【感想・ネタバレ】新版 ナチズムとユダヤ人 アイヒマンの人間像のレビュー

あらすじ

アイヒマン裁判を、ハンナ・アーレントらと共に傍聴していた「日本人」作家がいた!
裁判の現場にいた著者による、生々しき傍聴記とアイヒマンの評論。
絶対に許してはならない優生思想と排外主義。その負の歴史を語り継ぐために、当時ベストセラーとなった本書を復刊する。

人類史に残る、恐るべきナチスによるユダヤ人絶滅計画。
その実態と、その背景にある思想は何か、またこの計画の実際的推進者であったアイヒマンの思想はどのようにして形成されたのか。
当時、イスラエルに赴いてアイヒマン裁判を直に傍聴してきた著者が、この謎に独自の光をあてたものである。
まだハンナ・アーレントが著名になる前、裁判の翌年(1962年)に刊行された本書には、「凡庸な悪・アイヒマン」と、裁判の生々しき様子が描かれている。

※本書は一九六二年に角川新書で刊行され、一九七二年に文庫化された作品を復刊し、著作権承継者による解説を加えたものです。
底本には一九七五年の文庫第七版を使用しました。

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Posted by ブクログ

 ユダヤ人(など)の大量殺人、ホロコーストにおける、主に殺害対象者の絶滅収容所等への鉄道輸送を一手に担ったアドルフ・アイヒマンの経歴と裁判記録。生き残りの被害者の生々しい虐待の経験の証言が第一部に置かれその後アイヒマンの経歴とナチ・ドイツによるユダヤ人迫害の経過が折り混ざったような文章が続く。  全体として、アイヒマン裁判の記録の面もあるがアイヒマンの個性とナチ・ドイツのホロコーストの概説書の側面が強いか。

 本書にもあるように、文学を超えた出来事であるのでこのような本の方がいわゆるホロコースト文学を読むより今日的教訓になると思われる。例を上げれば、やはりホロコースト研究所を読む方が「夜と霧」や「アンネの日記」を読むより、ヨーロッパ近現代史におけるホロコーストの位置づけやその台頭の理由が視野広く見通せるようになるし、これらの蛮行の背景的思想である反ユダヤ主義(他民族差別)や、本書には殆ど触れられないが今日では欠かすわけにはいかぬ安楽死作戦における優生思想に対抗する視座を獲得しやすくなる。日本人によるヨーロッパ文明の根幹をなすキリスト教やその起源であるユダヤ教などへの文明批評的側面も持つ書籍である。良書認定。

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2020年08月12日

Posted by ブクログ

裁判記録を元にしたノンフィクションとなっており、強制連行されたユダヤ人の生き残りの証言は非常にシビアで重い。映画や教科書では語られない、ホロコーストの現実を知ることができる一冊。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

ホロコーストを生き延びた人々の証言が生々しい。
戦争が終わった後に敗戦国を裁くということの矛盾。日本人なら東京裁判に思うところがあるが、ナチスとイスラエルでも同じ構図がある。考えさせられる。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

ユダヤ教から生まれたキリスト教のローマ征覇以来、ヨーロッパにおいてユダヤ人がどのような立場に置かれてきたのか。またそれがどのようにナチスドイツに受け継がれたのか。

はじめて、そういうことを知れた。

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2020年05月30日

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