あらすじ
「日本人とドイツ人は似ている」――何となく日本人は勝手に思っているけれど、実際にドイツに住んでみるとまったくのウソでした! 電車で「座りたいから席を譲ってほしい」と堂々と言ったり、簡単には非を認めなかったりするメンタル。安易にマネしないほうがいい「働き方」や教育制度。比べるうちに見えてくる日本の強みと弱点とは? 20代の若き感性が現地で驚き戸惑い怒り笑いながら綴る、等身大の比較文化論。
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Posted by ブクログ
3.5
在学中にドイツ留学し卒業後移住したライターの著書。働き方、国民性、教育、部活、就活、思想、家族性など移住した経験に基づく比較文化論。日本批判が多く結論のない評論家になっている感もあるが、考え方の違いや生活スタイル、働き方の違いが分かり中々面白い。ドイツの働き方は、効率的な環境に拠る所が多い。作業者と指示者の適材適所の分業制、予約制・担当制、書類の整理、担当者休みなら周りや客が我慢する文化など。
●マジメ
ドイツ人が規則を守るのは、日本的マジメさからではなく、ドイツでは規則を破った人にはトコトン厳しく、規則を守ることが絶対正義とされている国だから。なので、法律・規則・規約書などをよく勉強する。著者曰く、似てない。
●生活面
公共交通機関はルーズ。配達物は届かない。物は捨てない(ケチな国民性。社会主義的な面があるから?)。食事にこだわらない:温かい食事は昼に1日1回で朝夜はパンやサラダ。食べたい人が食べたい時に食べたい物を食べるスタイルらしい。部活はなく年齢無関係の地域のクラブがたくさんあり自由に参加するスタイル(日本式はかなり批判調、スポコンも良い面があると思うが)。ドイツの離婚率は40-50%程度だが、子供に会うことやお互いの再婚相手も含めて子供とパーティなどもある。
●観光
旅行の仕方やおもてなしサービスなど批判調だが、各々の文化によるところもあるからどちらが良いなどと決める必要もないように感じる。
●働き方
欧米や多くのアジアなどジョブ型と日本のメンバーシップ型。前者は、欠員補充が基本で職務給。人事異動は基本的になく、昇進するには自らスキルアップして認めてもらうか、転職する。後者は、新卒一括採用で、年功序列に基づいた職務給。異動や転勤は拒否できない。ドイツでは人事から広報から横異動みたいなのはなく、異動する場合は一から築く必要がありプロフェッショナル型。逆に言えば、広く浅く知っているジェネラリストがおらず一つしかできない人が多い。もっと柔軟にしようという日本と逆の意見もあり、隣の芝は青いらしい。
ドイツでも残業もあり、5人に1人は月20-40時間、10人に1人は40時間以上残業しており、結果を残しやすい人や責任ある管理職は残業する。だたし、振り返る制度は充実している。効率的に働くからというより、効率的に働ける環境や文化がある。単純作業はインターン生や作業者に任せ、雑務を減らす適材適所。担当制で予約制。担当以外は原則知らん顔。休めるように書類の整理。また担当者が休みのときは、周りがフォローする部分もあるが、サービスを受ける人や客が我慢するという文化もある。
著者は、ジョブ型への完全移行よりも、ジェネラリスト志向で年功序列傾向のメンバーシップ型の中に、ジョブ型のラインや制度を作るのがよいという意見。実際この方向にはなりつつあると思われる。