あらすじ
『週刊新潮』の名物コラム「東京情報」の直近5年間250回分に渡る連載から、
評論家呉智英氏が珠玉の連載回を選び抜き、まえがきを執筆。
(著者プロフィール)
在日オランダ人特派員。
詳細は不明だが、氏の「東京情報」は、『週刊新潮』創刊の四年十カ月後、
昭和三十五年十二月十二日号に第一回が始まり、
以来、2000回を越えてなお連載中である。思えば足かけ58年。
「ドイツ人記者の頭はひときわ光り、イギリス人記者はすっかり白髪になって」、
わがデンマン氏もまた年老いたが、彼は相変らず不死身で、疲れを知らない。
しかも、最近、若返りのホルモンを打ったという説もあるので、
彼はさらに若々しくなるのではなかろうか。
ヤン・デンマン氏は、もちろん在日外人記者である。
ただし、彼は『週刊新潮』との特約で、
どうしても本名を名乗らず、また公けに姿を現そうとしない。
自著の刊行についても編集部任せという無精者。
ちなみに、週刊新潮によれば「ヤン・デンマン氏はもちろん外国人である。
日本語は全然できない……しかも種をあかせば、
彼の脳ミソは複数の人のそれででき上っていて、この連載の間に何度か入れ変った」とある。
どうやら彼は「複合人物」であるらしい。
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Posted by ブクログ
日本に駐在している外国人記者が、日本の政治、経済、歴史、風俗、慣習など様々な視点で日本文化を語る。雑誌記事をまとめたもの。
著者は、長年日本にいるベテラン記者ということになっているが、おそらく共同執筆のペンネーム。 記者仲間は、日本への愛着とともに現在の日本が抱える問題点を指摘する。飲み会の雑談形式で、それぞれのエピソードは一言オチがついている。 日本人にとっては普通のこと、当たり前のことでも、外国人には奇異に見えることが多いらしい。記者仲間で議論すると、必ず欧米との比較文化論に発展する。
仕事では言えないこと、やれないことのウラネタが披露されていて、いろいろ勉強になった。(本当に記者たちは、日本のことを勉強している)話も面白かった。話題は、2010年代から2018年頃までの時事ネタ。今となっては古い話も多く、この本の賞味期限切れは近い。特に高校野球、教育、本、ジャーナリズムなどの話が面白かった。 著者の話に共感することが多かったので、自分も考え方は外国人記者に似ているように思う。
Posted by ブクログ
欧米では成人すれば完全に独立することになる。個人主義が徹底されているので、たとえ親子でも金銭のやり取りは非常にシビアになる
高校野球は宗教なんだ。スポーツの目的は勝つことだが、高校野球では敬遠などの駆け引きは毛嫌いされる。勝負とはは関係ない汗や涙、死力を振り絞ることが賞賛される
小説家の山田風太郎は手話サイアンの人にとって挫折である。しかし、奇妙なことに、それが挫折後であればあるほどその人生は完全型をなして見えるといった
講談だけでは歴史は学べないが、講談には歴史の魅力を伝える力があるのだ
舞台映えをさせるために、わざと顔が大きい遺伝子を残してきたからです。だから歌舞伎は血筋が重要になるのです
Posted by ブクログ
【感想】
多くのエッセイがまとめられたエッセイ集であるため、要約は割愛します。
400ページ以上ありますが、内容はユーモアに富み、スイスイと読み進められる。
著者のヤン・デンマンは実在するのか、しないのか。
著述内容から推測すると70代〜90代??のオランダ人特派員記者だと思われますが、その行動力や、物事に対する思考、時事への捉え方を考えると、おそらく実在はせず、ヤン・デンマンを演出する集団がヤン・デンマンを演じつつ、様々な意見を著述しているのではないか、と推察します。
書かれている内容は日本の経済、政治、文化(アングラも含め)、国際関係、教育などなど多岐にわたり、一概にこういう本、と書くのは困難。
ただ1つ1つのことに気付きが多く、外国記者や関係者との軽妙なやりとりに、今の日本のイメージ像がぼんやりと捉えられます。
この本を読んで、外国人から見た日本像と捉えるのは危険です。
なぜなら本当に著者が外国人なのかが分からないため。
ただ、著者含めて登場する記者たちや部下など(本当にいるのならば)の発言から得られる圧倒的な情報量とそれへの解釈は、今まで考えたことのない視点を与えてくれ、大きな刺激となります。
皮肉とユーモアに満ちた知識本(ただし全てが正しいものとは限りません)として、一読をお勧めします。
難点としては、あまりにも情報量が多いため、他の本と読み比べして検証し、自分の考えの糧とするには時間と体力を大きく割く必要があること。エッセイだから仕方ありませんが、1つ1つの事柄について出典元などを細かく記載してもらえると嬉しかった。ただし、出典の記載も膨大になるでしょうし、出典ではない個人の考えがほとんどであるため、出典元の記載があったとしても役立つかどうかは不明ですが。
物の見方が一辺倒になっているな、と感じたら読み返したい一冊です。