【感想・ネタバレ】スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質のレビュー

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Posted by ブクログ 2014年02月17日

全ての原点とも言える化学物質から始まる化学反応、我々人類は日々自然の恩恵を受け、また、時には戦い、それらの歴史には常に化学が存在しています。ふとした日常、近代話も多くとても興味深く読むことができました。(食べ物好きなので特に…)そこそこの分厚さではありますが、一気に読める本で、興味本位でもこの一冊を...続きを読む読む事で私たちの「生活」そのものの本質に少しでも気づくことができるような、ここ最近で読んだ中で一番面白い本でした。

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Posted by ブクログ 2013年03月25日

化学の本としても、読み物としてもなかなかよく出来ている。話のつながり具合がうまく、各章のボリュームもちょうどよい。いろんなレベルの人が読んでも、なるほど、と思える部分があると思う。

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Posted by ブクログ 2013年02月14日

化学と歴史は思いの外、関係が深い。 いくつもの大きな歴史の転換点に化学物質が関わってきた。 大航海時代に求められたスパイスの香料成分、航海とビタミンC、等々。 この本は、あえて化学式をきちんと示し、何がその機能を分けているのかを解説する。 エピソードとしてだけでも十分面白いけれど、何故そうなのかを理...続きを読む解すれことでより深い理解が得られる。 登場する物質は有機化学系が中心だが、塩のような基本的な物質も取り上げられる。

興味深かったのは、染料の話。 その開発がやがて、医薬品の発達につながってゆくというという展開が面白かった。 化学と政治の関係を考察する材料にも事欠かない。

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Posted by ブクログ 2013年01月11日

ある化学物質がこんな歴史を作った・・・!
この切り口は本当に面白かった。
新たな化学物質が生み出される度に様々な歴史も同時に生まれるんだなぁとしみじみ。作られる物質は時には環境への負の遺産になることもあるし、沢山の命を奪うこともある。でも、化学物質が悪いのではなくて、それを使用する人間の心が悪いのだ...続きを読むと思う。そう感じました。化学者達の生き様に関するくだりも面白かった。

構造がそっくりでほんの少しだけ官能基が違う物質が、全く性質の異なる物質になることを構造式を交えて解りやすく解説してあった。
もしかすると理系じゃない人には取っつき難さを感じるかもしれない。けど、解説が詳しく書かれているので、専門用語がちんぷんかんぷん!みたいなことにはならないと思う。
私自身は理系だからかもしれないが、出てくる物質や反応過程の構造式が全部書いていたので、すっごく読みやすかった!

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Posted by ブクログ 2012年05月23日

<歴史の陰に化学物質あり>

古来、数多くの事件が歴史を動かしてきた。事件の陰にはさまざまな要因がある。その中に、化学物質もあったのだ、というのが本書の視点。
これが抜群におもしろい。
取り上げられている物質は、スパイス・ビタミン・糖・繊維・爆薬・ゴム・染料・薬品・麻薬・塩等、幅広い。

特筆すべき...続きを読むは、構造式がかなり数多く掲載されていて、分子の役割を考える上で非常にわかりやすいこと(亀の甲が嫌いだった方も、逃げないでー。テストはありません)。
例えば、グリコーゲンはグルコースが重合した貯蔵多糖であり、動物に利用されている分子だが、この分子には多くの枝分かれがある。このため、いざ栄養分が必要になった際、枝の先から多くのグルコースが遊離し、迅速な栄養補給が可能になる。こういう話は構造式を見て、分子の模式図を見れば一目瞭然。

細かいこぼれ話をちりばめて興味を惹きつつ、大航海を誘発したスパイス、魔女狩りの陰にあった薬草や毒草の成分、冷媒や絶縁体としてすばらしいと目されたが、後に思わぬ問題が表出した有機塩素化合物など、歴史の大きなうねりの中で少なからぬ役割を果たした化学物質について、全17章に渡って解説していく。

