【感想・ネタバレ】予告状ブラック・オア・ホワイトのレビュー

あらすじ

真面目さが取り柄の会社員・渡会透子は、ひょんなことから名探偵・九条清春の秘書になる。かつて九条は全国を股にかけ、多くの難事件を解決した素人探偵だったが、今は地元・川崎市内というご近所でのささやかな謎にしか興味を持たない、自称“ご当地探偵”になっていた。そんなモットーを掲げ、極めてマイペースで普段はぐうたらに過ごす九条の尻を叩きつつ、透子は奇妙な謎と向き合う。ご当地アイドルに届いた予告状、川崎市出身のオリンピック選手の行方不明事件など全5編。ものぐさ探偵と生真面目秘書が依頼人の悩みを晴らす、連作ミステリ。

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Posted by ブクログ

この著者らしく楽しいキャラクタの楽しい会話。いつも怒ってるような表情の真面目秘書の透子さんが魅力の中心。かつて全国でブイブイ言わせてた探偵の九条清春は地元のゆる〜い謎だけを扱いたいという。

■簡単なメモ

【予告状ブラック・オア・ホワイト】ご当地アイドル「ブラック・オア・ホワイト」に脅迫状。犯人を見つけるか護衛するかしてくれとの依頼を、真面目秘書の透子はやる気ない探偵の九条清春に引き受けさせる。
【桐江さんちの宝物】桐江さんが遺した箱を開けずに中の「宝物」が何か知りたいと志乃さんは言う。
【嘘つきの町】五輪で思うような成績を残せなかった地元の柔道選手について何か不自然な嘘を突かれているとライバル選手が謎を提示した。
【おかえりエーデルワイス】夢見ヶ丘動物公園のリスザルが狙われている?
【絵馬に願いを】九条の知人、一水が奉納した絵馬がなくなった謎を解けという依頼。

