あらすじ
小さな分子が社会を変えた!
化学構造式の読み方も身につくユニークな世界史
砂糖、綿、抗菌剤、ゴム、ニコチン、PCB…身近な物質の化学的な働きが、
東西交易や植民地支配、産業革命、公衆衛生、戦争と平和、法律など
人類の発展に与えた影響を、エピソード豊富に分りやすく解説。
文明の発達を理解するための独創的なアプローチ。
こんなあなたにお勧めします。(「訳者あとがき」より)
1 化学を学び損ねた人(本日が再スタートのチャンスです)
2 化学が嫌いだった人(分かれば好きになるものです)
3 知識を増やしたいビジネスマン(すぐには役立たない知識にこそ価値がある)
4 国立大学めざす受験生(一冊で世界史と化学の二科目はお得です)
5 大学に入ってこれから化学を学ぶ人(スタートダッシュが大事です)
6 化学を専門にするが人文科学も好きな人(私でした)
7 授業用に雑学ネタが欲しい化学科の教授(ネットで簡単に深く掘れます)
8 偶然これを手に取ったあなた(家に帰って構造式を実際に書いてみましょう)
<目次より>
一章 胡椒、ナツメグ、クローブ――大航海時代を開いた分子
二章 アスコルビン酸――オーストラリアがポルトガル語にならなかったわけ
三章 グルコース――アメリカ奴隷制を生んだ甘い味
四章 セルロース――産業革命を起こした綿繊維
五章 ニトロ化合物――国を破壊し山を動かす爆薬
六章 シルクとナイロン――無上の交易品とその合成代用品
七章 フェノール――医療現場の革命とプラスチックの時代
八章 イソプレン――社会を根底から変えた奇妙な物質
九章 染料――近代化学工業を生んだ華やかな分子
十章 医学の革命――アスピリン、サルファ剤、ペニシリン
十一章 避妊薬――女性の社会進出を後押しした錠剤
十二章 魔術の分子――幻想と悲劇を生んだ天然毒
十三章 モルヒネ、ニコチン、カフェイン――阿片戦争と三つの快楽分子
十四章 オレイン酸――黄金の液体は西欧文明の神話的日常品
十五章 塩――社会の仕組みを形作った人類の必須サプリメント
十六章 有機塩素化合物――便利と快適を求めた代償
十七章 マラリアvs.人類――キニーネ、DDT、変異ヘモグロビン
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Posted by ブクログ
化学物質という側面から歴史を見る面白さに気がついた。各分子が人類にどのように影響を与えたのか分かりやすく書いてありとてもためになった。分子自体は小さい変化でも作用として大きく変わるところが化学の面白いところ、もっと勉強しとけばよかつた。エピローグにあったように今の時代に最も影響した分子がなんなのか未来の人たちに聞いてみたい。
Posted by ブクログ
日記を見るにどうやら一か月以上、この一冊を読んでいたらしい。P・ルクーターとJ・バーレサンの共著であり、小林力訳「スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質」だ。初めは表紙がカッコいいと思って二階の本棚に飾っておいたのだが、次第にいつまでも置いておくことの罪悪感が芽生え始め、一度手を付けたら非常に面白くて堪能してしまった。裏表紙を見たら定価が2600円+税金ということで、かなり高価な部類に入る著書なのだが、メルカリで買ったため半額くらいだったと思われる。タイトルから想像できるように化学物質と世界史のつながりを描いていて、全17章に分かれているのだが、このチョイスがすごくいい。本当に日常生活に溶け込んでいる物質から取り上げていって、次の物質を連想できるような構成になっている。例えば大航海時代を切り開いたスパイスの刺激物質であるピぺリンから、同時期に多発した壊血病の原因物質であるアスコルビン酸、ビタミンCを取り上げる。さらに大航海時代の奴隷貿易で莫大な利益を上げた砂糖の生成という観点からグルコース、グルコースの集合体ということでセルロース、セルロースはニトロ基が付くと起爆性が生じることから爆薬、主にニトロ化合物の話になっていく。