大航海時代、船乗りたちはビタミン不足から壊血病に苦しんだ。クックは船乗りたちの食事に新鮮な野菜や果物を取り入れて、航海を成功させた(二章:アスコルビン酸)。
オリーブは油の原料として非常に珍重されたが、根がまっすぐであり、表土を保持できないために土地が荒れ、古代ギリシャの衰退に一役買ったという。だが後に、石鹸の原料として人々の衛生状態を支えた(十四章:オレイン酸)。
アフリカ人の中には、マラリアに対抗するため変異ヘモグロビン(鎌形赤血球)を持つようになった人がいる。このためマラリアに強くなり、アメリカ先住民が倒れる中、アフリカ人が残ったという。これが奴隷貿易を支える一因になったのではないかという見方もできる(十七章:マラリアvs.人類)。

大学1・2年の方には特におもしろく読めると思うし、そうでなくても文系・理系どちらの人にもおすすめです~。


*原題は”Napoleon’s Buttons”。ナポレオンのロシア遠征が失敗したのは、軍服のボタンが低温に弱い錫だったため、という説がある。錫は低温で粉末化する。服を留めることができず、防寒の用をなさなかったというのだ。これには異論もあるようで、真偽のほどは定かでないが、なかなか興味深い。
これ、最近どこかで似たような話を読んだ気が。南極を目指したスコット隊の燃料タンクの金属が腐食(?)して燃料が漏れてしまっていた、というような話。これも錫だったのかなぁ・・・? 燃料漏れの話は、多分、科学雑誌のどれかで読んだと思うのだが、確認しようと思って探したけど行き当たらず。どなたかご存じでしたらご教示ください。

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Posted by ブクログ 2012年05月04日

 とりあえず本屋で表紙買い。(いや、手にとってみたくなるような洒落た表紙デザインってすごく大切だと思うんだ……)
 そして大当たり。確かに化学式は多いけれど、絵だと思って眺めてみれば、なんとなく違いがわかってくるから不思議。

 内容については帯にもあった「身近な物質の化学的な働きが、人類の発展に与...続きを読むえた影響を豊富なエピソードを交えてわかりやすく解説した一冊」で事足りる。
 でも、そのエピソードの選び方が、ほんとに身近で面白い。
 
「これ(ラクトース(乳糖)の化学式)を見たときに、OHが上についているか、下についているか。ただこれだけの違いで、おなかがごろごろする牛乳か、そうでない牛乳かに変わってくるんだよ」(P65)

「女王バチと働きバチの分子の違いも、たったこれだけなんだけど、見た目がこれだけ変わってくるんだよ」(P15)

―――「せんせーがなんかまた違う本読んでる」「どんなことが書いてあるの?」というので覗き込んできた生徒(五年生)たちに、こんな説明をしたときに、彼らの目がどれほど輝いたことか!

 往々にして世の中には、なにかというと「文系」「理系」の二つでくくりたがる(分類したがる)人がいるわけなのだけど、それがいかに馬鹿馬鹿しいか、ということもあわせて教えてくれる一冊でもあったことは特記しておくべきだと思う。

 科学も化学も普段の生活に直結して存在している。

 おなかの掃除をしてくれるセルロースと、お砂糖の甘みのグルコースの名前が似ているのにはちゃんと理由がある。
 「紫」「赤」を染め出す染料の分子式の複雑さと、「茶」を染め出す染料の分子式のシンプルさを並べてみたときに、なぜ、平安時代では「赤」が年配の色とされたのか、官位が高いもののみ着用を赦される禁色とされたのか、理屈で理解ができるはず。
(分子式が複雑→反応させるのが難しい→金と手間がかかる)

「なるほどなるほど、そういうわけだったのかー」という、知ったときの楽しみと快楽を味わうことができるという意味でも、非常にお勧めの一冊だった。

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Posted by ブクログ 2012年04月09日

世界史(主に近代、現代史)を有機化合物から読み解く、極めてユニークな一冊。これ一冊を種本に1年間、中学校か高校で講義をしたら化学志望者が激増するんじゃないかと思う。
大航海時代が香辛料を求めて花開いたことは雑学で知っていても、そこの世界史的な前後関係と、各物質の化学構造式と性質が並列で学習できる。前...続きを読む章で紹介された物質から、次の物質への構成の繋がりもまさに有機的。第一章の香辛料から第二章のアスコルビン酸(ビタミンC)といったように、大航海時代の次の段階に話が進んでいく。
邦題が二匹目のドジョウなので(銃、病原菌、鉄)なので期待してなかったが、おすすめ。

