【感想・ネタバレ】物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

フィンランドの政治や歴史についてまとめられた本。
ドイツ、ソ連、スウェーデン。フィンランドは周囲の国の介入を受け、幾たびも戦場となり、翻弄されながらも舵取りをしてきた歴史を持つ。ハンザ同盟に参加し、デンマークを筆頭とするカルマル同盟と競った時代。
フィンランドのエリート層はスウェーデン語を話し、シベリウスもそうであったことを知った。
対ソ連対策のためナチス・ドイツと近接するも失敗し、反省からヨーロッパとソ連の間でバランスをとった20世紀。フルシチョフとのサウナ外交、ヨーロッパとの緩衝地。
高齢化、移民問題、放射能汚染を抱えていること。製紙業のノキアが情報産業に特化し、ゲーム産業で盛り返そうとしていること。
ムーミンが日本人に熱狂的に人気があること。
読書の楽しみを味わえる一冊。

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2018年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「物語 フィンランドの歴史」
石野裕子著
中公新書
2017年10月25日発行


来年2019年、フィンランドと日本は国交樹立100周年。で、驚いたことに、フィンランドという国が出来たのは去年から100年前の1917年であり、それ以前はフィンランドとしての統一国家は成立していなかった。
それ以前の100年間は自治権のあるロシア領であり、さらにその前の500年間はスウェーデンが統治していた。

日本人にとって、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの違いがなかなかイメージし辛い。とくにフィンランドについて問われると、ほとんど何も答えられない。首都ヘルシンキの名も、すっと出てこない。

クイズ。これ分かる?
スウェーデンやノルウェーは王国だが、フィンランドは王国なのか、共和国なのか?

アジア系だなんて思っていない?
フィンランド人がアジア系だと誤解している人も多い。言葉はスウェーデン、ノルウェー、デンマークは、インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語系だが、フィンランドはウラル語族。しかし、昔はウラル=アルタイ語族と一括りにされていたため、フィンランド人はアジア系だと思われてしまった。ウラル語族とアジア系のアルタイ語族の結びつきは否定されている。子供の頃は、中央アジアの遊牧民族である匈奴がフン族と同一であり、フン族が造った国だからフィンランドという、などと言う説を学校でも聞かされた。もちろん、それも真っ赤な嘘。

では、これはフィンランド!というものに何があるか?
・ムーミン
・ノキア(ただし携帯電話部門はもう身売りしている)
・サウナ(発祥国)
・マリメッコ
・かもめ食堂(日本映画)
・サンタクロース村

日本との意外な歴史上のつながり。
フィンランドは、ロシア革命の時にロシアから独立したが、オーランド諸島については島民がスウェーデンへの帰属を望んだため、国際連盟が調査団を送り、フィンランドへの帰属で決着させた。その時、国際連盟の事務局次長だった新渡戸稲造が活躍したらしい。この本には書いていなかったが、今でもオーランド諸島では新渡戸稲造の武士道が人気だとのこと。

禁酒法。
アメリカで施行されたのとほぼ同時期の1919~32年、フィンランドでも禁酒法が施行された。今も、ビールはスーパーで買えるものの、アルコール度数の高いその他の酒は国の専売公社でしか買えない。

フィンランドのトランプ?
フィンランドはリベラルな保守、中道、左派の三大政党が他の政党と連合を組んで政権を担当してきたが、最近はやはり反EUのポピュリズム政党が躍進して、三大政党と同じぐらいの規模になっているらしい。

意外な世界史。驚いた!!
この本を読んで、知らなかったフィンランドのことをたくさん知ることが出来た。しかし、フィンランド以外のことでも勉強になったことがあった。
第二次世界大戦は、ドイツがポーランドに侵攻した時点で始まったと学校で習ったが、その直前に結ばれたドイツとソ連の不可侵条約には秘密協定が付属していて、ポーランド侵攻後の両国による分割と、フィンランドとバルト三国がソ連の勢力下に置かれるとの確認が行われていた。これは驚き。ドイツに続いてポーランドに侵攻したソ連。戦争のふりをして、最初から2国で分割する算段だったわけである。

なお、フィンランドは共和国であり、大統領がいます。

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2021年03月29日

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