の金利は史上最低水準。今後、上がることはあっても下がることはない。この中で限度額ぎりぎりまで住宅ローンを組むのが現実的か?
・管理会社と管理組合は、基本的に利益相反の関係。全てを管理会社に任せていると、カモにされる
・現行の区分所有法は、個人の権利や民主主義的決定を重んじる余り、管理組合の腐敗を許容するザル法とも言える
Posted by ブクログ
■感想
マンションの管理面でのリスクと対策について紹介されている。
不安を煽る様な表現が多いが、マンションに住んでいる、もしくは検討している人は読んでおいた方がいい内容だと思った。
■今後の行動
・検討しているマンションの住民が管理費や修繕積立金への意識が高く、また滞納がないか、重要事項説明書や総会議事録を事前に読んでおく。
・マンションを買ったとしても、1000万円以上で売れるうちに売る。
・そもそも、自分の好みよりも「すぐに買い手がつきそうか」の観点で、買う物件を選ぶ。
Posted by ブクログ
この三連休の中日の夕方、私の住んでいるマンションの街区で「夕涼会」があったので妻と参加しました。簡単な出店しか出ていませんでしたが、ビールとフランクフルトで私は十分に楽しめました。音楽はカセットテープレコーダーから、80年代の音楽が流れていて気持ちよかったです。
周りを見渡すと、小学生は少しいるものの、全体的には私達夫婦(50台)以上のカップルが多い気がしました。住みやすいマンションなので、引っ越す人も少ないのかもしれませんが、高齢化は確実に進んでいます。
私は今から20年程前にローンを組んで中古でしたが今住んでいるマンションを購入し、やっとローンを返し終わったところです。そんな私にとって、この本のタイトル「すべてのマンションは廃墟になる」は衝撃的で、読まずにはいられないと思いました。
以下は気になったポイントです。
・ノンリコースローンとは、一定の猶予期間を後に、抵当権を実行して担保にしている住宅の所有権を取得、借り手は自宅を失うが、それで返済は免れるもの(p37)
・日本人の新築好きの理由、1)新しいものは「清く」古いものは「穢れ」とされる、2)半世紀程前までは木造一戸建てに住んでいて、自然災害で被害をうけるため、安普請(p43)
・購入価格が家賃の30年分以上になるような場合は、賃貸にしておいたほうが良い(p54)
・借入額は余裕をもって決めるべき、限度ギリギリの年収7倍はもってのほか、せいぜい4-5倍が良い(p60)
・建築精度は長谷工が最も安定している、作るマンションが極めて画一的、単純な設計だから(p77)
・総会議事録は区分所有法のなかで、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない(33条2)利害関係人とは、区分所有者はもちろん、購入検討者も含まれる(p80)
・マンションの価値は、9割が立地(最寄り駅からの徒歩分数)、間取りと面積、価格で決まる(p82)
・購入した時点で、購入者の意思にかかわらず決まっているもの、1)管理規約、2)管理会社、3)管理費・修繕積立金、4)長期修繕計画(p103)
・管理組合も優先順位の高いもの、1)資産価値保全のための業務(管理要員の仕事内容)、2)資産の適正活用と会計処理、3)長期視点にたったメンテナンス、につきる。上手に管理会社やコンサルタントを使う(p110,114)
・競売を申し立てる場合、申立人は個人か法人でなければならない、管理組合が法人化していない場合、理事長の名前で申し立てを行うことになる(p125)
・特別決議が必要な議案とは、1)管理規約の変更、2)共用部分の用途変更、3)管理組合の法人化(p146)
・管理組合が法人化になるメリットとは、区分所有者になれること。滞納が5年分に達した場合は、所有権が管理組合に移転する、という制度をつくれば、管理組合は自らの債権を証明するだけの簡単な裁判で競売したのと同じ状態にできる(p170,174)
・タワーマンションの上層階は、雨風が横殴りに吹き付けるので、シーリング剤の劣化が進むため、15年に一度くらいは劣化したシーリング剤を修繕しなければ、外部からの浸水を防げない(p101)
2019年7月19日
Posted by ブクログ
タイトルは盛ってるのかと思いきや、管理組合の持続不可能性や腐敗不正のしやすさなどに触れていて、確かに放っておいてマンションが上手く運営されることは無いと思わされる内容でした。
Posted by ブクログ
文字通り、マンションの資産価値は目減りするので買っても意味ないことを説いた一冊。
また、買った後の管理組合も、管理会社や一部の住人に牛耳られたりするケースもあり、中々大変ということがよくわかった。
Posted by ブクログ
管理費等の3年分払うと、マンションを引き取るビジネス。
管理組合が落札して転売する。
分譲マンションには出口がない。
パワーカップル=夫婦二人で年収1400万以上。
マイホームはできるだけいいものを、と思うのでギリギリの物件を買ってしまう。
管理費滞納が3割を超えると廃墟化する。
理事長が管理組合を私物化する例。
しっかりメンテナンスする以外に出口はない。
資産価値が500万を切ると、意識が向かなくなる。
管理組合が法人化すれば、落札して所有者になれる。
不動産をタダであげるサイトが注目を集めている。
1000万以上で売れるときに売る。
Posted by ブクログ
高齢者たちが寄り添って時間を過ごす施設になる
温泉付きリゾマンは入りたくなる風呂じゃなくなります
固形物が浮いてたらどうする?
有料粗大ゴミとしてのマンションがすでに出始めている。
横領された修繕積立金。やる気ない管理組合。利益相反行為。出口戦略のない老朽マンション。自主管理は廃墟の入口。明るい話のない内容だった。
Posted by ブクログ
日本では有史来、天寿を全うしたマンションはない。理由は
①そもそも鉄筋コンクリートは、人の寿命より長持ちするのか?
②区分所有法がもたらす、存在しない出口戦略
これに限ります。これは都心部のマンションでも該当する問題になるとのことです。
我々日本人は、大金を投入して壮大な社会実験をしている最中なんですね。
マンション購入とは、入り口は薔薇色であっても出口は絶望しかない。
これからマンション購入(既にしている人含め)を検討している人は、事前知識として現実を知っておいた方がいいでしょう。
評論家の本なので、時間潰しの読み物として面白かったです☆