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Posted by ブクログ 2012年03月28日

パラパラとめくるとふんだんに化学構造式が使われていて、なにやらあまり聞いたことのないカタカナの名称がずらずら…。
こんな本、私に読めるのかな…と引き気味に読み始めたが、これがどうして、単に読み物としても非常に面白く、化学はもちろん、世界史もはっきり言って苦手な私でさえ、ぐいぐい読み進めた。

化学を...続きを読む歴史の中で捉え、様々な化学物質がもたらした歴史の変革を見事に解き明かしてくれる。

歴史というと、どうも学校の授業でひたすら事柄と年号を覚えて~という不毛な時間しか連想出来ないでいたが、結局は人の毎日の営みの積み重ね。人々の暮らしがあり文化があり、発見があり、それが歴史を動かし、動いた歴史がまた人々の暮らしを変えていく。
連綿と続いてきた、そしてこれからもそうやって続いていく「歴史」というものの本質に改めて気付かされた名著であった。

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Posted by ブクログ 2012年03月26日

大航海時代を開いたスパイスの成分から、歴史を変えた砂糖(グルコース)、綿花(セルロース)から爆薬(ニトロ化合物)、プラスチック(フェノール)、染料、医薬品(アスピリン、ペニシリン、ピル)、快楽分子(モルヒネ、ニコチン、カフェイン)、環境破壊物質(有機塩素化合物)等の主に有機系の化学物質の歴史に与えた...続きを読むインパクトと発見の物語を17章にわたって描いている。本書がユニークなのは、化学の知識が無い人も読者に想定しているが、敢えて取り上げた化学物質の構造式を使っていることである。この試みが成功してるかどうかは、化学の知識をどの程度持っているかによって違ってくると思うが、構造式無しで話を進めた場合よりも、具体的なイメージが浮かび易くなったのは間違いない。歴史に与えたインパクトも初めて聞くエピソードが多く、このような飛び切り面白い本を送り出した欧米のポピュラーサイエンスのレベルは凄い。

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Posted by ブクログ 2012年02月27日

 有機化学を軸に語られる世界史。人間社会は科学を知る以前から様々な化学物質に翻弄されてきた。科学時代になってからは新たな化学物質が生み出され,それがまた社会を変えてきた。
 そんな,世界史と化学物質の相互作用を見事に描いている。ヴェネチアの繁栄を生み,大航海時代を開いた香辛料,壊血病を防いだアスコル...続きを読むビン酸,高性能な爆薬をもたらしたニトロ化合物,綿やシルクといった繊維,そして医薬品。どの章も興味深く,飽きさせない。
 大航海時代を中心とした第一章,第二章からだいたい時系列で並んでいて,読みやすい。昔のことって今から見るとなかなか想像しにくくて,驚く話も多い。15~18世紀の長期にわたる航海では,壊血病で船員が激減するのを想定し多めに載せて出港したとか。壊血病ゼロを初めて達成したのはクック船長。
 奴隷制度に関連する化学物質。砂糖と綿の二つは分かりやすいが,最終章で挙げられている変異グロブリンは意外だった。サトウキビと棉の栽培に適したアメリカの熱帯地域では,アメリカ先住民よりマラリアに抵抗力をもつアフリカからの奴隷が重宝した。その抵抗力は鎌形赤血球症の遺伝子に起因する。
 産業革命は繊維産業から起こったが,これは機械だけでなく化学との関連も深い。染料の研究は薬品産業の発展へとつながっていく。19世紀後半には,特にドイツが合成有機化学分野で隆盛を誇る。染料と染色法をめぐる激しい特許紛争がイギリスやフランスの染料業界を弱体化していた。
 ドイツのバイエル社も初めはアニリン染料からスタート。アスピリンにもいち早く注目し商業化した。初期の抗菌剤,サルファ剤はガス壊疽の治療に使われた。一次大戦の頃は,傷から入った細菌がガス壊疽を起こすと,生存のために壊疽した四肢を切断するしかなかった。
 そして最初の抗生物質ペニシリン。抗生物質の恩恵は今や誰もが受けている。乳幼児死亡率激減の立役者だろう。避妊薬,特に経口避妊薬も社会を変えた。またモルヒネ,ニコチン,カフェインなどの薬物も,戦争を起こしたり,クーデターの資金源となったり,世界に大きな影響を与えている。
「スパイス、爆薬、医薬品」の範疇に入らないが,塩やフロンも重要な化学物質。人類に不可欠な塩は古代から専売の対象とされてきた。冷凍サイクルを利用した冷凍船は食肉の輸送に威力を発揮していたが,20世紀には冷媒としてうってつけの物質フロン(なぜか本書の表記はフレオン)も合成される。
 1930年,発見者のミジリーはフロンを吸い込んで吐く息で蝋燭を消すという,無毒性,不燃性を示すデモンストレーションを行なった。しかし70年代になるとオゾン層破壊の疑念が生じ,規制されていくことに。PCBも同様の運命に翻弄された。
 初期の麻酔にはエーテルが用いられたが,可燃性で使いにくかった。これを解決するクロロホルム麻酔が登場し,南北戦争などで広く使われた。ビクトリア女王は第八子レオポルドを出産するにあたってクロロホルム麻酔を受けたそうだ。無痛分娩のはしりかな?最近読んだ彼女の評伝には載ってなかったエピソード。

