あらすじ
東大女子30人、真実の追跡ルポ!
「女の子って、何がしんどいかというと、
アクセルとブレーキを
同時に踏まなきゃいけないようなことが
たびたびあるんです」
◎偏差値80超え ◎東大から電通、そして……
◎成績を上げる育て方 ◎桜蔭の問題児
◎頭のいい子たちの青春 ◎地方との教育格差
◎東大女子2つのパターン ◎生活保護
◎政治家 ◎育休中に留学
◎東大差別 ◎専業主婦では終われない
女性が輝く社会へ――
でも実際には違う価値観が同時に存在することを、
女性なら誰もが知っている。
――さまざまな東大卒女子がたどった軌跡を追った。
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Posted by ブクログ
東大を出たあの子は幸せになったのか
~「頭のいい女子」のその後を追った~
著者:樋田敦子
発行:2018年12月5日
大和書房
表紙デザインから、ユーモラスでエッセイ的な取材ものだと想像していたが、硬派なルポルタージュだった。著者は明治大卒の元新聞記者で、年齢不明だが日航機墜落(1985年)を報道したとあるから、少なくとも50代後半以上。
東大卒の女性たちを次々に取材したルポだが、初っ端が電通の高橋まつりさんの母親だったので、読む方としても緊張する。同じ業界で働き、電通とも仕事をしてきた身として、色々と憶測や噂を聞いているが、真相はよく知らなかった。この本によると・・・
もはや東大はお金持ちの子しか行けないとよく言われるが、彼女のおいたちに父親が出てこない。居なかったのかもしれない。決して裕福ではなく、特待生は授業料免除の中高一貫校に入り、6年間、特待生を通した。そして、年収制限400万円以下に授業料免除制度がある東大に入った。
彼女が電通の内定研修で考えた自分自身のキャッチフレーズは「0円東大生」。塾も学校もお金をかけずにきた彼女。しかし、入社するとハラスメントが待っていた。彼女が残したメモを読むのもつらくなるほどだ。母親は「死んじゃだめよ、会社なんて辞めてしまいなさい」と言ったそうだが、頑張り屋の彼女が選んだ道は、残念な道だった。
インタビューした多くの東大卒女性が語ったのは、「東大女子はモテない」「就職がない」だった。とくに後者は意外だったが、どうやらどちらも「引かれてしまう」ことが原因のようだ。合コンに行って東大というと即座に引かれて相手にされなくなるし、中には慶応の学生にナンパされ、大学名を聞かれて東大だと言った瞬間に去られた経験の人もいた。敬遠されるのは、就職の時もそうだし、就職してからも同じとのこと。「東大出ているからと言って・・・」とよく言われるらしい。さらに、ママ友にも東大だというといっぺんに引かれる。同棲相手から「東大だから何なんだ」と言われた人も。
東大卒女子は東大卒男子と結婚する確率が高いのはそのせい。モテたいなら、国立大学です、と答えるのがいいらしい。
よく知られた有名人としては、春野恵子(講談師)、樋口恵子(学者、「濡れ落ち葉」)、福嶋瑞穂(政治家、弁護士)などが出てくるが、彼女たちも、その他の人たちも、それぞれに東大卒だからこそした苦労があったようだ。ただし、自身では語っていないが、東大出たから得したこと、いい目をしたことだって、きっと多いはず。そのあたりの突っ込みは不足していた。まあ、それはこの本の主旨ではないといわれればそれまでだが。
*****(メモ)*******
和田秀樹によると、東大合格する子は2パターン
①先生の言うことを聞いて真面目に勉強し、たまたま学力がついた子
②色々な情報を集め、入試問題を自ら分析して勉強法を編み出した子
東大女子は、圧倒的にまじめ系の前者が多い。
同じ東大女子でも、後期日程で入った東大女子は差別される。裏口っぽいと自分でも思ってしまう。黙っていれば分からないが、同じ高校だと分かってしまう。
東大文学部卒でアート関連の仕事をしているある女性によると
①都内の進学校から来ている女子は、両親が東大、大学教授、医師、弁護士などが多い
②地方の天才。やはり大学教授の子や地方の名士も多い
③なんのバックグラウンドもなく、自分の力で勝負しているハングリー精神豊かな友人
同級生はその3グループに大別できるかもしれない。
恋愛は、東大同士で交際するケースが6割近くにも上るというデータもある。
樋口恵子は朝日新聞を受験したが、折悪く東大偏重主義が批判された時期で、成績順で言えば入社できたが、男子が全員東大だったため、他大学の女性が採用された。樋口が東大以外だったら入社できた。
入った時事通信社は、男女の差別なく定年が55歳だったが、他の企業は当時、女性の定年年齢は25歳や30歳などざらだった。
Posted by ブクログ
東大卒の電通社員が過労により自殺した事によって書かれた本。
東大卒という括りでも、もちろん東大女子は様々で、元から頭が良かった者、努力で合格を勝ち取った者、両親のサポートがあった者、そうでない者など人それぞれ。
しかし殆どに共通する事は、目的があって東大を受験したという事。日本最難関である東京大学に入学できれば何もかも手に入れられる気がするが、彼女たちにとっての東大はあくまでも通過点。その先に夢を抱いている点が印象的だった。
「勉強ができるということは、苦労に苦労を重ねて手にした自分のアイデンティティ。苦労して手にした物にほど執着する傾向がある。」
「ホワンとしていたら舐められる。自分に自信を持って、周りに流されることなくノーと言える強さが必要。これから海外に行く際も、文化や環境に順応する力は必要であるが、生き抜く為には自分の軸を持ち、それをぶらさない事が大切。その為の自分形成には勉強が役に立つ。」