こんな感じで、基本的に話が繋がっているから、読んでいて小気味いい。これが砂糖の話から爆薬の話になって、アスコルビン酸の話からモルフィネの話にでもなったら情緒が不安定で読みづらいことこの上ないが、そういう懸念はない。何よりもベースが世界史だから、その時点でストーリー性があって面白い。ただ思うのは、もう少し世界史の知識があればより楽しめたのだろうと思う。だから将来的に世界史を学んでから、改めて読み直したい本だ。あと非常にいいと思ったのは、化学構造式が明記されており、そのたびに読者に丁寧な説明が施されていたことだ。あくまでも一般書だから専門的な用語はあまり使わず、図解してくれている。いままでいろいろな本を読んだが、この本ほど図というものを巧みに使用している本はなかった。だからある意味では科学の本でもあるし、世界史の本でもあるし、一般の書でもある。ただそこに壁を作っていないので、新しい知識に触れるという新鮮さもあって、化学の入門という感覚もあり、非常に本作りがうまいと思った。それでいて訳者も上手だ。原文は読んでいないが、和訳に柔らかみがあり、図解も相まって硬いながらも柔らかい本になっている。歴史の中で化学物質のような微小な存在を意識することはあまりないのだが、生物兵器のようなものが作られ使用までされたことを考えると、その存在は極めて重要である。そのことに気づかせてくれるような本だ。本当に面白かった。
Posted by ブクログ
理科は得意だが歴史が苦手だった私に、歴史の面白さを教えてくれた思い出深い1冊。様々な化学物質が人類の医学的・文化的発展にどう貢献したのかが良くわかる。特に、フェノールやペニシリン等の医薬品を発見した先駆者達には感謝しかない。
Posted by ブクログ
全ての原点とも言える化学物質から始まる化学反応、我々人類は日々自然の恩恵を受け、また、時には戦い、それらの歴史には常に化学が存在しています。ふとした日常、近代話も多くとても興味深く読むことができました。(食べ物好きなので特に…)そこそこの分厚さではありますが、一気に読める本で、興味本位でもこの一冊を読む事で私たちの「生活」そのものの本質に少しでも気づくことができるような、ここ最近で読んだ中で一番面白い本でした。
Posted by ブクログ
化学の本としても、読み物としてもなかなかよく出来ている。話のつながり具合がうまく、各章のボリュームもちょうどよい。いろんなレベルの人が読んでも、なるほど、と思える部分があると思う。
Posted by ブクログ
化学と歴史は思いの外、関係が深い。 いくつもの大きな歴史の転換点に化学物質が関わってきた。 大航海時代に求められたスパイスの香料成分、航海とビタミンC、等々。 この本は、あえて化学式をきちんと示し、何がその機能を分けているのかを解説する。 エピソードとしてだけでも十分面白いけれど、何故そうなのかを理解すれことでより深い理解が得られる。 登場する物質は有機化学系が中心だが、塩のような基本的な物質も取り上げられる。
興味深かったのは、染料の話。 その開発がやがて、医薬品の発達につながってゆくというという展開が面白かった。 化学と政治の関係を考察する材料にも事欠かない。
Posted by ブクログ
ある化学物質がこんな歴史を作った・・・!
この切り口は本当に面白かった。
新たな化学物質が生み出される度に様々な歴史も同時に生まれるんだなぁとしみじみ。作られる物質は時には環境への負の遺産になることもあるし、沢山の命を奪うこともある。でも、化学物質が悪いのではなくて、それを使用する人間の心が悪いのだと思う。そう感じました。化学者達の生き様に関するくだりも面白かった。
構造がそっくりでほんの少しだけ官能基が違う物質が、全く性質の異なる物質になることを構造式を交えて解りやすく解説してあった。
もしかすると理系じゃない人には取っつき難さを感じるかもしれない。けど、解説が詳しく書かれているので、専門用語がちんぷんかんぷん!みたいなことにはならないと思う。
私自身は理系だからかもしれないが、出てくる物質や反応過程の構造式が全部書いていたので、すっごく読みやすかった!