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Posted by ブクログ 2012年02月26日

面白い。科学×歴史で書いたのは新しい視点。どちらも知らないと書けない。科学記号が苦手でめ、ワクワクしながら読める本。すこし高いけど、オススメ。

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Posted by ブクログ 2022年01月16日

全然中身が違うものが一冊に収まっている、だって?
いやいや、どれもこれも、分子レベルで見れば化学という物でつながっている。
構造式を描くことで、見てわかる……?

……バケガクかぁ…構造式、習ってないしなぁ…。
そう、大学受験の時に、理系文系で分けられた上に、国立か私立か選ぶときに、理科はほとんど私...続きを読むの人生から消えてしまったのだ。
高校時代の知識なんて遠い知識で、手が二本あって……確か分子式だとこう書いたような。
うーん、形は綺麗だけどさ、やっぱりさ、とっつきにくいんじゃない?

だが、訳者あとがきで「そんなあなた」におすすめされたら、読むっきゃない。
構造式そのものは見てわかるレベルにはない。
だが、ここが置き換わることでこう変化する、というのが確かに構造式で見ると分かりやすいのだ。
ニンジンの色とサフランの色、カフェインとテオブロミン。
たったひとつ違うだけで別の分子になってしまう不思議。

最近職場で関わることの多いPCB。
毒性が強く、処理方法が定められているのだが、その理由がわかった。
それに、フロン。オゾン層の破壊につながりますーなんていわれていたが、そもそもなぜ使われ始め、どのような経緯で作られたのか、本書を初めから読むことで、物質の関連性がわかるようになっている。
こういう物語の連なりはわかりやすいし記憶に残る。
文系だから、理系だから、ではなく、気持ちの赴くままに。
歴史も化学も、どちらもたまらなく面白い。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

自然のものであったり人工のものであったりする化学物質について、それぞれの物質を軸に世界史への影響を解説する。物質ごとに17の章立てになっている。化学物質の性質の解説だけでは単調だろうが、その発見や利用の歴史と絡めると、両者のケミストリーにより面白い読み物になる。いろいろ知らなかったことが満載で消化不...続きを読む良気味だが読んでみて良かった。

分子式を使って解説していることのメリット
・分子の構造の単純/複雑が直感的に分かる
・似た物質の類似の程度、共通パーツが分かる
・異性体についても分かりやすい
・シルクとか脂肪とか、分子の形状が性質を決めるのが見える

昔の人は新しい物質はどんどん人体実験をして、利用価値を見極めていたものだ。

<復習>
グルコース(ブドウ糖) 単糖類で六員環構造 OHの位置によりα・βの2種類
            普通の哺乳類の脳は栄養分としてグルコースのみを使う
スクロース(蔗糖、いわゆる砂糖) 二糖類 グルコース1分子+フルクトース1分子
フルクトース(果糖) グルコースの異性体で五員環構造 ブドウ糖や蔗糖より甘い
ラクトース(乳糖) 二糖類 グルコース1分子+ガラクトース1分子

