【感想・ネタバレ】世界を変えるSTEAM人材 シリコンバレー「デザイン思考」の核心のレビュー

あらすじ

いま世界の最先端で活躍する、AIをねじ伏せるスーパー人材「STEAM」。Appleのスティーブ・ジョブズ、Airbnb、Uberの創業者など、論理よりデザイン思考を重視し、科学技術にアートを融合させるイノベーターたちの秘密を、シリコンバレー在住の社会起業家ペアが解説する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

科学:Science
技術:Technology
工学:Engineering
アート:Arts
数学:Mathematics

STEM から STEAM へ
STEAM人材は、Society5.0 の社会を牽引する理想像
狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)、超スマート社会(Society5.0)

STEAM人材の具体例3人
・ジョン・マエダ : Design in Tech Report は世界が注目、TEDでスピーチ配信
・グァ・ワン: オーディオ・プログラミング言語 Chuck の開発者
・ヨーキー・マツオカ: ロボット工学と神経科学をかけ合わせた「ニューロ・ロボティクス」の研究者

STEAM人材は「越境」する
STEAM人材は
 第一に、人間を大切にするヒューマニスト
 第二に、次々とイノベーションを起こす、イノベーターのマインドセット
 第三に、デザイン思考を駆使して、発想・活動している

STEM/STEAM教育は、単に特定の科目を重点的に学ぶことを指すのではなく、融合によるシナジー効果によって、それらの領域における学びをより活性化させようという狙いがある。

STEMからSTEAMへの流れを捉えるうえで、さらに重要なのは
「人間を重視する」という思想・行動の原理、すなわち「ヒューマニズム」

「人間」に意義と真価を見出した者たちが、科学、技術、高額、数学、芸術やデザインと言った様々な領域から、技術や方法論を取り込んで発想する、これがSTEMからSTEAMに繋がる流れの本質。

先駆的教育者:キム・サックス

エンパシー(共感)はSTEAMの心

今後のビジネスで重要なのは、
「経済的な実現性」「技術的実現性」「人間にとっての有用性」
という、三つの要素のバランスを取る事

「何を作るのか」(what)、「どう作るのか」(how)
よりもまず、「何のために作るのか」(why)を考える

イノベーションとは、「新結合」
日本語の「技術革新」、よりも中国語「創新」の方が当てはまる
一見無関係に思える物事を結び付け、独創的なアイデアを生み出すこと

イノベーターのマインドセットは大まかに三つ
1.型にはまらない think out of the box
   社会的や常識や規範に捕らわれない。「箱」から出て考える。
   既存の領域を「越境」し、複数の領域を「回遊」する。
2.ひとまずやってみる give it a try
   スピード感を持って、リスクを取りながら発想や行動を変えていく。
   「不完全さ」を許容するカルチャーが大事。
   プロトタイプを作る。プロトタイプに時間をかけない。
3.失敗して、前進する fail forward
   失敗から学び、次の一歩に繋げる。
   リスクゼロの挑戦など、チャレンジではない。

成長型マインドセット

「論理力」と「思考力」は区別される。

論理力: 考えをきちんと伝え、また伝えられたものをきちんと受け取る力

思考力: 新しいものを生み出す力

「論理」(ロジック)とは、言葉と言葉の関わり方のこと。ある「思考」が、客観的な判断であるか、正しく構築されているかどうかを、「論理」というツールを使ってチェックする。

ロジカルシンキング、クリティカルシンキングは、いずれも「論理」を使って人や自分を説得するためのツール。
デザイン思考は、基本的に「ものづくり」の思考・方法。それも単なるものづくりではなく、why、what、how を構築するプロセス。特に why(なぜ作るのか) が大事。

これからはあらゆるビジネスパーソンに、「ものを作る」発想が求められる。
営業でも、管理職でも、教育や人材育成においても。

デザイン思考は、直感をベースに知を創出する方法論
「証明は論理によって、しかし発見は直感によって」

デザイン思考は、空手の「型」のようなもの。そこに想い(ヒューマニズム)が乗っかることが大切

抽象化と具体化、分析と統合、仮設と検証といった、相反する活動を繰り返しながら、行ったり来たりして、少しずつ解を見つけ出していくしかない。

デザイン思考の「型」

スタンフォード大学 d.school の「五つのステップ」
共感する(empathize)、定義する(define)、アイデアを出す(ideate)、プロトタイプにする(prototype)、テストする(test)