■簡単な単語集

【一水充/いっすい・みつる】九条の知人。一水グループは日本有数の企業グループだったが経営不振で解体された。充は九条清春のせいで一水グループが解体させられる羽目に陥ったと思っているようだ。
【犬飼恵理】地元の夢見ヶ崎動物公園の飼育員。リスザルを守ってくれと依頼してきた。
【ウィデール】探偵事務所の入っているビルの一階にある喫茶店。白川美優がアルバイトしている。マスターは痩せぎすで百八十センチくらいの長身。
【小田切虎徹/おだぎり・こてつ】がっしりした肉体を持つ二十八歳。九重電産社員。九重電産は九条グループの傘下。
【川崎市】物語の舞台であり、「ご当地」。
【川崎大師】初詣の参拝客数が全国二位らしい。
【企業グループ】九条の他に三笠、五堂、七峰などがある。一水というのもあったが経営不振で解体された。
【九条清春/くじょう・きよはる】探偵。二十八歳。やる気なし。中学時代から去年まで素人探偵として全国でブイブイ言わせていたが急に疲れを感じてしまい地域密着型探偵として身近でささやかな案件を扱いたいと思うようになった。美容には詳しい。
【九条清春の祖父】九条グループの会長。奔放なタイプ。気まぐれで子会社を訪れることあり。透子に清春の秘書をやってくれと頼んだ。理由は「直感」(よく当たるらしい)。
【九条家】国内有数の企業グループのひとつ。会長秘書によると《九条家の方々は特定の技能が優れている代わりに、ほかの面はポンコツなことが多いので、覚悟しておいてください。》p.70
【黒川茜/くろかわ・あかね】ご当地アイドル「ブラック・オア・ホワイト」の一人。二十歳で最近酒の味を覚え飲み歩いてる。オーラは強い。実家は川崎区で黒沢文具店を営んでいる。コンサート直前、カルガモにエサをやっていた。
【黒川志乃/くろかわ・しの】茜の祖母で黒川文具店の経営者。
【五堂】九条の知人。中年女性っぽい。神奈川県警にコネを持っているを
【ご当地探偵】事件性がある案件、血なまぐさい案件、独自基準の全国レベル、県レベルは扱わず、市内レベルの小さな案件だけを扱っている。
【下村桐江】黒川志乃の幼馴染だが十日ほど前に亡くなった。漆塗りの箱に「宝物」が入っていると言っていた。夫が立ち上げた下村陶苑の二代目。三代目は息子の俊之。嫁の忍とは折り合いが悪かった。
【三笠】九条の知人。九条に気があるらしいが冷たくされて喜んでいるタイプ。
【白川美優/しらかわ・みゆ】ご当地アイドル「ブラック・オア・ホワイト」の一人。十六歳の高校生。実家は幸区で白川ベーカリーを営んでいる。
【白川康弘/しらかわ・やすひろ】ご当地アイドル「ブラック・オア・ホワイト」のプロデューサー。最初の事件の依頼人。
【須磨】夢見ヶ丘動物公園の園長。飼育員としての経験もあるが今は事務方。
【掃除】やればやるほど成果が出るので透子はわりと好き。
【透子/とうこ】探偵秘書。二十五歳。真面目でデキる女。何かやらねばならぬという義務感のようなものがあるらしい。無理矢理でも仕事を見つけてきたい天然ワーカホリック。「ブラック企業? ムシロ好物デス」もいうタイプ。いつも怒っているような表情。不測の事態には滅法弱い。
【七峰】九条の友人。七峰グループの一員。三ツ星レストランでソムリエをやってる。妹と九条を食事させたがっている。
【波多野】夢見ヶ丘動物公園の飼育員。サル担当。笑顔の似合う好青年。
【船見芽衣/ふなみ・めい】川崎大師のお守りお授け所の窓口で暇そうにしていた巫女さん。探偵の素質がある? ちょっと東北っぽい訛が感じられる。
【ミシェル】夢見ヶ丘動物公園のヨウム。犯人のらしき言葉を覚えていた。
【山本龍雄】柔道のオリンピック選手。この町の出身。小田切のライバル。警備会社勤務。
【リスザル】あまり高額ではないらしい。
【料理】かけた時間と食材が台無しになるリスクを伴う行為であり透子の場合リスクを負う確率がやや高い。
【渡会透子/わたらい・とうこ】→透子

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2024年07月25日

Posted by ブクログ

川崎ご当地ミステリー。ご近所の小さな事件ばかりですが、それぞれの謎は結構こった作りになっていて面白いです。

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2019年10月11日

Posted by ブクログ

探偵の活動内容に県レベルやご当地レベルなどの基準を設けている発想や、探偵と秘書の掛け合いも面白かったです。

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2019年09月20日

Posted by ブクログ

緩い探偵九条としっかり秘書透子のやりとりが軽快で好き。掛け合いが楽しい。そしてご当地探偵らしく地域の謎を解き明かしていくんやけど、人の優しさにホッとしたり救われたりした。是非シリーズ化してほしい。

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2023年08月07日

Posted by ブクログ

全国を股にかけて多くの難事件を解決してきた探偵が、地元・川崎の事件しか請け負わないご当地探偵に転身。ものぐさな探偵と、ひょんなことから彼の秘書になった生真面目タイプの女性が依頼人の悩みを解決していく短編集。
日常の謎で、事件のインパクトはないが人情話として後味がいい話が多い。聴き屋シリーズもそうだが、この著者のキャラはとぼけた味があって好き。続編を期待したい。

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2022年05月12日

Posted by ブクログ

ケンカばかりだけど周りからは「仲良しねぇ」と言われてしまう関係はよく見るけど、この探偵と秘書は普通に相性悪くて笑ってしまう。

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2021年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

川崎市というと修羅の国などと揶揄されたりしますが、実際はそんなことのない普通の町だと思います(場所によるのかな?)。この小説は、そんな普通の町で起こった些細な事件を解決する“ご当地探偵”という、一風変わった設定。