Posted by ブクログ
<歴史の陰に化学物質あり>
古来、数多くの事件が歴史を動かしてきた。事件の陰にはさまざまな要因がある。その中に、化学物質もあったのだ、というのが本書の視点。
これが抜群におもしろい。
取り上げられている物質は、スパイス・ビタミン・糖・繊維・爆薬・ゴム・染料・薬品・麻薬・塩等、幅広い。
特筆すべきは、構造式がかなり数多く掲載されていて、分子の役割を考える上で非常にわかりやすいこと(亀の甲が嫌いだった方も、逃げないでー。テストはありません)。
例えば、グリコーゲンはグルコースが重合した貯蔵多糖であり、動物に利用されている分子だが、この分子には多くの枝分かれがある。このため、いざ栄養分が必要になった際、枝の先から多くのグルコースが遊離し、迅速な栄養補給が可能になる。こういう話は構造式を見て、分子の模式図を見れば一目瞭然。
細かいこぼれ話をちりばめて興味を惹きつつ、大航海を誘発したスパイス、魔女狩りの陰にあった薬草や毒草の成分、冷媒や絶縁体としてすばらしいと目されたが、後に思わぬ問題が表出した有機塩素化合物など、歴史の大きなうねりの中で少なからぬ役割を果たした化学物質について、全17章に渡って解説していく。
大航海時代、船乗りたちはビタミン不足から壊血病に苦しんだ。クックは船乗りたちの食事に新鮮な野菜や果物を取り入れて、航海を成功させた(二章:アスコルビン酸)。
オリーブは油の原料として非常に珍重されたが、根がまっすぐであり、表土を保持できないために土地が荒れ、古代ギリシャの衰退に一役買ったという。だが後に、石鹸の原料として人々の衛生状態を支えた(十四章:オレイン酸)。
アフリカ人の中には、マラリアに対抗するため変異ヘモグロビン(鎌形赤血球)を持つようになった人がいる。このためマラリアに強くなり、アメリカ先住民が倒れる中、アフリカ人が残ったという。これが奴隷貿易を支える一因になったのではないかという見方もできる(十七章:マラリアvs.人類)。
大学1・2年の方には特におもしろく読めると思うし、そうでなくても文系・理系どちらの人にもおすすめです~。
*原題は”Napoleon’s Buttons”。ナポレオンのロシア遠征が失敗したのは、軍服のボタンが低温に弱い錫だったため、という説がある。錫は低温で粉末化する。服を留めることができず、防寒の用をなさなかったというのだ。これには異論もあるようで、真偽のほどは定かでないが、なかなか興味深い。
これ、最近どこかで似たような話を読んだ気が。南極を目指したスコット隊の燃料タンクの金属が腐食(?)して燃料が漏れてしまっていた、というような話。これも錫だったのかなぁ・・・? 燃料漏れの話は、多分、科学雑誌のどれかで読んだと思うのだが、確認しようと思って探したけど行き当たらず。どなたかご存じでしたらご教示ください。
Posted by ブクログ
とりあえず本屋で表紙買い。(いや、手にとってみたくなるような洒落た表紙デザインってすごく大切だと思うんだ……)
そして大当たり。確かに化学式は多いけれど、絵だと思って眺めてみれば、なんとなく違いがわかってくるから不思議。
内容については帯にもあった「身近な物質の化学的な働きが、人類の発展に与えた影響を豊富なエピソードを交えてわかりやすく解説した一冊」で事足りる。
でも、そのエピソードの選び方が、ほんとに身近で面白い。
「これ(ラクトース(乳糖)の化学式)を見たときに、OHが上についているか、下についているか。ただこれだけの違いで、おなかがごろごろする牛乳か、そうでない牛乳かに変わってくるんだよ」(P65)
「女王バチと働きバチの分子の違いも、たったこれだけなんだけど、見た目がこれだけ変わってくるんだよ」(P15)
―――「せんせーがなんかまた違う本読んでる」「どんなことが書いてあるの?」というので覗き込んできた生徒(五年生)たちに、こんな説明をしたときに、彼らの目がどれほど輝いたことか!
