あらすじ
新宿あたりから西に向かって、徐々に東京都の地表は高くなっていく。その「武蔵野台地」のある何段もの「崖」を刻んだのは多摩川。一方、崖の高低差を克服しながら東へ流れる江戸時代の多目的人工河川・玉川上水。両者を軸に、武蔵国や、そこに含まれる三多摩地方をみると、産業や社会のゆりかごは、実は地形だったとわかります。詳細な凸凹地図を多数掲載し、水や交通路から、多摩・武蔵野を眺めてみましょう。
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多摩地域出身なので、この本に書かれていることは既知だったことも多かった。が、それらは住民として日々の生活の中で知った事項であったりするので、体系的に学んだわけではなく(体系的に学んだのは小学校時代まで遡るわけで)、断片的な知識になってしまっていた。その断片的な知識をこの本でつなぎ合わせることができ、なるほどと思うことが多々。早速、この本に書かれている場所を訪ねて、自分の目で確かめてみたい。
ただ、付章はいらなかったかな…。分析も浅いし、こういう内容を載せるくらいなら、地形に関してさらにもうひと話題取り上げてくれたほうがよかったのにと思った。
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高低差による地形と街の発展を解説する。普段通るところでも、気が付かない高まりや窪地がある。多摩地区の鉄道路線を標高で輪切りにした図が面白かった。
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多摩地区に住んでいる人なら、読んでおいて損はないと思う。とくに、大人になって中央線に住んだ方など。地理や歴史に少し興味があり、八王子から三鷹、府中周辺の住人にはヒットすると思う。
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「水」が教えてくれる微地形散歩の続編
水系と地形図を元に東京の歴史と絡めて分析を行っている。前作で主に23区の分析をしていたが範囲を多摩地区に拡大して東京全体対象としている。
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多摩川は青梅付近を要とした扇状地を形成し、それが隆起して武蔵野台地になった。武蔵野台地では深い井戸を掘らなければ水を得ることができなかったため、江戸時代まで開発が進まなかった。古代の国府や国分寺、深大寺、大國魂神社は、国分寺崖線や府中崖線沿いにつくられている。
玉川上水は、残堀川と交差した後、小平監視所あたりから各河川流域の分水嶺を通っている。
武蔵野台地の標高50m付近は関東ローム層や砂礫層が薄くなるため、地下水が湧出しやすい。井の頭池は神田川の、善福寺池は善福寺川の、石神井池・三宝寺池は石神井川の、烏山の鴨池は目黒川のそれぞれ源流になっている。