【感想・ネタバレ】西成山王ホテルのレビュー

あらすじ

片足に障碍を持ちながら山王町で水商売をする澄江は年下で喘息持ちの高井と心を通わせるが、西成で生きる人々の業がふたりに悲劇をもたらす(「湿った底に」)。裕福な家に育ち空虚な人生を送っていた青年と夜の街で奔放に踊る女性。互いに惹かれあいながらもすれ違う男女の行方(「落葉の炎」)。「魂の観察者」と称された作家が大阪西成を舞台に描く傑作短篇集。

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Posted by ブクログ

時代は1950年代。西成地区に住む人々の粘り気のある生活や仄暗さ、無数の重たい不安がどっぷりと貼り付いてくるような小説だった。

あの場所に行ったこともなければ昭和30年代に生きたこともないはずなのに、ドヤ街に漂う湿った生ぬるい空気や、ピンク色のネオンの光までもが目の前に広がるように見えてくる。

「落葉の炎」の間柄不二という女の子の呪われた運命がやるせないほど哀しく、未だに不二を思い出すと胸が痛む。遅効性の毒を持っている作品だった。

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2025年07月21日

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