往々にして世の中には、なにかというと「文系」「理系」の二つでくくりたがる(分類したがる)人がいるわけなのだけど、それがいかに馬鹿馬鹿しいか、ということもあわせて教えてくれる一冊でもあったことは特記しておくべきだと思う。
科学も化学も普段の生活に直結して存在している。
おなかの掃除をしてくれるセルロースと、お砂糖の甘みのグルコースの名前が似ているのにはちゃんと理由がある。
「紫」「赤」を染め出す染料の分子式の複雑さと、「茶」を染め出す染料の分子式のシンプルさを並べてみたときに、なぜ、平安時代では「赤」が年配の色とされたのか、官位が高いもののみ着用を赦される禁色とされたのか、理屈で理解ができるはず。
(分子式が複雑→反応させるのが難しい→金と手間がかかる)
「なるほどなるほど、そういうわけだったのかー」という、知ったときの楽しみと快楽を味わうことができるという意味でも、非常にお勧めの一冊だった。
Posted by ブクログ
世界史(主に近代、現代史)を有機化合物から読み解く、極めてユニークな一冊。これ一冊を種本に1年間、中学校か高校で講義をしたら化学志望者が激増するんじゃないかと思う。
大航海時代が香辛料を求めて花開いたことは雑学で知っていても、そこの世界史的な前後関係と、各物質の化学構造式と性質が並列で学習できる。前章で紹介された物質から、次の物質への構成の繋がりもまさに有機的。第一章の香辛料から第二章のアスコルビン酸(ビタミンC)といったように、大航海時代の次の段階に話が進んでいく。
邦題が二匹目のドジョウなので(銃、病原菌、鉄)なので期待してなかったが、おすすめ。
Posted by ブクログ
世界を変えた化学物質について。
香辛料が世界をがらりと変えた、というのはそれなりに知られた話だ。
香辛料のおかげで、今までは塩漬けや乾燥させることでしか保存の利かなかった食料が、別の方法で保存され、味にもバリエーションが増えた。
それはたとえば、香辛料の持つ、とある化学物質の働きによるものかもしれない。
そういうものが17種類書かれている。
歴史を変えた、といってもたしかに過言ではないと感じる。
化学式もところどころ散見されるが、本当に一部で、内容を補足する程度、もっと言えば、読み飛ばしても大丈夫なくらいにしか出て来ない。
化学式にアレルギーがある人でも、興味があればチャレンジすべき。
形を見て、「似ている」とわかれば、ラッキーくらいの感覚で読めると思う。
Posted by ブクログ
全然中身が違うものが一冊に収まっている、だって?
いやいや、どれもこれも、分子レベルで見れば化学という物でつながっている。
構造式を描くことで、見てわかる……?
……バケガクかぁ…構造式、習ってないしなぁ…。
そう、大学受験の時に、理系文系で分けられた上に、国立か私立か選ぶときに、理科はほとんど私の人生から消えてしまったのだ。
高校時代の知識なんて遠い知識で、手が二本あって……確か分子式だとこう書いたような。
うーん、形は綺麗だけどさ、やっぱりさ、とっつきにくいんじゃない?
だが、訳者あとがきで「そんなあなた」におすすめされたら、読むっきゃない。
構造式そのものは見てわかるレベルにはない。
だが、ここが置き換わることでこう変化する、というのが確かに構造式で見ると分かりやすいのだ。
ニンジンの色とサフランの色、カフェインとテオブロミン。
たったひとつ違うだけで別の分子になってしまう不思議。
最近職場で関わることの多いPCB。
毒性が強く、処理方法が定められているのだが、その理由がわかった。
それに、フロン。オゾン層の破壊につながりますーなんていわれていたが、そもそもなぜ使われ始め、どのような経緯で作られたのか、本書を初めから読むことで、物質の関連性がわかるようになっている。
こういう物語の連なりはわかりやすいし記憶に残る。
文系だから、理系だから、ではなく、気持ちの赴くままに。
歴史も化学も、どちらもたまらなく面白い。
Posted by ブクログ
