あらすじ
真面目さが取り柄の会社員・渡会透子は、ひょんなことから名探偵・九条清春の秘書になる。かつて九条は全国を股にかけ、多くの難事件を解決した素人探偵だったが、今は地元・川崎市内というご近所でのささやかな謎にしか興味を持たない、自称“ご当地探偵”になっていた。そんなモットーを掲げ、極めてマイペースで普段はぐうたらに過ごす九条の尻を叩きつつ、透子は奇妙な謎と向き合う。ご当地アイドルに届いた予告状、川崎市出身のオリンピック選手の行方不明事件など全5編。ものぐさ探偵と生真面目秘書が依頼人の悩みを晴らす、連作ミステリ。
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Posted by ブクログ
川崎市というと修羅の国などと揶揄されたりしますが、実際はそんなことのない普通の町だと思います(場所によるのかな?)。この小説は、そんな普通の町で起こった些細な事件を解決する“ご当地探偵”という、一風変わった設定。
作品内で発生する事件は日常+α くらいの規模で、それらは実際に川崎市にあるらしいスポットで発生するので、川崎になじみのある私的には知っている場所が出ると「おぉ、あそこか」とそれだけで少しテンションが上ります。
それに加え、九条と透子のやりとりがボケとツッコミの漫才っぽくて、これも面白い。九条が仕事を選びすぎてゴネるのを、透子がなんとか受注しようと奮闘するやりとりが良くて、事件解決よりも九条になんとか依頼を受けてもらうほうをメインするという話を読んでみたいなどと思ってしまいました。
あとがきによれば、登場させたかった場所やイベントなどがたくさんあったそうなので、他のスポットや川崎の有名サッカーチームなどと絡む続編を期待したいところ。
Posted by ブクログ
色々あってご近所専門となった風変わりな探偵と、成り行きで彼の助手を務めることになった仕事はできるマジメな秘書が直面する、ご近所の謎の数々を描いた物語。
「聴き屋」シリーズを楽しんで読んでいたので、久しぶりの著作というのがまず嬉しかったです。前作までと同様に、会話と文章のテンポよく、複雑すぎない謎解きも楽しめたお話でした。
何故ご近所限定になったのかの理由は明かされませんでしたので次作以降があればいいなと。後味の良い話が多いなと思っていたら、「そういう謎を選んでいた」というのも、なんとも含みがあるので、ぜひ続編をお願いしたいです。