【感想・ネタバレ】「働き方改革」の嘘 誰が得をして、誰が苦しむのかのレビュー

あらすじ

第二次安倍政権発足直後から論議が始まり、2018年6月に国会で関連法が成立した「働き方改革」。その流れをつぶさに取材してきた著者が、この間の経緯と問題点をまとめるとともに、「誰が、何のために『改革』を言い出したのか」を明らかにする。なぜ、労働問題を所管する厚労省ではなく、経営者サイドに立つ経産省主導で進んできたのか。問題の多い「高プロ」にこだわる理由は何か。副業やクラウドワークを推奨し、雇用システムを流動化させようとする狙いとは? 「働き方改革」という耳当たりのいいフレーズの「実像」をコンパクトに理解できる一冊! 【目次】はじめに/プロローグ 裁量労働制をめぐる欺瞞/第一章 高度プロフェッショナル制度の罠/第二章 働き方改革の実相/第三章 日本的雇用の真の問題は何か/第四章 雇用制度を変えるべきか/第五章 海外事例から学ぶ/第六章 これからの働き方のヒント/エピローグ 幸せを基準とする働き方へ/おわりに/主な参考文献

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Posted by ブクログ

ネタバレ

全部をじっくり読んだ訳ではありませんが…
【一言で言うと】
「働き方改革」は、経営者寄りの考えが色濃い「働かせ方改革」

・経営者側からしたら、高度プロフェッショナルや裁量労働制の拡大は、「定額働かせ放題」で都合が良い
・仕事の進め方は労働者に裁量があっても、仕事の分量を決める裁量は、会社にある
労働生産性が諸外国に比べて低い、という意見は意味がない(金融立国や資源国の方が有利)

・労働者を守るための労働基準法のため、表向きは「柔軟な働き方」「時間外労働に上限を設ける」と言っている
・しかし、本音では、財界と政府がズブズブで、財界の都合の良いように政策を進めている。財界はその見返りに資金や組織票で政治家をバックアップしている

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2020年09月11日

Posted by ブクログ

★本書のメッセージ
労働者を蔑ろにした企業のための「働き方改革」などあってはならない。成長が難しいという時代背景を踏まえ、労働者の声に耳を傾けて政策策定を行うべきだ

★読んだきっかけ
受けようとしている企業が「裁量労働制」を敷いており、その制度の仕組みや実態を学びたかったため

★本の概要
政府による一連の「働き方改革」の制度は、産業界のためであり、労働者一人一人にとって価値あるものになっていないと指摘。日本はただでさえ長時間労働が問題視されているのにも関わらず、より労働時間を増やすように働きかける高プロ制度などを問題視。今までのような、売上・成長偏重の考え方から、脱却せよと指摘


★本の面白かった点、学びになった点
*裁量労働制が、よく働くか、悪く働くかはその制度を用いている社長、会社次第
・裁量労働制は「昔よりも、長く社員を働かせることができる」と捉えることもできるし、「社員が自分の好きな時間で出社、退社ができる」という、利点がある制度としてとらえることもできる
・ただ、政府の推し進め方としては、基本的には産業界の声を最重要視して、推し進めているものになっているのではないか

*高プロという残業代ゼロ法...このフレーズはおもろい
・この法律が認められれば、たとえ休日出勤があったり、より多くの残業があっても賃金が支払われなくなる。そんな在り方を認める制度になっている


*会社によって副業が合う、合わないはあるはず。それなのに、国が旗を振って推し進めるのはおかしい

*クラウドソーシングもまだまだ問題は多い

*日本はクオリティ国家を目指すべきだ

*雇用の流動性は高めすぎると、企業にも労働者にとって悪影響をもたらす。人材の採用コストはかさむし、労働者も採用までの難易度が上がり、失業率も増加するだろう


●本のイマイチな点、気になった点
*日本企業の成長≒日本人の成長・幸福 というもののとらえ方をしているかどうかで、良し悪しの判断が変わるのだろう
・おそらく、企業のトップの人材は、自分の企業の成長こそが、社員にとっての幸せである、そう信じている社長や管理職は少なくないはずだ
・だが実際、現場レベルの社員において、企業の成長と自分の幸福を一体として考えている者は非常に少ないに違いない
・この価値観を採用しているかどうかで、安倍政権の働き方改革を是と捉えるか、反対するか、が分かれそうだ


●学んだことをどうアクションに生かすか
*今いる企業が、どんな働き方を望んでいるかを考える
*企業の社長が、会社の成長≒社員の幸福と思っていそうな社長か、そうではなさそうな社長か、ということは考えてみてもいいかもしれない

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2019年06月18日

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