IDEO のモデル
情報を集める(inspire)、発想する(ideate)、形にする(implement)

佐宗邦威 「四つのモード」
旅人、ジャーナリスト、編集者、クラフトマン

ヌエバ・スクールのモデル
リサーチ、分析、シンセサイズ、ビルド、テスト

①リサーチ
ユーザーからデザインの洞察につながるストーリー性を引き出すこと。
発する言葉に耳を傾け、鍵となる情報を逃さない。どんな表現をしたか、どんな態度を取ったか、の質的な側面も貴重な情報
「観察」も重要なツール。定性的研究方法論

②分析
まだ「人間が本当に必要としているもの」は見えてこない。「混沌」とした状態。
なぜそうしたのか、なぜそう思ったのか、経緯に思いを馳せて、時には発想を飛躍させて、想像力を使って仮説を生んでいく。
エンパシー・マッピング
ペルソナの設定

③シンセサイズ
分析で得た気付き(仮説)を用いて、ユーザー本人がまだ自覚していない潜在的なニーズを浮き彫りにする。
デザイン思考の肝の部分。最も難解。クリエイティビティ、右脳的思考が求められる。
着眼点、切り口、を探す。POV(Point of View)
ユーザー本人が無意識に繰り返すキーワードや、観察者の違和感 が重要なヒントになることがある。
対立するもの、矛盾するもの、意外なもの、に着目することも役立つ。
不自然に歪んだ情報には、解決すべき課題が潜んでいる可能性がある。
徹底的にユーザーの立場にたって、どうしたら状況が改善できるか、どうしたらその人が幸せになるのか、問題解決に向けた課題の定義づけをする。
"How Might We"(私たちはどうやって…?)

課題が決まったら、解決案を考える。
チームで、どんなアイデアも大歓迎、スピード勝負、質より量。常識や前提に囚われない。
大量に出したら収斂させる。
実現可能なもの、これまでなかったもの、ありえないもの、ワクワクするもの、色々な切り口で考える。
「人間にとっての有用」、「技術的な実現性」、「経済的な実現性」の重なりにイノベーションの解がある(可能性が高い)

④ビルド
必要最低限な機能だけを、簡略的に形にする。
プロトタイプはあくまで通過点。変更を加えるために作る。たたき台。

⑤テスト
ユーザーが本当に必要としているニーズを引き出す洞察つながるフィードバックを得るのが目的。
あえて「正しい使い方」は解説せずに、ユーザーがどう扱うのかを「観察」することも効果的。
コメントだけでなく、表情や様子もフィードバック。
できるだけ辛口のコメントをもらう事が大切。


デザイン思考のプロセスは、この五つのプロセスを行ったり来たりする。非連続で有機的なプロセス。
「曖昧さとうまく付き合うしなやかさを持ちなさい」

人間(ユーザー)へのエンパシーが極めて重要。

たった1人のユーザーに対して、徹底的に考え抜いて生み出した「何かよいもの」は多くの人々にとっても、よいものである可能性を秘めている。

戦前ドイツの「バウハウス」がデザイン思考の起源。

これから不可欠になってくるのが、「インクルージョン」


21世紀スキルの4C
Critical thinking
Communication
Collaboration
Creativity

従来の系統型学習に代わる新しい学びの形
①プロジェクト・ベース学習(PBL)
自ら課題を設定する

②プロブレム・ベース学習
ケースの解決

③デザイン・ベース学習
学生が持つ知識や発想をものづくりにつなげる


クラシカル・デザイン
デザイン思考
コンピュテーショナル・デザイン

私たちが直面している本当の課題は、国や企業の国際競争に勝つことでも、テクノロジーで世界を満たすことでもない。
真の問いは、この世界を、すべての人々にとって「優しい場所」に戻せるかです。

0
2019年03月28日

「ビジネス・経済」ランキング