【感想・ネタバレ】自殺論のレビュー

あらすじ

自殺は個人的気質の結果か、それとも社会的事実か?

十九世紀ヨーロッパにおける自殺率の統計を仔細に分析し、自殺を「自己本位的」「集団本位的」「アノミー的」「宿命的」の四タイプに分類。
生の意味喪失や疎外感など、現代社会における個人存在の危機をいち早く指摘した、近代社会学の礎となる古典的名著の完訳。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

社会科学の原点のような本で、自殺率の高い国と低い国の違いは一体何なのかを解明していく本。

結論から言ってしまうと「宗教の違い」で同じキリスト教でも自己責任論の強いプロテスタントのほうがカトリックよりも自殺率が高い傾向があるとのこと。

自殺率と宗教には強い相関性があって自殺を明確に禁じるイスラム教は低く、無宗教が最も高いというデータもあるそう…

日本は閉鎖的な社会だから自殺率が高いんだ!と言われますが原因はそこだけじゃなくて日本人の宗教観の薄さにもあるのもしれませんね…

とても面白かったです! 

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2021年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自殺って何なんだろうと、この度、読むことにした。


19世紀末のヨーロッパに増加した自殺について、社会現象として各国各都市のデータをもとに、考察している。
なんで昼間に自殺が多い?なんで都市に多い?なんでプロテスタント教徒に多い?なんで離婚した男性に多い?殺人との関係から言えることは?

120年以上前のヨーロッパなんて、全然違う社会だと思っていたけれど、今の状況についての説明ともなる部分が多く、興味深かった。自殺、という行為が、人間の生と死という時代や文化を超えた普遍的なものであるからでもあると思った。これまでの人間社会の中で「自殺」の持つ社会における意味や価値がどのように変化してきたか、という点にも触れられている。つまり、社会が近代化するにつれて、個人主義が広まり、一人ひとりの人格の尊重という観点から人の命は終わらせられるべきでない、という議論になる。

一方、(私の理解では)より多くの人びとは、社会とのつながりが薄れ、生きる意味を見出しにくくなる、あるいは、縛りの無い自由を前に逆に現実と理想のギャップや周りとの相対的剥奪感や恨みを募らせることから自殺が起こりやすくなっているという。これは今にもつながるところがあると思った。

そして、デュルケームさんが自殺の研究をしている当時、日本は近代化が始まったところ。日本は19世紀末の時代から、「自殺」が大きく変化を遂げ、また今の状況にいたっている、そんな国であると知り、私たちが考えるべき重要なテーマだと改めて感じた。

また今、産業革命後の社会が世界的な危機に直面している。今、人が自分の生を断つという行為は何を意味するのか、それは今私たちはどのような社会に生きているのか、ということ。他人事ではなく考えるきっかけにしたい。

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2020年08月01日

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