セルロース αグリコースのポリマー(多糖類)。構造多糖。直線構造。
アミロース βグルコースのポリマー。貯蔵多糖。らせん構造なので水に溶ける。
アミロペクチン βグルコースのポリマー。アミロースが枝分かれしたもの。
        でんぷんの成分の2-3割はアミロース、7-8割はアミロペクチン。
グリコーゲン 枝分かれがアミロペクチンより激しい。
       先端が多いので急激な燃焼が可能。よって動物の貯蔵多糖である。

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Posted by ブクログ 2014年09月21日

タイトルは「スパイス、爆薬、医薬品」となっているが、そのどれもが化学式にまで還元した本質のレベルで語られるところが本書の特徴。そして、それらの科学的な組成を語りつつ、どう世界を変えた物質なのかという歴史的な位置づけに射程が届いているのがすばらしい。「世界史を変えた17の化学物質」という副題のうちの、...続きを読む「化学物質」というところにポイントがある。だって、これらの化学物質は、そのおおもとは「自然」に由来するのだ。シルクもナイロンも、結局は化学式に還元することで本質が見えてくる。その姿勢が、読んでいて好ましい。

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Posted by ブクログ 2013年06月19日

世界史(文明史)を化学物質に注目してみた一風変わった本。

世界史を大きく変動させたと思われる17の化学物質について化学構造式を使って読み解こうという試み。
取り上げられている物質はビタミンC,砂糖、ナイロン、ゴムなどといった一見すると地味なものが多いのだけれど、たしかにそれらの物質一般化する前と後...続きを読むでは世界の状況は大きく変わったものが多いことに驚かされる。
それらの物質について化学構造式の説明を踏まえて歴史にどのような影響があったのかを考察している。
この化学構造式の説明が秀逸で、学生時代意味も分からずただ覚えるしかなかった構造式がこんなに魅力的に見えるとは想像もつかなかったです。
高校の授業でもこういうクロスオーバー的なものが主流になれば実になる知識となるんじゃないかなーと強く思う。

なぜ魔女には箒が付き物かというと、箒の柄に薬剤を塗って頭でない毛の生えた部分に(ry といった感じで雑学ネタも豊富。統一性はあるといえないけれど呼んでてとても面白い本でした。

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Posted by ブクログ 2013年02月11日

あまり普段の生活で意識されることが無いが、化学は人類の生活の基盤を形作っている。この本で紹介されているのはごく一部でしかないが、化学によって見いだされた素材が無ければ現代の生活は全くと言って成り立たない。インターネットが世界を変えるなどと言ってみても、それは化学が人類の歴史に与えた影響に比べたら、ほ...続きを読むんの表層的なことにすぎない。そんなことをいくつかの事例とともにわからせてくれる本。

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Posted by ブクログ 2012年08月14日

人類の歴史は戦争は歴史。そのほとんどは資源の争奪が引き起こしている。スパイス、ゴム、ニコチン、モルヒネ、カフェイン、塩、砂糖。
戦争をしない化学物質の発見はいつになるのか?

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Posted by ブクログ 2012年07月18日

タイトルは「銃・病原菌・鉄」の二番煎じっぽいけど、全然違う。世界史の本と思いきや、完全に有機化学の入門書。簡単な構造式から説明していて手取り足取りに見えるけど、急に専門的なことを言い出して初心者を置き去りにしてくれるので油断ならない。

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Posted by ブクログ 2012年05月14日

題名からも分かるように、色々な化学物質からそれが人類の歴史をどう発展させたのかを語る本。ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』みたいな題名だけれど、こちらは人類の栄枯盛衰を描く歴史理論のようなものはない。ただ、純粋に読み物としての面白さ、教養になる満足度は高い。

化学的な素養がないと難しいかな...続きを読むと思ったが、そんなに難解なところはなかった。化学物質そのものよりも、それが人類に及ぼした影響に主眼を置いているからだと思う。それよrkも、翻訳本特有の字の多さに慣れないと読み通すのは難しいかも。

