【感想・ネタバレ】血みどろ臓物ハイスクールのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫の帯は岸本佐知子先生「ワイルドで奥深くて崇高な、世にも美しい言葉のテロ。姐さん、一生ついていきます。」
単行本訳者あとがきに、ナックルダスターで武装して会いに行ったという挿話。
文庫版訳者あとがきの、バイク用ヘルメットを脇に、階段を駆け下りてきたアッカーの姿が目に浮かぶ、という結び。
それらに惹かれ、抵抗感を抱きながらも、つい購入。
というのも、生活がそのまま詩を吐くような破滅的天才の創作を、やや忌避しているからだ。
うまく浮かばないが、中島らも「今夜すべてのバーで」に登場する天童寺不二雄が物を書いたとして、あまりに自分とかけ離れすぎているだろうから。
しかしそんなことなく、キャシー・アッカーは大変知的に文芸作品をブッ込んでいる。

また著者の写真を見ると、どうも「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」のフュリオサを思い出してしまうが、
フュリオサそのものでは、もちろん、ない。
フュリオサは「強姦を撥ねつける」側だが、キャシーは「強姦する」側と見做せようか。
しかしその「強姦する」は限りなく「強姦される」に近いともいえる。

ウィキペディアで「セックス・ポジティヴ・フェミニズム」という概念を初めて知る。
確かに自分の躰を自分で使って何が悪い。
フェミニストは性忌避者という自分の思い込みは、すでに前時代のマチズモにどっぷり浸されていたのだ。
伊藤野枝やアギレラやマドンナやジャネット・ジャクソンの名を見て、さらに納得。
脱線するが大杉栄と伊藤野枝の子供の名前……魔子、エマ、エマ(え、同じ!?)、ルイズ、ネストルなど……笑ってしまった。
森鷗外と通じる。やはり前から気になっていた「村に火をつけ、白痴になれ」を読もう。

閑話休題。
ストーリーはあるようなないような。
ファック関係にある父から疎まれ、不良とつるみ中絶を繰り返し、売春業者に売られても業者のペルシャ人に恋し、脱出した先でなんとジャン・ジュネと会い同質の者同士分かり合えるかと思えばやはり捨てられ、死に。
筋だけ見ると下降線を描いている(のでフェミニストには受けが悪いとか)が、むしろ語りのテンションは上昇するばかりだ。
地の文。イラスト。戯曲風会話。童話のパロディ。有名作品の読書感想文。異国語で作詩。コピペ。有名人を導入。などなどなど手法の饗宴ゆえに。

しかし内面は孤独で愛を求める。「愛してよ」と罵詈雑言で言い換え続けるような。
とはいえ発せられる言葉は終始えげつない。この乖離の面白さと切なさよ。
連想するが、たとえば桜庭一樹「私の男」で「新鮮な肉だとよ、お嬢さんたち。あたしゃもっと若いけど、こちとらタフで堕落した腐れビーフ。わがオマンコは赤しオエッ」てなことを言う娘を、父は愛しぬけるか?いやー無理でしょう。

引用したい言葉多数。
ネット上で拾い集めた作者本人の挿話……山形浩生の「アホだら帝国」あとがき、や、エッセイ「病がくれたもの」とか……も興味ぶかい。
ある時代のある種の作家と片づけることもできなくもないが、読後、私の中に確かに根付いた。これから育つかもしれない。

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2019年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物凄いものを読んでしまったなと思いました。パンク…アナーキー…あまり馴染みがない思想なので合ってるのか分からない。人前で読むには挿絵がちょっと心配。
カーター大統領との関係は良好なのかが気になりました。ホーソーンの「緋文字」もこういうお話だったのか。。?
よく考えると、最初の時点でジェニーはまだ10歳なのですね。おマセなお嬢さんだ。
訳者あとがきも面白かったです。確かに、著者に会うの身構えるなぁこれでは。

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2022年12月29日

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