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Posted by ブクログ
実業家の父が亡くなり、その葬儀で息子が転落し寝たきりに。そこからマドレーヌの生活が大きく変わっていく。莫大な財産を狙う人たち。人の嫌な部分、よく深いところが大っぴらに見え始めてさらに面白くなる。信じられる人がほとんどいなくなったマドレーヌの復讐が始まる。緻密な計画のなかに感じるマドレーヌの強い怒りと憎しみ。そして込み上げてくる感情。そういう細部がとてもよくて描かれていないところまで広がっていく。復讐譚であり一人の女性の人生が描かれている。
Posted by ブクログ
(上巻より)
とはいえ、騙されて財産を失い、
息子を傷つけられ車椅子生活になってしまったことを恨み、
復讐をすることを決意するマドレーヌ。
元夫の部下を金で雇うだけでなく、
マドレーヌ自身も危ない橋を渡り、
三人の男たちと一人の女性に
(前作と違って)見事に復讐が果せて良かった。
ナチスドイツに飛行機の情報を売ったと見せかけて、
大金を手に入れ、かつ銀行家を陥れた手口は面白かった。
息子の世話をする明るいポーランド女性や、
息子が傾倒するディーバと
印象的な女性たちも良かったので、
前作より楽しめたが、
実際の団体や事件が取り入れているらしく、
そこらへんがわかっているとさらに面白かったのかもしれない。
Posted by ブクログ
ダレることなく最後まで一気に読んだ。
おっとりとしていた主人公が、冷徹に大胆にひとりひとり罠にかけていくさまは実に痛快。
ポールとソランジュの美しいエピソードも素晴らしい。
バカップルのドタバタコメディも復讐譚のなかで程よい分量。
デュプレとの抑制の効いた愛情の芽生えで物語が閉まるという最高の読後感。
Posted by ブクログ
さすがルメトール、ストーリーテリングは秀逸。ヒトラーが台頭する混乱のフランスを舞台にした没落貴族女性の復讐劇。ルメトールは、前半はこれでもかこれでもかという悲劇(わが子が車椅子になってしまったり、周囲に騙され資産を失ったり)を描き、後半はこれら騙された相手を秀逸に復讐する物語を描く。これだけの登場人物を魅了あるキャラクターに仕立て上げ、それぞれを絡ませながら、なおかつ面白く描くルメトールに脱帽の一冊。
ただ今までの作品に比べて鈍った印象。登場人物たちが多くてそれぞれの人物の描きわけが短かったり、はじめから全て関係した一つのストーリーだったからだと思う。今までの作品は、章によって登場人物が書き分けられ、まったく関係のない話が進行していく。読者はその二つのストーリーを楽しみつつ、どう絡み合っていくのかと期待する。今作はそのような点があまり見受けられなかったのでそのように感じた。決してつまらなくはなく、新規性に欠いた故の星一つマイナス。