資源や嗜好が貿易の原動力になり、戦争のかたちを変えて、人間の生き方を変えたということを、とても興味深く読むことができた。世界の広さを実感する本であるとも思う。

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Posted by ブクログ 2012年05月12日

題名がベストセラーに引っかけすぎだ…と思いつつ中身はほんとに面白かった。歴史×化学!亀の子の記号の見方も分かりやすいし、「乾きやすい繊維=水分子を取り込みやすい」とか、「爆発=反応の大きさ」とか。もう日常のモノ、現象を式でイメージするという視点が生まれてためになった。

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Posted by ブクログ 2012年04月28日

身近に溢れている(一部を除き)物質の歴史を繙き、その価値・利用法・人体への影響等を化学式で分かり易く説明。へぇ~と思うことしきり。本当に勉強になります。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年05月10日

『銃、病原菌、鉄』は生物学的、人類学的に歴史や地理を考察した本だったけど、これは、化学を通してみたもの。
大学教養過程の化学通論の授業みたい。
文中に化学式がたくさんあるけど、化学が苦手な人にもわかるようにエッセンスだけ書いてあるので、化学嫌いな人、文系の人にも読みやすいはず。

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Posted by ブクログ 2020年06月15日

ちょっといろいろ挙げすぎていて浅い感じはするが、そこそこおもしろい。

火薬、ゴム、染料、ピルのあたりがおもしろかった。化学式や構造図みたいなのが載ってるのが特徴。

しかしまあ19〜20世紀の化学の進歩はすごいし、発明家たちは偉い。



「男性用の避妊薬はなぜ開発されなかったのだろうか?……マー...続きを読むガレット・サンガー、それからキャサリン・マコーミックはピルの誕生に決定的な役割を果たした。二人とも、女性こそが避妊をコントロールするべきだと信じていた。避妊薬が男性用であった場合、彼女らがその開発を支援したかどうかは疑わしい。」p.225



「男性用避妊薬の難しさは、生物学の問題である。ノルエチルドロンは天然のプロゲステロンが……排卵を止めること……を真似ているだけである。男性にはそのようなホルモン周期がない。現在のところ、毎日数千個に及ぶ精子の生産を止めることは、一ヶ月に一個だけの卵子の成熟を止めることよりはるかに難しい。」 p.225

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Posted by ブクログ 2022年09月03日

化学という切り口から歴史を語る本。香辛料や薬など身近にあるものに新たな視点を加えてくれる。単なる読み物としてではなく、化学の構造式まで書かれており、構造式をしっかり理解できる人はより本書を楽しめるかもしれない。とはいえ、身近なものを扱っているので、化学にまったく疎い人でも、歴史的な背景を知ることがで...続きを読むきため、十分読み応えがあり、楽しめると思う。

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Posted by ブクログ 2015年02月15日

化学物質の歴史を分かり易い文章で綴っているイメージ。科学に興味のあるけどまだあまり知識のない学生とかでも読めるので良いのではないでしょうか。興味深い内容も多く私はスラスラ読めました。

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Posted by ブクログ 2013年11月24日

色々な化学物質の成り立ちと、それが社会・歴史に及ぼした影響を説明してある。
化学の知識があったほうが、面白く読めるが、化学式がわからない人でも、歴史書のような感覚で読める。
第二弾もあれば、ぜひ読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2013年10月22日

化学的な視点から見た歴史書.少々訳が,,,
原著のどちらが先に出版されたのかはわからないが,「銃・病原菌・鉄」と同じ流れを感じた.

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Posted by ブクログ 2013年02月19日

化学式は出てくるが化学物質にまつわる歴史の本と言った方が良いか、17の化学物質は重なりながら次の章へと続いている。

出だしは①スパイス、胡椒のピペリン、唐辛子のカプサイシン、生姜のジンゲロンは似た様な骨格を持ちこれが辛さに共通するのではないかと言う。ちなみに辛みは痛覚で感じる。クローブとナツメグを...続きを読む支配するためオランダはイギリスが支配するバンダ諸島のルン島をマンハッタンと交換する。そしてニューアムステルダムはニューヨークとなった。

スパイスへの探求が大航海時代の始まりならばそれを支えた化学物質は?②アスコルビン酸=ビタミンCである。イギリスのキャプテン・クックは記録に残る中では壊血病を克服した最初の船長だと紹介されている(明の鄭和の方が先だろう)。もしポルトガル人がビタミンCの効能を発見していたらポルトガル語が世界をしはいしていたかも。

