【感想・ネタバレ】生き物はどのように土にかえるのかのレビュー

あらすじ

「庭に埋めた亡くなったペット、いつ土にかえる?」「道ばたにあるミミズやセミの死骸はどうなるの?」「山や森の落ち葉はどこに消えるの?」「世界が動物や植物の死骸で埋め尽くされないのはどうして?」生き物が死ぬと、どうなるのでしょうか? 生き物の死骸が分解されるプロセスを見ながら、生き物の死骸を利用する動物や昆虫、カビやキノコなどの菌類、細菌などの生き方を紹介。
ふだん語られることの少ない、生き物の死後の世界と、死骸を利用して生きる生き物たちの世界を丁寧に案内する! まるで上質なサイエンスドキュメンタリー番組を見ているかのような、知的好奇心をくすぐる一冊!

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Posted by ブクログ

生物学(生命科学)を学ぶ醍醐味は、生物観や生命観が、自分の中で構築・再構築・増築されていくことにあると思っているのですが、まさに、そういったことが可能な本だと思います。
しかも、「生」よりもむしろ、「死」に焦点を当てることで、生物観や生命観が構築・再構築・増築されていくことに、この本の魅力があると思います。

また、この本の魅力は、科学的な知見は、たくさんの科学者による、地道で継続的な観察と考察の上に成り立っていることを感じられる点、にもあると思います。

たくさんの人に読んでほしい本の1冊です。

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2018年08月05日

Posted by ブクログ

露骨に「ああ、孤独死はしたくないな」と思ったり、キノコの構造を思いながらエノキの味噌汁をすすったり。題材にもかかわらずこのさわやかさ。

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2018年02月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

土にかえる、ということについて、生態学の視点から、かなり分かりやすく理解を深められる。
動物、植物、、、まずこれらが何出てきているか、をあらためて知る。そして腐敗や発酵という言葉、実際は何が起きているのか、科学的に考える機会を得られた。
分解と循環、絶えず私たちの命は巡っているんだなーと、
土だけじゃなくて、大気にも、海にも還っていって、それを吸って、飲んで、食べて、生きているんだなーと思った。

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2020年12月30日

Posted by ブクログ

今まで、里山の中で観てきた生き物の生き死にを、科学的観点からわかりやすく解説してもらえ、とても納得できた。死についての話題は、禁忌事項とされ、異常なまでに忌避される傾向があるが、自然の一部だということをもっと知っておく必要があると思う。
コロナ騒動の真っ最中であるからこそ、自然と向き合うことは死とも向き合い理解することなんだと改めて感じている。中学生以上にオススメ。

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2020年04月09日

Posted by ブクログ

生物がどのように土に還っていくのか、言葉では言っていても知らないなぁと思って読んでみました。興味深い内容でした。もっと深く突っ込んだ内容・解説でも良かったなぁと思いますが、概略を掴む上では良い本だったと思います。
土に還るまでの流れと、そこに関わる生物の営みについて知りたい人にはおすすめです。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

そうか、死体の腐敗から白骨化なんてのも、ついホラーっぽく考えてしまうが、素晴らしい自然の分解システムなんだな。こういう先生と一緒に見れば第二段階の腐乱死体も冷静に観察できるのかも。こういう先生は腐乱死体の臭いなんかも冷静に分析したりするのかも、なんて思いつつ読んだが、3章でカワウが営巣している森に調査に行ったら、臭いに吐き気がしたと書いてあって、腐乱死体は平気で(とは書いてないが)カワウは臭いんか!と突っ込みたくなったが。
人間を含めた動物から植物までが、死んだあとどのように土に還っていくか書いた貴重な本。読んでみるとハエもダニもカビもいい仕事してるんだね。あんまり見たくないけど。
「土に還る」って言い方はよく聞くけど、腐敗してガスがでることを「大気にかえる」と書いてあるのが新鮮だった。

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2018年07月14日

Posted by ブクログ

動物が死ぬと、数分のうちに細胞自身の持つ酵素によって自己消化と、胃腸管内の嫌気性菌による腐敗が始まる。同時に、クロバエやニクバエが飛来して遺体に卵を産む。腐敗によって遺体は膨潤し、腐敗液が流れ出す。膨潤やハエの幼虫に食べられることによって皮膚に裂けめが入り、第二段階になると、好気性菌が活動を始め、分解が活発化する。筋肉や脂肪などの柔らかい組織は、キツネ、アライグマ、カラス、タカなどの腐肉食性の脊椎動物のエサとして利用される。細菌は、炭水化物やタンパク質を消化してアンモニアや硫化水素のほか、カダベリンやプトレシンなどの不快な臭いのする分解産物を生成する。柔らかい組織が食べつくされた第三段階になると、シデムシやカツオブシムシなどの甲虫の幼虫によって皮膚が食べられる。ワカフサタケやキツネタケ、トムライカビなどの腐敗後菌も発生する。遺体が土中に埋められると、腐肉動物に利用されないために分解は遅くなる。

樹木の葉は落ちる前に細胞の中身は枝や幹に回収されるため、残るのものの大部分は細胞壁。細胞壁は、構造を支えるセルロースとその間を埋めるリグニンによって構成される。セルロースはカビによって分解されるが、リグニンを分解するのはキノコを形成する菌類が主体。土壌動物によって分解される割合はせいぜい1割以下。落ち葉が分解されて重量が半減する期間は半年から3年で、クチクラ層が発達し、リグニンが多い針葉樹の方が長い。リグニンは褐色で、セルロースは白色のため、リグニンが活発に分解される環境では、落ち葉は白くなる。枯死した幹の重量の半減期は2〜170年で、針葉樹の方が長い。

キノコの菌糸の細胞壁は、多糖類のキチンとグルカンでできているため、植物に比べて分解されやすい。

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2018年10月31日

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