あらすじ
中学教師・鈴木のスマホに、ある日「自殺相談室」という怪しいSNSから招待が届いた。自殺志願者の匿名の相談に、4択から1つ意見を選び答えていく中で、鈴木は他人の人生を覗き見るような感覚の虜になっていく。しかし、担当クラスの女子生徒・雨宮を招待して以降、いつのまにか「自殺相談室」が学校中に蔓延し、ついには新人教師の山本が自殺してしまい……。あなたも他人事ではいられない、驚愕のサイバー・ミステリー!
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Posted by ブクログ
スマホを落としただけなのにシリーズの別シリーズ。
前半は読みにくい本だなと思っていたけど、後半の読み応えが良かった。狂った人ばかり出てくるし、展開が読めなかった。
よくできてる「自殺相談室」というサイト。
スマホのサイトなのに、相談する人たちが身近過ぎるなとは思った。
最後のオチの意味がよくわからなくて、妻と押尾が兄妹だった?とか思っちゃったけど、ここで同一人物だと分かった。なるほど。
Posted by ブクログ
タイトルが面白そうだったのと、「スマホを落としただけなのに」の作者の作品だと知って興味が湧いたため手に取った。
この本の面白いところは、細かい伏線が随所に張られていることだ。だからこそ、後半で伏線がどんどん回収されていくときに、ゾワゾワしてしまった。何より、鈴木の周囲の人間の様子がおかしくなるに従って、「鈴木どうにか最後まで生き残って〜」と思いながら読み進めてしまうほど、物語に熱中していた。しかし、結果的に鈴木は自殺という道を選択してしまう。
この作品の恐ろしいところは、鈴木に感情移入させておきながら、その鈴木本人が実は洗脳されていたことが終盤で明かされる点だ。人間の脳がいかに脆く、洗脳されやすいのかを考えさせられた。それと同時に、私自身も洗脳されているのではないかと思うようにもなった。私の価値観や思想というのは、果たして本当に私の意思で形成されたものなのだろうか。私が見るツイート、私がフォローするインスタグラマーは、果たして私の思考がどれほど反映された結果表示されたものなのだろうか。現代においてそんなことを考えるとキリがないのも事実だが、同時に、私たちが人間らしくあるためにもこの問いに向き合うことは重要だと思う。本作は、私に洗脳やネット社会、AI技術の恐ろしさを改めて感じさせた。
Posted by ブクログ
「悩み(心)のビックデータを集めた。…。どうアドバイスすれば、自殺させられるかが分かった」最後の中河内が怖い。
「自殺相談室」からのメール。内容は人生相談と4つの選択肢(4番目の回答は「自殺する」)。このメールに返信するとき、回答として「自殺する」を選べる人と選べない人がいる。善悪は関係ないが、選べる人は、ステージをどんどん進んで幹部になっていく。または卒業していく。そして、選べない人は、…。
質問者に対しては、簡単に「自殺する」と回答できても、自分が質問する場合は、「自殺する」と答えて欲しくなかったりする。自分の回答で質問者が自殺してしまったら、きっと眠れない。だから、「自殺は心の安楽死」という”おまじない”が発生して、納得させたりする。
よくできたSNSだと感心してしまう。マインドコントロールとか洗脳になるのかな。ただ、SNSの運営から考えると、自殺者は必要だけど、どんどん卒業者も必要な気がする。最終的にはポイントを没収することでしか、儲けることができないのでは、と悩む。
ただ、日本では、月間1500人くらいの方が自殺される。その何割かを取り込み、仮想通貨で運用すると考えれば、採算的に問題ない。かも。
最後に、テニス部のキャプテンの自殺の場面を振り返る。もし、私が鈴木先生だったとしたら、あんなやり取りがあっても、響子さんと結婚するでしょうか。疑問です。
Posted by ブクログ
「あなたもスマホに殺される」
ラストが驚愕。
スマホ括りの第2分類に当たる本作。第1分類のスマホ落としたシリーズでは、文字通りスマホを不注意で落としてしまい、個人情報が流失し、犯罪に巻き込まれる恐怖が描かれていた。スマホは便利だけど落とさないように!君の情報が詰まったものだから常に注意しよう!周りは善人ばかりではない!彼氏がズボラな人は要注意!というメッセージがあった。
第2分類の本作は、第1分類とは異なる危険性をテーマにしている。それは依存と洗脳だ。
中学校で教師をしている鈴木は美人な奥さんと可愛い息子を持つ普通の男だ。少々不眠気味で引っ込み思案な彼だが、平和に暮らしていた。しかし、ある日「自殺相談室」というSNSから、鈴木に招待状が届く。次々と寄せられる相談、貯まるポイントにより、初めは気味が悪いと思っていたが、鈴木はどんどんはまっていく。寝ても覚めても状態で妻に隠れてこそこそ、職員会議中でもポチポチが止まらない。どんどん依存が高まっていくのだ。あんなに怖いアプリなのに何故辞めないんだ!?と何度突っ込んだことか。
しかし、依存は大したことではない。いや危険なのだが、それよりも危険な要素がある。それが洗脳だ。「自殺相談室」を始めたユーザーを次々と洗脳していく。実は鈴木はそこまで洗脳されず、生徒や同僚が次々とおかしくなっていくのを止めようとする。が、これは〇〇だった。
依存は如何に危険か。洗脳は知らず知らず行われていく。しかし、この二大テーマだけで終わらない。終わるどころか、最後を読むとスマホは危ないとかアプリは危険だとかは壮大なフリだった。結局は一番の恐怖は人間の悪意なのだ。
結局あのストーカーは何だったのか、妻は最終的にどうなるのか、気になる点は残る。が、しかし、現代の便利なスマホやアプリに内在する危険性をあぶり出している。その点からスマホ落としたシリーズより断然ノンフィクション割合が高く、ホラー小説に仕上がっている。前作にはまった人もそうでない人も読んで楽しめるはず。
Posted by ブクログ
いや~エピローグにも驚かされたが、ラストの一行にはもう仰天!と同時に全ての伏線が気持ちいいほど繋がって痛快。読み返してみるとこれがまた違和感なくて更に唸る。よくできてるぅ~。
生きていく上で、家庭なり属する組織なり師事する相手なり、誰かしらの洗脳を無意識に受けることは避けられないんだな。今の時代そこにスマホというツールが加わってより危うさが強まる。一歩間違えればとっても怖いこと。知らぬ間に自分も…。
新作が出る毎に増すおもしろさと勢いに感心。