作品内で発生する事件は日常+α くらいの規模で、それらは実際に川崎市にあるらしいスポットで発生するので、川崎になじみのある私的には知っている場所が出ると「おぉ、あそこか」とそれだけで少しテンションが上ります。

それに加え、九条と透子のやりとりがボケとツッコミの漫才っぽくて、これも面白い。九条が仕事を選びすぎてゴネるのを、透子がなんとか受注しようと奮闘するやりとりが良くて、事件解決よりも九条になんとか依頼を受けてもらうほうをメインするという話を読んでみたいなどと思ってしまいました。

あとがきによれば、登場させたかった場所やイベントなどがたくさんあったそうなので、他のスポットや川崎の有名サッカーチームなどと絡む続編を期待したいところ。

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2021年04月29日

Posted by ブクログ

主人公の九条と秘書の透子との毎回のやりとりが面白く、私の地元である川崎市が舞台ということもあり、どこか知っているところは出て来ないかとワクワクしながら読むことができた。

全5話の構成の中でも個人的には2話目の
桐江さんちの宝物が一番面白かった。

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2021年01月23日

Posted by ブクログ

ブラック・オア・ホワイトって怪盗が出てくるシリーズかと思ったら全く違った。能力はあるのにやる気を出さないゆるゆるした探偵と、そのお尻をたたく秘書のコンビが良い。川崎限定の探偵で、ラゾーナとか川崎大師など知ってる場所が出ていたからより楽しめた。

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2020年05月10日

Posted by ブクログ

川崎市限定の『ご当地探偵』こと九条。ものぐさな彼を心配して祖父が送り込んだのは、真面目さだけが取り柄の透子。
アンバランスな二人が様々な依頼に取り組んでいく。

これまで様々な難事件を解決してきたらしいが、なにか思うところあって『ご当地探偵』に趣向を変えたという九条。
部屋は散らかり放題、できるだけ働きたくないという、透子から見ればダメ人間。
一方の透子は仕事なら辛いこともきついことも我慢してやらねばという真面目さと責任感が強すぎる猛烈社員タイプ。
二人の噛み合わなさそうで噛み合っている会話がなかなか面白い。

作家さんのあとがきにもあるが、基本的にイヤな結末は無い。
川崎市は作家さんにとっても地元らしく、その地元で起こる事件を陰惨なものにしたくなかったという思いがあるらしい。

ご近所で起こる小さな事件を、ご近所探偵が解決するのだから、その後味が悪ければご近所との付き合いもイヤなものになってしまう。だからこその柔らかい設定だろうか。
とは言え、発端は脅迫状めいた予告状だったり、亡くなった友人が残した謎の箱だったり、商店街の人々が明らかに挙動不審だったり、動物公園の檻が破られたりと不穏なものが多い。

それでもご近所で起こる事件だけに聞き込みや証拠集めも狭い範囲で済むし、サクサク読めた。
先も書いたが後味は悪くないので安心して読める。

市井さんは『聴き屋』シリーズといい、こういうのんびりした雰囲気がお得意なのかも知れない。

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2019年12月09日

Posted by ブクログ

川崎に住むご当地探偵。事件はご当地アイドルの警備や亡くなった御年寄の宝物推定などボンヤリとした中でも考えられた内容で面白い。 近所にそんな人がいたら面白いと思った。

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色々あってご近所専門となった風変わりな探偵と、成り行きで彼の助手を務めることになった仕事はできるマジメな秘書が直面する、ご近所の謎の数々を描いた物語。
「聴き屋」シリーズを楽しんで読んでいたので、久しぶりの著作というのがまず嬉しかったです。前作までと同様に、会話と文章のテンポよく、複雑すぎない謎解きも楽しめたお話でした。
何故ご近所限定になったのかの理由は明かされませんでしたので次作以降があればいいなと。後味の良い話が多いなと思っていたら、「そういう謎を選んでいた」というのも、なんとも含みがあるので、ぜひ続編をお願いしたいです。

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2019年04月22日

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