自然のものであったり人工のものであったりする化学物質について、それぞれの物質を軸に世界史への影響を解説する。物質ごとに17の章立てになっている。化学物質の性質の解説だけでは単調だろうが、その発見や利用の歴史と絡めると、両者のケミストリーにより面白い読み物になる。いろいろ知らなかったことが満載で消化不良気味だが読んでみて良かった。
分子式を使って解説していることのメリット
・分子の構造の単純/複雑が直感的に分かる
・似た物質の類似の程度、共通パーツが分かる
・異性体についても分かりやすい
・シルクとか脂肪とか、分子の形状が性質を決めるのが見える
昔の人は新しい物質はどんどん人体実験をして、利用価値を見極めていたものだ。
<復習>
グルコース(ブドウ糖) 単糖類で六員環構造 OHの位置によりα・βの2種類
普通の哺乳類の脳は栄養分としてグルコースのみを使う
スクロース(蔗糖、いわゆる砂糖) 二糖類 グルコース1分子+フルクトース1分子
フルクトース(果糖) グルコースの異性体で五員環構造 ブドウ糖や蔗糖より甘い
ラクトース(乳糖) 二糖類 グルコース1分子+ガラクトース1分子
セルロース αグリコースのポリマー(多糖類)。構造多糖。直線構造。
アミロース βグルコースのポリマー。貯蔵多糖。らせん構造なので水に溶ける。
アミロペクチン βグルコースのポリマー。アミロースが枝分かれしたもの。
でんぷんの成分の2-3割はアミロース、7-8割はアミロペクチン。
グリコーゲン 枝分かれがアミロペクチンより激しい。
先端が多いので急激な燃焼が可能。よって動物の貯蔵多糖である。
Posted by ブクログ
タイトルは「スパイス、爆薬、医薬品」となっているが、そのどれもが化学式にまで還元した本質のレベルで語られるところが本書の特徴。そして、それらの科学的な組成を語りつつ、どう世界を変えた物質なのかという歴史的な位置づけに射程が届いているのがすばらしい。「世界史を変えた17の化学物質」という副題のうちの、「化学物質」というところにポイントがある。だって、これらの化学物質は、そのおおもとは「自然」に由来するのだ。シルクもナイロンも、結局は化学式に還元することで本質が見えてくる。その姿勢が、読んでいて好ましい。
Posted by ブクログ
世界史(文明史)を化学物質に注目してみた一風変わった本。
世界史を大きく変動させたと思われる17の化学物質について化学構造式を使って読み解こうという試み。
取り上げられている物質はビタミンC,砂糖、ナイロン、ゴムなどといった一見すると地味なものが多いのだけれど、たしかにそれらの物質一般化する前と後では世界の状況は大きく変わったものが多いことに驚かされる。
それらの物質について化学構造式の説明を踏まえて歴史にどのような影響があったのかを考察している。
この化学構造式の説明が秀逸で、学生時代意味も分からずただ覚えるしかなかった構造式がこんなに魅力的に見えるとは想像もつかなかったです。
高校の授業でもこういうクロスオーバー的なものが主流になれば実になる知識となるんじゃないかなーと強く思う。
なぜ魔女には箒が付き物かというと、箒の柄に薬剤を塗って頭でない毛の生えた部分に(ry といった感じで雑学ネタも豊富。統一性はあるといえないけれど呼んでてとても面白い本でした。
Posted by ブクログ
あまり普段の生活で意識されることが無いが、化学は人類の生活の基盤を形作っている。この本で紹介されているのはごく一部でしかないが、化学によって見いだされた素材が無ければ現代の生活は全くと言って成り立たない。インターネットが世界を変えるなどと言ってみても、それは化学が人類の歴史に与えた影響に比べたら、ほんの表層的なことにすぎない。そんなことをいくつかの事例とともにわからせてくれる本。
Posted by ブクログ
人類の歴史は戦争は歴史。そのほとんどは資源の争奪が引き起こしている。スパイス、ゴム、ニコチン、モルヒネ、カフェイン、塩、砂糖。
戦争をしない化学物質の発見はいつになるのか?
