あらすじ
主著『純粋理性批判』を書いたあと、周囲の無理解に悩まされたカントは自分でその要約版『プロレゴーメナ(序説)』を書いていた。懇切丁寧な解説で人気の高い著者が、要約版からカントの最も主張したかったことをクリアに取り出して提示する、目からウロコの入門書。……今度こそカントが分かる!!
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Posted by ブクログ
カント3冊目。「純粋理性批判」の手引書として後にカントにより執筆された「プロレゴーメナ」の解説書。迷宮入りしている私には渡りに船で、意気揚々と読み始めてみなしたが、期待に反して(思った通りとも言えるが)難解なまんま。でも、カントが目指した形而上学の在り方への啓蒙的な、理性への徹底的なまでの批判が情熱的で、分からないなりに心が震える体験することができましたよ。
ざっくり自分の理解を表現すると、認識は感官による
感性的なものでもの自体ではなく、その表象を感じ取っており、それは経験由来となる。そこで、悟性の力を使って時間・空間の規定されている範囲内でカテゴリー分類を行いア・プリオリ的な認識を行うことができる。経験的な限界の内で人は、認識によってものの表象を実現させているのだ。
では、悟性の外にある理念は、人間が自然的に保有している理性によって到達を試みるが、それのもの自体を把握することは人間には叶わない。が、形而上学によって探求を続け、理性を批判的に正しく作用させることは人間や世界の理解を深めることに一役買うのだ。
以下そんな私が付箋した個所を振り返りながら、自分の中で内容を整理していきます。
P38:
「理性」は推理する能力、「悟性」は考える判断の能力
P160:
物それ自体ではなく現象を認識しており、それは何がが現象されていることの根拠となり、物それ自体は認識されえないが存在していることを容認する。
P182:
「超越論的」は、経験においてそれとともにあるア・プリオリな認識の可能性を論じる水準。認識主幹と客観の関係において主観の側に注意を向けて用いられる。「経験的」の対義語となる。
「超越的」は、経験不可能な客観について、客観的にしかし独断論的に語る振る舞い。「内在的(経験的)」の対義語。経験できないことへのかなり傲慢な振る舞いと感じられるね。カントは、これを否定的に打破すべき対象として論じている。
もうちょっとあったけど、うまくまとめられないのでこのあたりで手を止めておこう。この書籍は、カントの目指した先が小手先ではなく、眼前に迫ってくるような衝撃です。今後さらに深淵にはまっていこうとする者への良いガイドとなるのでは、また自分にとってもそうなってほしいと期待してしまうものです。読み応えありましたわ。
Posted by ブクログ
改めてカントの偉大さを思い知らせてくれる1冊だった
自身が「『批判』以外の方途と手段で学問としての形而上学は不可能である」と自負するだけあってページは厚くないが内容はとても濃い
よく知られる「コペルニクス的転回 」や「自由」も同じ文脈で理解出来ると知った
カントと共に「ア・プリオリな総合的認識はいかにして可能か」という問いにどう向き合っていくかが、よりカントを理解する一手だと思った
Posted by ブクログ
イマヌエル・カントが『純粋理性批判』の手引書として執筆した『プロレゴーメナ』の体系的な解説書。カントは同書で、「ア・プリオリな総合的判断がいかにして可能か」という、この総合的判断を可能にする条件を問う課題に対して、純粋数学と純粋自然科学がすでに存在しているという事実から出発し、それらの学問が成り立つ仕組みをまず解き明かしてから、いよいよ本題の「学問としての形而上学はいかにして可能か」という問いに取り組む。本書もそれに即応して、第3・4章で純粋数学と純粋自然科学を可能にするロジックをカントに即して解説してから、第6章以降、『プロレゴーメナ』第三部に対応する理性批判のあらましを述べていく。この書が一方でガルヴェやフェーダーらのいわゆる通俗哲学に対する論争の書であることを考慮すると、彼らの学説に対してさほどページが割かれていないのはいささか憾みに思うところもあるが、カント自身が明言する批判哲学の入門書という『プロレゴーメナ』の利用法を踏まえれば、その論理構成を難解なカントの文章を丁寧に解きほぐしつつ解説していく本書は、優れた解説書であると同時に、カント哲学の「核心」に触れるのに最良の書である。
Posted by ブクログ
『プロレゴーメナ』を読解した1冊。
オビには「哲学の最高傑作が自分で読めるようになる」とあり、期待は高かったが、その期待以上の内容でとても満足。
いろいろな読み方はあるとおもう。カント以降の思想を無視して読むことは難しいとおもう。それでも(なるべく)ストレートにただ『プロレゴーメナ』を読んでいく、という読み方が良いかとおもう。