あらすじ
日本が真の民主的な文化国家となるために、これまでの考え方のスタイルでよいのか。西欧の新しい問題を考えるとき、日本人はいかに対処すべきなのか。「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走りだす。そしてスペイン人は、走ってしまった後で考える」。朝日新聞の特派員としての滞欧8年にわたる体験をもとに、諸国民のものの見方や考え方を探り、憂国の感慨と熱情により書かれた戦後日本のベストセラー。
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Posted by ブクログ
洞察力と説明力がスゴイ人。戦後すぐにこのような本を書ける人がいたのにその後七十余年経ってもこの国は全く変わっていないんだな。と言って政府責めてばかりもいられない。国民の意識の持ち方にも問題がある。自分も著者と同じようにイギリス型でありたいと思っているが、自己分析では現在ちょっとフランス寄りかも。
Posted by ブクログ
戦後の古い書だが、イギリス人、ドイツ人、フランス人、それぞれの国柄と思想がわかりおもしろい。日本の国柄と思想、影響を与えた歴史と文化を考えると、明治期の西洋化は大きな方向転換だったことを思い知る。過剰に西洋文化を取り入れたが、それまでに築いてきた独自の日本文化にはなじまずに消化不良が起こる。政治形態、法律と義理の二重規範、個人と個人の上下関係、個人よりも家や村の優先、西洋文化がいびつに継ぎはぎされたのが日本の姿なのだろう。空気を読む、機能しない形だけの成果主義の導入、悪平等、日本のじとっとした生きにくさはこういうところにあるように思う。筆者は、個人が思想や考えの主体となり、国民的な共感と合意が得られる物事を考える方式が一つになることを説くが、今は逆に、個人がいびつな社会に辟易して閉じこもってしまっているような気がする。