あらすじ
きみには、未来がある
無名の画家の一枚の肖像画。その謎が解けたとき、託された思いに心打たれる――
なんで俺がモデルにされてるんだ――。常にグループの中心的存在だった学生時代に文芸誌の新人賞を受賞し、一躍時の人となった谷川。周囲の忠告も耳に入らず、結果、ゴーストライターで食いつなぐ身に。そんな夢も希望もない日々を過ごす中で遭遇した一枚の絵画。花々に囲まれた小川で今にも儚くなりそうなオフィーリアを谷川に模した作者の名は、屋ヶ田永和。屋ヶ田は何者で、なんのためにこの絵を描いたのか――。
ふく・装画
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
そこはかとなく漂う主人公のクズ臭にたまに苛つくのだが、物語としては面白かった。一応、相手は女の子なんだな、とは思うものの、眼中になく存在すら忘れていた相手ならいっそ男子の方がよかったのでは、と思わなくもない。そうなるとレーベル違ってしまうけど。
ラストでいきなり出てきたホラーファンタジーは唐突過ぎて、ミステリーっぽいのが一気に崩れたのが残念。
Posted by ブクログ
モデルになった覚えもないのに自分を描かれた絵が出てきて、最初はホラーのような怖さもあり、段々その謎に迫るミステリのわくわくも出てきたところで、最終的には全てのクリエイターに捧げる祈りとも激励とも取れる話へと変わる。
自分の中の熱量に聞いて、手抜きも誤魔化しもないものだと判断できたら、例え下手であっても傑作だというあの考え方はクリエイターの方には、これ以上ない後押しになるのではないだろうか。
唐突な女神の登場=ファンタジー要素には戸惑いはしたし、あれ以上の説明はなかったけれど、主人公の彼の視点からは、ここまでが精一杯かなと思う。
ので、彼女視点からの物語も読んでみたい。
彼女の願いを受けて「目覚め」た主人公のこれからの歩みを、今はただ素直に祝福したい。