あらすじ
「思考停止」した「凡庸」な人々の増殖が、巨大な悪魔=「全体主義」を生む。21世紀の全体主義は、ヒトラーのナチス・ドイツの時代と違い、目に見えない「空気」の形で社会を蝕む。ハンナ・アーレント『全体主義の起原』の成果を援用しつつ、現代日本社会の様々な局面で顔をのぞかせる、「凡庸という悪」のもたらす病理の構造を鋭く抉る書き下ろし論考。思考停止が蔓延する危機の時代に読まれるべきテキスト。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
全体主義の恐ろしさ
それらは「思考停止」された大衆が生み出す
ハンナ・アーレントを主軸とし、論理的に説明されている
オルテガの括りの言葉が読者に刃物を突き刺していると感じた
Posted by ブクログ
凡庸さに気づいて
真面目さと凡庸を履き違えていないか。
自分は真面目だと思っている人へ読んでほしい一冊
なにせ私自身、自分の事を真面目だと思い込んでいたけれど、この本を読んでハッとした。
俺は凡庸だ。
一人称 おれが凡庸すぎる。
自分が何か書いて読み返しても面白くない。
もっと上手に書くにはどうしたらいいんだろう。
この本を読んで気づいた。
自分の問いがつまらない。
ぼんやりとした、全体としての
みんな や 誰か に対して書くと総じてぼんやりとしてつまらない問いかけになると気づいた。
ただそんなの気づけるはずがなかった。
なぜなら、つまらない、空っぽの問いやテーマが正しくて本音は間違いなのが和の中のルールだから。
つまらなこそが正解だったけど今は真逆だ。
おもしろいが前提だ。
Posted by ブクログ
読みながら、自分も知らず知らずのうちに「官僚主義」に陥っていたときがあったことを思い出した。
一人でも多くの人に読まれるべき著作である。
ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』も読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
よかった。少し過激な論調や語り口が目立ってしまうが
述べていることは、概ね賛同します。
ハンナ・アーレントの本はいつかよみたいと思って
いたのですが。この本はアーレントの論述を(詳細に)
とりあげているわけではないのですが、アーレントの
論を取り入れて展開している感じです。
「全体主義」とは、それこそ昔の軍国主義や戦争時の
イメージがありますが。
”「兎に角、全体にしたがくべし」という考え方、および
それに基づく社会現象”を全体主義というということで
あれば、今の日本や世間は全体主義が蔓延している
と思ってしまいます。
いじめの問題。なんでもかんでも改革ということ。
新自由主義経済。グローバリズム。。。大阪都構想
マスメディアの報道の仕方。社会を構成する空気。
会社に流れる変な雰囲気。
すべておかしいし、全体主義に陥っているような気がしてきます。
Posted by ブクログ
将棋の名人の本ではない。大学教授が、思考停止に陥った人間(特にエリート層)によって現代にナチスドイツのような全体主義が復活してはいけないと啓蒙する本。
ナチス高官だったアイヒマンという『凡庸で思考停止に陥った役人が先導した戦争犯罪』を何度も例に出しながら『平凡』てはなく『凡庸』の罪を糾弾する前半はともかく、中盤から段々筆圧が感情的になってくるのが残念。現代においても昔のような全体主義がはびこる危険性があると訴えているが、陰謀論を支持する人に向けたような分断を煽るタイプの語り口になっていくため、『全体主義の対極にいる、似て非なるもの』のような印象を受ける。そして、これは誰が特定の政治勢力や人物への直接的な批判なのでは?と読み取れた。
その答えのようなものが終盤に出てきたので妙に納得できた。しかし本書を読んで時折嫌悪感を覚えつつも、自分の中にもこうした極論が時たま出現することを自覚し、『扇動に乗ってはいけない』と反省する材料にはなった。