あらすじ
中間層の没落、ポピュリズムの台頭、自国ファースト……。民主主義が、世界中で同時多発的に崩壊の危機に瀕している。飽きるほど目にした現象を、しかし我々は本当に理解しているのだろうか。朝日新聞ニューヨーク支局長を五年務め、オバマ、トランプ両政権の誕生を目撃したジャーナリストが、世界で連続発生する「有権者の乱」を描き切った、混迷を極める国際社会への提言にして渾身のルポルタージュ。B.アンダーソンやR.パットナムら、「漂流する民主主義」を憂う「知の巨人」達のインタビューも必読。 【目次】はじめに/序章 民主主義って何だ?/第一章 予兆 二〇〇六~〇八年/第二章 波乱 二〇一五年/第三章 通底 二〇一六年/第四章 警鐘 二〇一七年~現在/おわりに
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Posted by ブクログ
目次
序章 民主主義って何だ?(私の大統領じゃない;厳戒の首都 ほか)
第1章 予兆二〇〇六~〇八年(三十数回の引っ越し;「派遣社員のおかげ」 ほか)
第2章 波乱二〇一五年(三〇年前から同じ;信頼できる政治家 ほか)
第3章 通底二〇一六年(ブリテン・ファースト;手弁当の運動 ほか)
第4章 警鐘二〇一七年~現在(イカロスの翼;一〇〇年前との相似 ほか)
1~3章は現状のおさらい。著者のいいたいことは第4章。
頭が整理できた。
Posted by ブクログ
アメリカではトランプ氏が2期目の大統領を務めており、相変わらず世界中に混乱を引き起こしている。大統領の「つぶやき」が関係国を右に左に振り回し、一国の外交政策に影響したりする。中には顔色を窺っている事が目に見えてわかる様な態度をする国家元首もいたりする。勿論それ自体が演技かもしれないし、自国及び自国民を有利に導くための見せかけかもしれない。トランプ大統領の主張の根底にあるのは「アメリカファースト」。アメリカにとって一番儲かる政策を取り続ける、その為には他国を貶めるのも厭わない、という考え方がある。発言も行いもそれを隠す事は無いし、国民(アメリカ国民)もそれを知りながら解りながら支持する。国際協調が無ければやがて地球は滅びるであろうし、全ての国が同じ様な考え方で自国の都合だけを考え、他国を無視する事になればやがては力と力がぶつかり合う戦争状態に陥るだろう。既にイランやウクライナ、ガザでは毎日銃弾やミサイルが飛び交っている。相手の主張に耳を傾けず自国の理論を優先する世界。そしてトランプ大統領の様に自国ファーストを掲げる人物や政党が世界中で現れつつある。そう言えば都政も都民ファーストなんて言っていたっけ。彼ら(彼女ら)、政党を選ぶのは民主的な選挙だ。だから多数の市民、国民はそうなる事を望んでいる。これは民意なのだ。だが、得票率100%ではないし、結果的に少数派になったとしても、そうした意見とは異なる意見を持つ人々が居る。そこにも目を向けて声を聞くのが本来の民主主義の政治の在り方だ。実際にそうなっているかと言えば、そうで無い実際がどうであるか。
本書はそうした民主主義について「漂流」と捉えながら、実態や実態を知る知識人たちへのインタビューをまとめたルポタージュ(現地報告)である。
何故こうした状況が生まれたのか、そしてその最前線がどの様な状態にあるのか。各国の実態を捉えながら、地域、国毎に異なる分析を加えていく。だがその根底にある社会の状況は皆似た様な状態にありそうだ。世界で広がる経済格差、人手不足による移民政策、そこから生まれる文化の違い(民族意識とでも言った方がしっくりくる)。人々の間にある「他人との違い」への意識の拡大が、社会に分断をもたらす。上や下を見てしか自己の存在を認めることの出来ない人々。そこに付け入り、更に分断を助長するかの様に人々を扇動しようとする政治家達。現在の世界の政治の潮流とも言えるのでは無いだろうか。ある意味、特定の意見に対する「解りやすい」反対意見を述べる存在は民主主義では必要だ。だが、結果的に右が左から白か黒かの極端な政治状態に陥っている。
この先の世界が再び違いを克服し、互いを尊重しあえる世の中になれるのか。そのやり方も考え方も今を生きる我々自身が考えなければならない。自分の幸せだけを優先しようとすればやがて全体が滅びに向かう。幸せも痛みも共有し、誰かの不幸が自分の幸せにならない世界を考えなければ、やがて自分にもこの先の人類全体にも不幸な未来が待っているのではないだろうか。