【感想・ネタバレ】遺体―震災、津波の果てに―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

あの日、3月11日。三陸の港町釜石は海の底に沈んだ。安置所に運び込まれる多くの遺体。遺された者たちは懸命に身元確認作業にのぞむ。幼い我が子が眼前で津波にのまれた母親。冷たくなった友人……。悲しみの底に引きずり込まれそうになりながらも、犠牲者を家族のもとへ帰したい一心で現実を直視し、死者の尊厳を守り抜く。知られざる震災の真実を描いた渾身のルポルタージュ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最初に手にした絶対貧困を読んで以来、機会があれば読みたいと思っていた著者の本を手にしたのは本書で2冊目です。

阪神淡路大震災を震源地に近い県内で体験し、震災直後に最も被害の大きかった地域にボランティアとして訪れ、手の空いた時間で近隣を歩き言葉を失った。

戦争を知らない世代ではあるが、戦地とはきっとこんな感じなのだろうと思えるぐらいの衝撃を受けた。

そして2011.3.11。

阪神淡路大震災は発生時間が夜明け前でもあり、夜明けと共に被災状況が明るみになってきたが、東日本大震災は違う。

リアルタイムでTV画面を通して映し出される被害。

世界中が息を止めた迫りくる巨大な津波と飲み込まれていく街。

目を覆いたくなる惨劇が目の前で繰り返された。

本書は甚大な被害をもたらした巨大津波直後の実話。

決してマスコミで報じられなかった現実が克明に記されていた。


説明
内容紹介
あの日、3月11日。三陸の港町釜石は海の底に沈んだ。安置所に運び込まれる多くの遺体。遺された者たちは懸命に身元確認作業にのぞむ。幼い我が子が眼前で津波にのまれた母親。冷たくなった友人……。悲しみの底に引きずり込まれそうになりながらも、犠牲者を家族のもとへ帰したい一心で現実を直視し、死者の尊厳を守り抜く。知られざる震災の真実を描いた渾身のルポルタージュ。
内容(「BOOK」データベースより)
あの日、3月11日。三陸の港町釜石は海の底に沈んだ。安置所に運び込まれる多くの遺体。遺された者たちは懸命に身元確認作業にのぞむ。幼い我が子が眼前で津波にのまれた母親。冷たくなった友人…。悲しみの底に引きずり込まれそうになりながらも、犠牲者を家族のもとへ帰したい一心で現実を直視し、死者の尊厳を守り抜く。知られざる震災の真実を描いた渾身のルポルタージュ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
石井/光太
1977(昭和52)年、東京生れ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2020年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

311後の釜石の様子に迫るノンフィクション。

街の民生委員、医師、歯科医師、市役所員、市長等、震災時の遺体の処理に奔走した人たちの回顧と本音が綴られます。

・・・
震災、なかでも遺体処理を巡るものが多いですね。

とはいえ、タイトル以上に物語は広がりがあるように感じます。昨日まで顔を合わせた人が今日はもう息をしていない事実。子どもを救えなかった親の後悔、行方不明の家族を捜し歩きようやく見つけた家族の土気色に変わった亡骸、早く火葬して安らかにしたいのに稼働しない火葬場、被災している市職員に不満をぶつける遺族等々。

そうした辛く、厳しい状況のなかで、葬儀屋で勤務経験のある民生委員の千葉さんが遺体安置所で果たした役割は大きいのでしょう。

遺体に寂しくないかと話しかけ、遺族が迎えに来たよと話しかける。遺族の傷はいえることはないのでしょうが、自分を責めるだけだった遺族たちの心をやわらげ、次のステップにつなげる、優しいことばの数々。
私も読みながら涙しました。

・・・
遺体に話しかけて何になる? 仕方なかった、残念だけど、という以外何もないのでは。

昔の自分だったらそう言っていたと感じます。

でも、喪失体験というのは論理で解消されるのではなく、感情や気持ちの整理がつくかどうか次第なのではと考えます。つまり感情は論理なんか軽々と超えてくる。だからこそ優しさや気遣いは感情に響くのだと思います。

同様に、宗教というのも論理ではなく、ある意味で感情に働きかけるものなのかもしれません。あるいは宗教者の優しさが前提で成り立つものなのかもしれません。

お経をあげる、供養するという行為。これは死者を弔うのと同時に、生者を(こそ)癒すことそのものなのでしょう。

作中で仙寿院の芝﨑氏が仏教会を組織するように動きますが、宗派とか細かい考えとかを抜きに大きな目的のために動くこと、人々の安寧の為に動けること、こうしたことこそ宗教者の素晴らしい資質であると感じました。

こういう方々の活躍を見ると、宗教は胡散臭いというのではなく、一定の果たすべき役割があるのだなあとつくづく感じます。

・・・
ということで石井氏のノンフィクションでした。

生のありがたみをひしひしと感じました。そしてその生を無駄にはできないなあと思った次第です。

石井氏のノンフィクションは個人的にはかなり好きですね。また他の作品も読みたいと思います。

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2026年07月09日

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