あらすじ
「戦死はありえない」という建て前のもと、市民社会にとって異質な存在、すなわち非合理な犠牲を要求せざるを得ない自衛隊員を直視せず、経済的な繁栄を享受してきた日本。しかし、近年のなし崩し的な制度改変によって、「戦死にどう向き合うか」が、もはや先延ばしにはできない課題として浮上してきている。ゴジラ論や特攻の自己啓発受容など、著者独自の現代日本社会分析を織り込みながら、未来を語る言葉を鍛えるためのノート。
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Posted by ブクログ
どんな理由があれば我々は納得して戦死を受け入れられるのかを考察している一冊。
『ちょうどいい、節度ある、穏健な』戦死観の模索が始まります。
現代日本人の多くは戦死という現実への反応として、考えたこともない(未見)、考えたくもない(拒絶)、考えるべきではない(禁止)、のいずれかの思いにより思考停止しているのではないでしょうか。
ゴジラ理論の解説ではかつての日本兵戦死者へ国民が正面から向き合えていないために、未来の戦死者=自衛隊の戦死者が生まれた時に同じく向き合えず彼らを“行き場のないもの”として宙吊りにしてしまうだろうと考察されています。
国のために殉職・戦死した方々は英霊であると私は考えていますし、彼らの御霊を蔑ろにすることは許されないと思います。
なぜなら彼らの犠牲によって、我々は平和な時代を謳歌できるのですから。
心に響いた部分を引用して結びとします。
“瀧野は、自衛官はこれから戦死することになるのか、と信頼する高級幹部にメールで尋ねてみます。けれども、なかなか応答がありません。だいぶ待ってやっと届いた返信は、苦渋に満ちたものでした。
〈「戦死」という話ですが、正直、今のこの国は自衛官が命を賭けて守るに足るとは思えないですね・・・・・・寂しいですが、仮に「戦死者」が出ても、その意味を理解し悲しんでくれる国民が何割いるでしょうか。・・・・・・あきらめております〉”
“特攻平和会館の入り口近くの桜並木の下で、本を読みなからスタッフらを待っていました。本のなかで特攻隊員の遺書の次の一節を読んだとき、電流が走ります。
「後に続く生き残った青年が、戦争のない平和で、豊かな、世界から尊敬される、立派な文化国家を再建してくれる事を信じて、茂は、たくましく死んで行きますが」――。”