あらすじ
資本主義社会はどのように捉えられてきたか。経済学はどのように教育されてきたか。偉大な経済学者たちの思想や学説の違いなど、経済思想史家の立場から経済学の初歩を説いた入門書。
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Posted by ブクログ
経済学の入門書。経済思想史家が書いているのでスタンダードな入門書とは書き方が異なる。著者も述べているように、スタンダードな教科書を勉強した上で読むと視野がグンと広がるような本に仕上がっている。経済学について完全に知らない人が読むと難しい点には注意。
この本は経済学初心者にぜひおすすめしたい。理由は、経済学の不可解さについてのヒントがあふれているからである。たとえば第二章で経済学教科書を比較している。一口に教科書と言っても時代や書き手によって力点や取り上げられるトピックがどんどん変わるため、経済学の多様性と分かりにくさがよくわかるはずである。有名な経済学者の資本主義についての見方や思考法を比較する第一章や第四章もまた、同様に経済学の深さを読者に感じさせてくれる。
教科書だけではなかなか目にすることのない経済学者や経済思想についてのトピックも多い。過去の偉大な学者の自伝を読むことなどによる歴史研究の醍醐味も第五章で書かれていて、経済思想や経済学史の面白さを伝えようとする著者の情熱の賜物だろう。
総じて「経済思想史への招待」「思想史の面白さ」といった趣の本である。経済学の教科書が無味乾燥で飽きてきた大学生が息抜きに読むと目線が変わって新鮮だと思う。本書を読み終わりさらに思想史に興味がでてきたら原典や専門的な研究書を読んでみるのもいい。