Posted by ブクログ
タイトルは「銃・病原菌・鉄」の二番煎じっぽいけど、全然違う。世界史の本と思いきや、完全に有機化学の入門書。簡単な構造式から説明していて手取り足取りに見えるけど、急に専門的なことを言い出して初心者を置き去りにしてくれるので油断ならない。
Posted by ブクログ
題名からも分かるように、色々な化学物質からそれが人類の歴史をどう発展させたのかを語る本。ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』みたいな題名だけれど、こちらは人類の栄枯盛衰を描く歴史理論のようなものはない。ただ、純粋に読み物としての面白さ、教養になる満足度は高い。
化学的な素養がないと難しいかなと思ったが、そんなに難解なところはなかった。化学物質そのものよりも、それが人類に及ぼした影響に主眼を置いているからだと思う。それよrkも、翻訳本特有の字の多さに慣れないと読み通すのは難しいかも。
資源や嗜好が貿易の原動力になり、戦争のかたちを変えて、人間の生き方を変えたということを、とても興味深く読むことができた。世界の広さを実感する本であるとも思う。
Posted by ブクログ
題名がベストセラーに引っかけすぎだ…と思いつつ中身はほんとに面白かった。歴史×化学!亀の子の記号の見方も分かりやすいし、「乾きやすい繊維=水分子を取り込みやすい」とか、「爆発=反応の大きさ」とか。もう日常のモノ、現象を式でイメージするという視点が生まれてためになった。
Posted by ブクログ
身近に溢れている(一部を除き)物質の歴史を繙き、その価値・利用法・人体への影響等を化学式で分かり易く説明。へぇ~と思うことしきり。本当に勉強になります。
Posted by ブクログ
『銃、病原菌、鉄』は生物学的、人類学的に歴史や地理を考察した本だったけど、これは、化学を通してみたもの。
大学教養過程の化学通論の授業みたい。
文中に化学式がたくさんあるけど、化学が苦手な人にもわかるようにエッセンスだけ書いてあるので、化学嫌いな人、文系の人にも読みやすいはず。
Posted by ブクログ
ちょっといろいろ挙げすぎていて浅い感じはするが、そこそこおもしろい。
火薬、ゴム、染料、ピルのあたりがおもしろかった。化学式や構造図みたいなのが載ってるのが特徴。
しかしまあ19〜20世紀の化学の進歩はすごいし、発明家たちは偉い。
「男性用の避妊薬はなぜ開発されなかったのだろうか?……マーガレット・サンガー、それからキャサリン・マコーミックはピルの誕生に決定的な役割を果たした。二人とも、女性こそが避妊をコントロールするべきだと信じていた。避妊薬が男性用であった場合、彼女らがその開発を支援したかどうかは疑わしい。」p.225
「男性用避妊薬の難しさは、生物学の問題である。ノルエチルドロンは天然のプロゲステロンが……排卵を止めること……を真似ているだけである。男性にはそのようなホルモン周期がない。現在のところ、毎日数千個に及ぶ精子の生産を止めることは、一ヶ月に一個だけの卵子の成熟を止めることよりはるかに難しい。」 p.225
Posted by ブクログ
化学という切り口から歴史を語る本。香辛料や薬など身近にあるものに新たな視点を加えてくれる。単なる読み物としてではなく、化学の構造式まで書かれており、構造式をしっかり理解できる人はより本書を楽しめるかもしれない。とはいえ、身近なものを扱っているので、化学にまったく疎い人でも、歴史的な背景を知ることができため、十分読み応えがあり、楽しめると思う。
Posted by ブクログ
化学物質の歴史を分かり易い文章で綴っているイメージ。科学に興味のあるけどまだあまり知識のない学生とかでも読めるので良いのではないでしょうか。興味深い内容も多く私はスラスラ読めました。
Posted by ブクログ
色々な化学物質の成り立ちと、それが社会・歴史に及ぼした影響を説明してある。
化学の知識があったほうが、面白く読めるが、化学式がわからない人でも、歴史書のような感覚で読める。
第二弾もあれば、ぜひ読んでみたい。
Posted by ブクログ
化学式は出てくるが化学物質にまつわる歴史の本と言った方が良いか、17の化学物質は重なりながら次の章へと続いている。