ビタミンは③糖から合成される。サトウキビの栽培は奴隷制を伴いヨーロッパに莫大な利益をもたらした。糖がつながったものが④セルロースで綿の主成分である。紡績業が産業革命の原動力であった。セルロースを溶かす方法が見つかった後もう一度糸に戻すのがビスコースレーヨンでフィルムにしたのがセロファン、合成繊維ではなく天然繊維である。セルロースを硝酸にひたすとニトロセルロースができる。

⑤火薬の発見は古い、硝酸塩、硫黄、炭を混ぜると黒色火薬ができるが紀元1000年頃までは配合は秘密にされていたようだ。ニトロセルロースの発見と同時期に硝酸と有機化合物の反応をさせる研究が進みニトログリセリンが発見された。ニトログリセリンは爆発しやすく扱いが難しい。珪藻土に吸わせると言うアイデア=ダイナマイトを見つけたのがノーベルだが本人は狭心症の治療薬としてのニトログリセリンは拒んだらしい。ダイナマイトは破壊力が強すぎ銃の火薬としては適さず新たな化合物としてピクリン酸とトリニトロトルエンが発見される。この二つはほぼ同じ骨格をしている。ニトロ化合物を作るための新たな合成法として空気中の酸素と窒素からアンモニアを作る方法が発明される。このアンモニアによる肥料の増産が農業の生産力を高めた。化学肥料の発見である。

⑥シルクは天然のタンパク質からできているが人工のシルクを作る試みとしては爆薬の原料でもあるニトロセルロースが使われた。作ったのはパスツールの弟子シャルドネでカイコの病気の研究から模造したシャルドネシルクは元が爆薬だけに燃えやすくやがてレーヨンに取って代わられた。レーヨン製造から始まったデュポン人絹会社は次いでナイロンを作り出す。ナイロンとシルクは共にアミド結合でつながったポリマーである。

この後も紹介しきれないが最初のプラスチック原料⑦フェノールは外科手術用の殺菌剤にもなり⑧イソプレンは天然ゴムの原料で合成ゴムの製造法の研究がプラスチックを発展させる。爆薬の⑨ピクリン酸は染料になり染料化学は⑩アスピリンから始まる医薬品の基礎となる。他にもホルモンの研究から⑪ピル、⑫植物アルカロイドからの天然毒、⑬麻薬、オリーブオイルの成分で石けんの原料となる⑭オレイン酸、⑮塩、⑯塩素化合物、⑰マラリア特効薬の期ニーネとDDTとトリビア満載。

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Posted by ブクログ 2013年01月20日

・ノーベルは真に恐ろしい兵器こそ抑止力として、世界に平和をもたらすと固く信じていた。軍需品製造者でありながら、平和主義者であるという矛盾。
・研究⇒発見⇒特許化⇒商品化 PCのない時代に凄いや‼と思うが、PCがない時代の方がはるかに長いのに、想像すらできない。これは退化なんじゃないか。
・ペニシ...続きを読むリンの化学構造が明らかになり、さらに合成に成功したのは、なんと1957年。今からわずか56年前。
・化学の構造式というもっとも苦手なものが、まるで絵本の絵のように描かれている本を手に取ってしまった。しかし、構造式によって本質が明かされてゆく。それは今後の人類を救うことになるのは明白。
薬草やスパイス、爆薬などにより人口が変動し奴隷が作られ、戦争が起きてきた。
あとがきもよかった。

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Posted by ブクログ 2012年06月21日

歴史上で大きな役割を果たしたと思われる有機化合物を20種ほど選び,その発見や,歴史について簡単に触れた後,その物質の科学的特性を化学式を使って解説している.
前後の関連も意識して配列してあるが,基本的にはどの章も独立で興味のある章から読み始めるのがいいと思う.私にはとても面白いいくつかの章(例えば避...続きを読む妊薬をはじめとするステロイドを扱った11章など)と,あまり興味がわかない章が混在していた.
歴史の解説は概して軽めで,化学的な解説により重点がある.その物質自体の歴史(つまり,単離,構造決定,合成などの歴史)もふれられている.分子構造からくる物質の特性の解説が似たような構造や性質をもつ物質へ広がっていくのがとてもおもしろかった.

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