あらすじ
2018年12月、没後50年を迎える中村天風。かつて、「心身統一法」の講習会の最後の日(当時は5日目)に「研修科」として話された“門外不出”の講話を厳選収録。「人生をいかに生きるか」という命題を、自身のエピソードを交えながら、ユーモアにあふれた語り口で説く。その内容は、「自分とは何か」「心にはどのような働きがあるのか」「意志とは何か」そして「意識というものについての哲学的理解」など、人間が日々考え続けなくてはならない人生真理ばかり。中村天風との対話を通して、現代のストレス社会で必要とされる「メンタル・タフネス」に通ずる、“感情のコントロール法”を習得することができる。2011年刊の好評講演録『幸福なる人生』と併読すれば、「心身統一法」の理解がより深まるだろう。世代を問わず堪能できる、天風座談の決定版。(本書は、天風会創立百周年を記念して発売されているCD『心を磨く』から厳選された講話を編集したものです) 【本書の主な内容】●第一章 人間の正体は気体である ●第二章 生き方を間違えると「心の奴隷」になる─有意義な人生のための基礎知識 ●第三章 「正しい心の使い方」ができる人・できない人 ●第四章 五官感覚を磨き上げ、自己肯定に徹して生きよ ●第五章 「心機転換」こそが問題を解決する ●第六章 本能に打ち克つ人が幸福になる 【本書「まえがき」より抜粋】本書の内容は「人生いかに生きるべきか」ということを説いた哲学的なものですが、実際には「人間は本来運命や病(やまい)に負けるような弱いものではなく、どんな困難をも乗り越える力がある」ということを、ユーモアにあふれた軽妙な語り口や、具体的で絶妙なたとえ話などを交えながら、現実の日常生活を送る我々人間が合理的に納得のできる理論で説明されています。天風先生はよく、易しい内容を難しそうに説くのは簡単だ、難しい内容を難しく説くのも簡単だ、難しい内容を易しく説くのが一番難しいと言われましたが、本書は難しい内容をたいへんわかり易く読んでいただける、まさに天風先生の面目躍如たる実践哲学書です。
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Posted by ブクログ
4年振りの再読。
本書は、講演CD集「心を磨く」を編集し、活字化したものである。その内容は非常に価値の高いものであるが、天風先生の最初の一冊として読むと、その価値があまりわからない可能性がある。
天風哲学については、関連書籍も含め多数の書籍が出ているが、難しい内容を含むので、読む順番が重要である。まず、心身統一法の具体的な方法を学び、次に本書の様な理論的な内容を学んだ方がわかりやすいだろう。
PHP研究所から出版されている本なら、『幸福なる人生 中村天風「心身統一法」講演録』を読んだ後に本書を読むのがお勧めである。
Posted by ブクログ
「我とは何ぞや」
肉体・心・霊魂の繋がりがなかなか理解できませんでした。
そんな時に呪術廻戦を見て理解が進みました。
人は魂ありきなんですよね。
魂があって肉体があって心がある。
そう考えると一つにつながりました。
日本で「霊魂」と呼ぶ気体が命の中枢を成すとあります。
「霊魂」が人間の生命の本体
心≠自己=真我=霊魂
「霊魂」についている意志が「心」を完全に操縦し完全に支配する力を持つとあります。
「心」の使い方が上手くなると間違った考えを持たなくなる。
「認識力の養成」
カメラのレンズの曇りをとる感覚で「心」の性能がシャープになるとあります。
「人類は五官という特殊の関門を通じて人間の外界の一切の事柄を自分の心に受け入れている」
「五官感覚という機関作用を完全にすることを心がけることが人生に生きる準備としては最も必要」
「自分の心の中に入れたものが全ての材料になっている」
五官を研ぎ澄ますことで勘が働くと言うのはよくわかります。
出来ることをやり切ると最後に降ってくるというかふっとわかることがあるんですよね。
これは剣の達人の域までいけなくても感じることができます。
心の使い方をマスターすることなんですよね。
常にこの領域まで持っていきたいです。
Posted by ブクログ
■■評価■■
★★★★☆
■■概要■■
○各界の著名人が人生の書として上げる際に頻出する著者である、中村天風氏の講演録(昭和36年頃)を文字に起こした本であり、口語体で描かれている。
○スラスラ読むことができる。
○身体と心の上位に魂、霊魂というべき概念があって、心も身体もその道具に過ぎず、魂を磨いていく目的のために生きなければならないということが一貫している。実体験や寓話も交えわかりやすく説いてくれている。
○CDなどで声を聞いてみたい気もしたが、なかなかに高価であり音声も古く雑音も多いようなので、本で触れるのは、なかなか良い手段かなと思う。
○中村天風氏自身、スパイ、肺の死に至るような大病を克服したこと、インドでの修行、医者としての知識など、とても波乱万丈で魅力に溢れた人のように思えてならない。そこから出てくる言葉はすべて体験に基づいているから説得力があるのだと思う。切り取ってしまうと単なる教祖様のようにみえてしまうが、回り道をした経緯があるからこそ、説得力が高まっているというのもあると感じた。
○人生失敗なく最短距離で行くことがすべてではなく、必死にもがいた分だけ道が広がって、振り返ると広くて他の人が通れる道ができているという、古来からの教えの典型のように感じた。
●「心こそ 心迷わす 心なれ 心に心 心許すな」
○非常に深い。私の解釈では、“心” と言っても下記の意味が乱れ混じっているから味わい深いと考えている。
1つ目の“心” ・・・ 動物真(本能心)
2つ目の“心” ・・・ 心中全体の様子。気持ち。
3つ目の“心” ・・・ 数ある“心”の種類のなかでも、この心と断定する意味。
4つ目の“心” ・・・ 動物真(本能心)
5つ目の“心” ・・・ 心中全体。気持ち。
6つ目の“心” ・・・ “心許す”という慣用句的な使い方。言い換えると 油断して任せきるといったような意味合い。