あらすじ
平成31年は、天皇陛下が退位して皇太子が新天皇に即位し、5月からは新しい元号になります。また、翌年には2回目の東京五輪が開催されます。一回目の東京五輪は昭和39年に開催され、それを契機に昭和後半の日本は高度経済成長の波に乗り、経済大国の道を突き進みました。しかし、平成に入ると、バブルが崩壊し、政治や社会の様々な歪みが顕著となってきました。この間、日本の首都・東京はどのように変貌を遂げたのか。
本書は、月刊『文藝春秋』で連載した「50年後の『ずばり東京』」から、主に東京に住む人々の暮らしや意識の変遷を描いた12本の記事を選んで収録しました。毎回違うノンフィクション作家が自身で取材するテーマや街を選び、リレー形式で執筆したもので、昭和と平成という二つの時代を筆者が行き来するルポルタージュです。
〈本書の内容〉
ゴジラとタワーマンション 高山文彦
保育園反対を叫ぶ人たち 森健
虐待と向き合う児相の葛藤 稲泉連
東大を女子が敬遠する理由 松本博文
「ラジオ深夜便」のある生活 樽谷哲也
エリートが集う「リトル・インド」佐々木実
はとバスは進化し続ける 小林百合子
八丈島の漁師と青梅の猟師 服部文祥
いまどき女子は神社を目指す 野村進
新3K職場を支えるフィリピン人 西所正道
将棋の聖地に通う男たちの青春 北野新太
貨物専用「JR隅田川駅」のいま 長田昭二
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
平成が終わることが決まった頃に編集された本。昭和から平成にかけて東京がどのように変わっていったかを12人の作家らがそれぞれ異なるテーマで描く。
選ばれているテーマは貨物列車、児童相談所、東大女子、介護に携わるフィリピン人など多彩。平和でノスタルジックな話が中心かと思いきや、「保育園反対を叫ぶ老人達」や、児童虐待など穏やかではない話題も。
12の短編ドキュメンタリーを読んでいるような感覚で、各テーマに出てくる人たちが懸命に働いている様子と共に、社会に横たわる課題や理不尽な規制など、問題提起がなされている。
どれも読みやすい。狭く凝縮された東京の中でも、ドラマはたくさん詰まっている。