【感想・ネタバレ】負け逃げ(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

今住んでいる田舎から逃げたい……でもそれは負ける事

誰とでも寝る同級生の野口とセックスしたい田上
右足が生まれつき悪くこの田舎の全ての男と寝ると豪語する野口
高校のうだつのあがらない教師秀雄
その秀雄と不倫をする同僚教師妙子
それぞれが今住んでる田舎に対して不満をもらす。
「この田舎から逃げたい」

表紙のイラストが綺麗だったので中身を確認せずに購入
内容はあまり期待していなかったのですが面白かった。
関わっていく人間が順番に描かれています。
教師同士の不倫の話が入り込みましたが最後、何故か寂しい気持ちになりました。

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

凄かった。
大して不幸でもないのに不自由しか感じない、そんな作者の言葉が的確にこの小説の描く窮屈さや息苦しさを表現していると思います。
野口という誰とでも体の関係を結んでしまう、ヤリマン女子高生。クラスメイトと関係を結ばずひたすら爆音をイヤホンからながす男子高校生。
その物語から派生して、脇役だと思っていたクラスメイトや担任の物語が展開される。いわゆる群像劇になっています。

窪美澄さんが好きというだけあって、心情表現のこまやかさも、読者を惹きつける展開も、窪さんのそれを彷彿とさせるものがあります。
二十代で中年の男女の心情にリアリティをもたらす筆致は見事。
どんな登場人物も自分とは違うのに同調してしまったし、彼や彼女がそこに至るまでの感情の流れや、自分を抑えきれないほどのハジけるような感覚の描写が素晴らしかった。

どの短編も読み始めてどうしてこんなにくすぶってるのか、理解できないまま読み進める。
それが次第に明かされるストーリーや、不可解ながらつながっていく人間関係、自分自身のことでも思った通りにはできないもどかしさ、それらを通して、その人物の気持ちが伝わってくる。

村というものに捕らえらて生きている彼らの物語に、終盤では清々しさが加わる。
なにも解決したわけじゃないのに、本当に自分で選んだことがあるとこんなにも気持ちが変わるのかなと思いました。

こういう小説は息苦しさだけで終わることも多い中、それだけではないものが、読後で得られました。

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2020年02月18日

Posted by ブクログ

田舎で暮らす人々の鬱屈した気持ちやそこから逃れようと渇望する姿を描いた短編連作。
明るい未来が描かれるような話はなく、どうしようもなく暗い結末の話が多い。それでもなぜか希望を感じてしまう。
高校生の話もいいが、個人的には教師である2人の話がよかった。人には受け入れてもらえる異性がどれだけ必要か、そんなことを考えさせられる。

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2018年04月10日

Posted by ブクログ

国道沿いだけが夜でも明るい田舎町の男女の連作集。

そこに住む人達の田舎町という意識が醸し出す閉塞感がずっと漂うストーリー。
皆が現状に満足せず、だからと言って未来に夢を持っているわけでもなく、そのため、若者が中心の話なのに爽快感はひとつも感じられません。
それぞれに事情があり、それぞれがその事情ゆえ鬱屈としたものを抱えている。
でも、そこに興味が湧き、読む手を止めることは出来ませんでした。

田舎、ふるさとが、懐かしく良いイメージの場所になるのには、先の人生によるものなのでしょうか。
興味深い作品でした。

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2018年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とある村の住人を主人公にした短編集。ある話ではただのサブキャラなのに、ある話では主人公になったりするのが面白かった
全体的にとてもドロドロで、主人公も含めてみんな嘘ついてて、世の中もこんな感じで、みんな嘘ついてるのかなぁなんて思った(笑)
個人的には、僕の災いと蝿とけもの道が面白かった。最初はただの嫌なキャラだったヒデジが最後にはいい人になってたのが、不思議な感じと思った

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2018年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

