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Posted by ブクログ
新型コロナウィルスが広まって3年経ってしまったがようやく読めた。今だからまだよいが、3年前に読んでいたらもっと怖かったと思う。
兵器利用しようと開発した細菌(ウィルス?核酸?)が事故により漏れ出し、「ただの風邪」とそれに併発する心臓発作で人がばたばたと死んでいく。完全なる人災。原因が特定できないまま医療関係者や研究者も次々と命を落とし、社会機能があっという間に麻痺をし、そこからは雪崩を打って人類が激減していく。
本文中にも書かれているが、いくつかの偶然が起こったか起こらなかったかの違いだけで、現実のコロナ禍もこの作品のようになりえたのではないかと思わせるリアリティがある。
作品中盤の大学教授の最後の講義と、作品末尾の研究者の記録が重い。人間の知性をもっとよい方向に使えないのかとの警鐘を鳴らす作品である。
Posted by ブクログ
難しいけど面白かった。
前半の旧スピードの人類滅亡、スミルノフ教授の懺悔にも近い演説、これらも良かったが、個人的には南極からARSを止めに行くところが好きだ。
誰かがやらねばならないから、やむを得ずそれをやる。
現人類の「仕事」というものも、こういうものではないのだろうか。眼の前のそのことは、多分誰かがやらねばならないことだ。そこにモチベーションとかやりがいとか、そんな上っ面が介在する余地はない。
ただ、やらなければならないから、やるだけだ。
京極夏彦「鬼」の刀を研ぐ行為と同じだ。
Posted by ブクログ
昭和39年の作品とは思えない。令和の新刊だとしても通用するほどの圧倒的な情報量とプロット。
イギリスで密かに開発していたウィルスが瞬く間に全世界へ拡散。人類の全滅まで1年と待たなかった。まさにバイオハザード。
唯一、南極の各国基地の人員だけが無事に生存していたものの、今度は人類亡き後の米ソの自動報復合戦により南極がターゲットになることに。
最後に残った人類を救うべく決死の覚悟で2人の勇姿がワシントンに乗り込むものの、最悪の事態は避けられない。アラスカで発生した地震をソ連の攻撃と見なし、無人の米ソ報復合戦。
しかし、皮肉なことに、宇宙から持ち込まれ、改造されたウィルスを無害化したのは、無人戦争で無数に放たれた中性子爆弾だった。
愚かな人類が迎えた結末、戦争に次ぐ戦争を迎えていたのにも避けられなかったこの結末。人類は復活の日に向かって、これを教訓としていくことができるのか。
ぜひ映画も見たみたい。
Posted by ブクログ
細菌兵器や核兵器等、持つことで抑止力になっている間はいいけど、ヒトは間違いや思い込みをする生き物だから、この本みたいな事も起こりえて怖い。
偶然が重なって人知れず漏れでた細菌兵器によって、人類はあっという間に一部を残して死滅する。
人類の繁栄がずっと続くなんて保証はどこにもない。
Posted by ブクログ
新型コロナが流行りだした当初、中国武漢の研究所で作ったウィールスの漏洩説があった。生物兵器研究の怖さについて今から50年前に予言した名著。科学者の良心、バグウォッシュ会議の意義などが思い浮かぶ。独白部分では、地球の歴史、人類の歴史を顧みて、人間が地球でのいかにか弱い存在か、そして科学とは何か等について小松左京さん自身の哲学が語られている。