あらすじ
悲観とは「物事は予測や予定どおりには運ばない」と考えることである。本書で伝えたいのは、この「思わぬこと」に対する考察の重要性だ。重大な過ちを繰り返すことへの歯止めは悲観することしかない。「機械は必ず壊れる」「誤操作は必ず起こる」という工学の設計には当たり前のフェールセーフの思想が、人間の心理や感情には決定的に不足している。エラーの想定が不充分なのだ。もちろん単なる心配そして諦めは悲観ではない。「これでは駄目かもしれない」と思ったら次にどう対策するのか。豊かな社会ゆえの楽観を排し、有効な悲観の技術を伝授する。
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Posted by ブクログ
楽観が良くないのではない。楽観ばかりしていないで悲観もしようよという本。
過去を楽観し、未来を悲観する。
悲観とはネガティブになれということではなく、感情抜きで物事を捉え、あらゆるトラブルを想定し、準備するということ。
報道に感情はいらない。事実があれば。
Posted by ブクログ
読書感想文を溜め込まずに書こう!
と、新年に誓ったのに…
9本も溜め込んでしまい
書き終わるまで、新しい本は読まない!
と、固く心に決めたハズなのに…
絶妙なタイミングで、森先生の新書が
読むよねぇー 笑
本書では、例によって
森先生が、僕はこうしてますよーと
理路整然と、ちょびっとのユーモアを交えて論じている
人類が、地球上で繁栄出来たのは
「悲観する力」があったからだ
あらゆるトラブルを想定し
悪い事態にならないように
考えうる限りの手を打つ
と言う姿勢が大事である、と言うこと
精神論や、運を天に任せるのではなく
「物事はうまくいかない」を前提に
思考するコトが重要だと
「きっと駄目だろう」と
諦めるコトではなく
どうして駄目になるのか
駄目になった場合、どうするのか
駄目でも良いと、初めから心構えをしておくのか
といった、対策を用意しておくコトが重要であると言うコト
故に、人間の賢さは
悪い事態になった時のコトを想定する能力で
そのコトを「悲観力」と表現しとります
工学博士でもある、森先生ならではだなぁーと
印象的だった一節に
「フェールセーフ」という
工学における、設計思想の紹介されている
「機機械は必ず壊れる」「誤操作は必ず起こる」コトを前提とした考え方で
万が一、そうなった場合に
安全側に制御する手法、原則のこと
例えば
自動車で、コントロール系に障害が発生した時に
自動車が暴走するのではなく
停止するように作動させる設計が
フェールセーフ
なるほどなぁー
敗戦のどん底から這い上がり
高度経済成長を遂げ
先進国に追いつき、大国になった日本は
平和な時代が続き
過剰な「楽観」で状況を見誤らないコトが重要で
現状や未来を「悲観」して
数々の対策を早めに構築しておく姿勢が大切だ、と
ごもっともでございます
本文では、所々で
森先生の「悲観」エピソードも紹介されている
大学生の時、家庭教師のアルバイトをしていて
受験を控えた生徒に
「試験日の、少なくとも半年前には
虫歯の治療を済ませておくように」とアドバイスをした
とか
某国立大学の助教をしていた時
実験をさせる授業で
「恐る恐るやりなさい」と必ず言っていた
とか
隅々まで「悲観力」が行き渡ってる 笑
幼い頃から、母親が病弱だったせいか
「自分の事は自分でしなさい!」と
割と強めに教育されてきたため
物事を楽観的に考える事ができなかった
自分で出来ることは、限界があるし
自分の能力とか、可能性を信じるコトが出来なかったので
自然と保守的な仕上がりになった
心ある友人からは
「もっと色々チャレンジすべきだ」的なコトを言われても
全く響かず、上手く説明できなくて
モヤモヤしてた時もあったけど
森先生の著作に出会ってからというもの
満更、間違いでも無かったかなーと
ちょびっとだけ、自分の人生に確信が持てるようになった
コレだから森博嗣はやめられない 笑
#悲観する力
#森博嗣
#森先生は教祖さま
#明らかに誤解を招くタイトル
Posted by ブクログ
ここでの悲観は心配とか想定して備えるとか、未来への思考と洞察と準備のこと。
そこにはモチベーションとか、やる気とか、楽しむとかの要素は無い。
考え抜いて想定しつくして、やるべき事をやり備える。
急がば廻れとか、必要な手順を踏むとかの実例も紹介されている。
その通りと思うし、一つ一つは難しい話ではない。
でも実践出来る人は少ないだろう。
自分がやっている競技や仕事や投資や趣味に活かせる話で大変為になった。
具体的には:
1.AならばBといった決りごとが絶対ではない、と疑う。
2.こうだと言い切るような発言に対して、例外を探す。
3.見込める効果を小さめに評価し、それでも全体が成立するか検討する。
4.多数意見を鵜呑みにしない。
5.都合の悪い事態ほど優先して考える。
6.できるだけ多数の視点に立って考える。
7.自分の説明が相手に理解されないことを考慮しておく。
8.周囲からの評価を期待しない。