田舎の閉塞感のある村に住む高校生や大人の男女の生活が描かれている。何もない村。この村にいても未来はないのにこのままここで大人になり親と同じような生活をするんだろうという予感。その暗い色に満ちている。村の外への憧れと村への失望。内に溜まっていたものが溢れたときの衝動。その先に何があるのか。でも何かせずにはいられないそれぞれのラスト。この閉塞感と村に住む人たちの感情がとても丁寧でリアルに描かれている。今後に注目していきたい作家さん。

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2018年05月19日

Posted by ブクログ

こういう、いろんな視点からもっていくタイプが好きなのでとても読んでいて楽しかった。
惡の華という漫画が好きで、かぶるところがあって
ぐいぐい読み進められたが、時の進行が急に戻ったりするので片手間に読むのは難しいと感じた。

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2018年04月30日

Posted by ブクログ

田舎の閉鎖的なコミュニティそこから生まれる鬱屈とした感情はきっと私たちも抱いたことのある感情だ。

マジョリティが正しい価値観として認識される世界から一歩抜け出して負け犬だと言われても私はきっと傷つかない。

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2022年01月05日

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読み終わりました。登場人物たちは、水の渦の様にぐるぐると駆け巡り、それを下から見ていたら貧血おこしてぶっ倒れたって感じ

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2020年10月25日

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きっと、この人たちが都会にいれば埋もれてしまうような行為も、狭い狭い田舎だからこそクローズアップされ、一人ひとりが絡み合った話になるのかな…
田舎の生活に憧れる、なんて口にしたことがあったけど、場所よりも自分自身の心が大切なのかもしれない。

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2020年06月22日

Posted by ブクログ

閉塞感にページを繰る手がちょっと止まった。なんて息苦しいんだろう。
自分が感じている閉塞感に通じていて、本当に苦しかった。

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2020年01月27日

Posted by ブクログ

またよしさんが表紙の作品は当たりが多いので読んでみた。
田舎の独特の閉塞感。わたしは生まれてからずっとそこそこの都会に住み続けているので、わかる!っていうのは少なかったが、たぶんうんざりするほどのリアリティなんだろうな。青春って書いてあるのに何故かおじさんおばさんの話が多かったので星3つ。
『学校の青空』的などんより感が好きな人は合うかも。
まだまだ文体が青いなって印象があったので、次回作にも期待。

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2019年10月17日

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田舎の閉塞感がテーマかな。とは言え、都会にも閉塞感はあるし、今に私の現状にもどこかしらの閉塞感を感じている。踏み出すしかないよね、スキップで、それが不恰好でも。

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2019年09月27日

Posted by ブクログ

話自体はよかった。
連作短編集であるが、一話目の主人公が二話目以降にちらっとでてくるようなことが多いのだが、誰のことかわからなくなることが多かった。前のページをペラペラ。さらに、女だと思って話を読んでたら、男だ!っていうのもあって、また読み返す。
そういうところが多くて、読むのに若干ストレスがある。
最後の重松清の解説が、とてつもなくよい。五十半ばの重松清の言葉が素晴らしい。

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2018年12月15日

Posted by ブクログ

とある田舎の若者やオジサンオバサンの話。

田舎の閉塞感から来る闇、って感じ?
こじらせ感。

読んでいる間はずっといや〜な気持ちだったけど
読後感はそれほど悪くなかった。

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2018年09月19日

Posted by ブクログ

閉ざされたような小さな田舎町。
そこで生きていくもの、出ていこうとするもの、出ていけないもの。それぞれの立場で思い悩みながら、諦めたり受け入れたり。僕の災いと蠅が好き。

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2018年05月21日

Posted by ブクログ

ある村を舞台に、圧倒的な閉塞感とそこから逃れるために必死なひとびとを描いた連作。
物語自体はカタルシスもなく、落ちるべきところに収束していくのであまり面白みはない。
(構造としては、わりとありきたりな一作目から広げてよく収斂させている。収斂させないほうが素敵だったけど)

ただ解説の重松さんも語るとおり、衝動の濃さは印象的。
つぎの作品に期待したい。

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2018年03月29日

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