出だしは①スパイス、胡椒のピペリン、唐辛子のカプサイシン、生姜のジンゲロンは似た様な骨格を持ちこれが辛さに共通するのではないかと言う。ちなみに辛みは痛覚で感じる。クローブとナツメグを支配するためオランダはイギリスが支配するバンダ諸島のルン島をマンハッタンと交換する。そしてニューアムステルダムはニューヨークとなった。
スパイスへの探求が大航海時代の始まりならばそれを支えた化学物質は?②アスコルビン酸=ビタミンCである。イギリスのキャプテン・クックは記録に残る中では壊血病を克服した最初の船長だと紹介されている(明の鄭和の方が先だろう)。もしポルトガル人がビタミンCの効能を発見していたらポルトガル語が世界をしはいしていたかも。
ビタミンは③糖から合成される。サトウキビの栽培は奴隷制を伴いヨーロッパに莫大な利益をもたらした。糖がつながったものが④セルロースで綿の主成分である。紡績業が産業革命の原動力であった。セルロースを溶かす方法が見つかった後もう一度糸に戻すのがビスコースレーヨンでフィルムにしたのがセロファン、合成繊維ではなく天然繊維である。セルロースを硝酸にひたすとニトロセルロースができる。
⑤火薬の発見は古い、硝酸塩、硫黄、炭を混ぜると黒色火薬ができるが紀元1000年頃までは配合は秘密にされていたようだ。ニトロセルロースの発見と同時期に硝酸と有機化合物の反応をさせる研究が進みニトログリセリンが発見された。ニトログリセリンは爆発しやすく扱いが難しい。珪藻土に吸わせると言うアイデア=ダイナマイトを見つけたのがノーベルだが本人は狭心症の治療薬としてのニトログリセリンは拒んだらしい。ダイナマイトは破壊力が強すぎ銃の火薬としては適さず新たな化合物としてピクリン酸とトリニトロトルエンが発見される。この二つはほぼ同じ骨格をしている。ニトロ化合物を作るための新たな合成法として空気中の酸素と窒素からアンモニアを作る方法が発明される。このアンモニアによる肥料の増産が農業の生産力を高めた。化学肥料の発見である。
⑥シルクは天然のタンパク質からできているが人工のシルクを作る試みとしては爆薬の原料でもあるニトロセルロースが使われた。作ったのはパスツールの弟子シャルドネでカイコの病気の研究から模造したシャルドネシルクは元が爆薬だけに燃えやすくやがてレーヨンに取って代わられた。レーヨン製造から始まったデュポン人絹会社は次いでナイロンを作り出す。ナイロンとシルクは共にアミド結合でつながったポリマーである。
この後も紹介しきれないが最初のプラスチック原料⑦フェノールは外科手術用の殺菌剤にもなり⑧イソプレンは天然ゴムの原料で合成ゴムの製造法の研究がプラスチックを発展させる。爆薬の⑨ピクリン酸は染料になり染料化学は⑩アスピリンから始まる医薬品の基礎となる。他にもホルモンの研究から⑪ピル、⑫植物アルカロイドからの天然毒、⑬麻薬、オリーブオイルの成分で石けんの原料となる⑭オレイン酸、⑮塩、⑯塩素化合物、⑰マラリア特効薬の期ニーネとDDTとトリビア満載。
Posted by ブクログ
・ノーベルは真に恐ろしい兵器こそ抑止力として、世界に平和をもたらすと固く信じていた。軍需品製造者でありながら、平和主義者であるという矛盾。
・研究⇒発見⇒特許化⇒商品化 PCのない時代に凄いや‼と思うが、PCがない時代の方がはるかに長いのに、想像すらできない。これは退化なんじゃないか。
・ペニシリンの化学構造が明らかになり、さらに合成に成功したのは、なんと1957年。今からわずか56年前。
・化学の構造式というもっとも苦手なものが、まるで絵本の絵のように描かれている本を手に取ってしまった。しかし、構造式によって本質が明かされてゆく。それは今後の人類を救うことになるのは明白。
薬草やスパイス、爆薬などにより人口が変動し奴隷が作られ、戦争が起きてきた。
あとがきもよかった。
Posted by ブクログ
歴史上で大きな役割を果たしたと思われる有機化合物を20種ほど選び,その発見や,歴史について簡単に触れた後,その物質の科学的特性を化学式を使って解説している.
前後の関連も意識して配列してあるが,基本的にはどの章も独立で興味のある章から読み始めるのがいいと思う.私にはとても面白いいくつかの章(例えば避妊薬をはじめとするステロイドを扱った11章など)と,あまり興味がわかない章が混在していた.
歴史の解説は概して軽めで,化学的な解説により重点がある.その物質自体の歴史(つまり,単離,構造決定,合成などの歴史)もふれられている.分子構造からくる物質の特性の解説が似たような構造や性質をもつ物質へ広がっていくのがとてもおもしろかった.