【感想・ネタバレ】介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ここは沼津市のデイサービス施設「すまいるほーむ」。デイルームや入浴介助の場で、ふと語られる記憶の数々。意外な戦争体験、昭和の恋バナ、心に沁みるエピソード。多彩な物語が笑いと涙を呼び、豊かな時間が流れる。聞き書きや思い出の味の再現、人生すごろくなどユニークな取り組みが問いかける、老いることの価値とは。深い気づきと新鮮な感動に満ちた一冊。『介護民俗学へようこそ!』改題。(解説・伊原和人)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

民俗学の研究者だった女性が、介護施設で働きながら、「聞き書き」のスキルを生かしてみたところ、施設運営やサービスが劇的に変化していく。

民俗学X介護という組み合わせがビックリな組み合わせだが、介護する対象が歴史の詰まった高齢者なのだから、ある意味情報の宝庫と日々接しているようなものだ。

風船爆弾工場の話や、満洲での生活など、大変興味深い生活史。

ただの機能低下した老人の世話、ではなくて、「あなたに興味がある」と真摯な眼差しを向ける介護者によって、おじいちゃん、おばあちゃんが劇的に変わり始める。盆踊りの振り付け指導したり、お料理の腕を奮ったり。

思い出の味の再現クッキング、リアル人生すごろく、いいね。

人生の最後にこんな風にヒューマンに扱ってくれる介護者に出会えたご老人たちは幸せだと思う。
「回復や機能向上を目指すだけじゃなく、ゆっくり下降する生活」

自分も愉快な仲間に囲まれ、楽しいイベントやりながら老いる、素敵な老人ライフ送りたいなぁ。


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2020年10月29日

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