【感想・ネタバレ】神戸電鉄殺人事件(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

神戸異人館のプールで、横浜にいたはずの若手人気女優と京都の会社社長の死体が発見された。彼女の死後、何かを探すために六本木の超高層マンションの彼女の部屋を訪れた、まるで共通点のない五人の男女。そのうちの二人が、カンボジア、東京駅で殺された。そして、有馬温泉駅発の神戸電鉄の車内でも、男女が殺害される! 十津川警部が大胆不敵な連続殺人に挑む、長編トラベルミステリー。

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Posted by ブクログ

〇神戸が舞台の殺人事件。女優が殺された理由とは
女優の及川ひとみが、撮影会場に現れず、神戸異人館で永井清太郎という男と一緒に殺されていたことがわかった。マネージャーの高田は失意のうちに、複数の男女が及川の家を訪問したいということを知る。
その中の大学教授の白石が、及川が仏像が好きだと教えてくれ、だるまの中に「隠してある」仏像を見つける。それを貸金庫に置かせてもらったが、高田も何者かに襲われてしまう。
十津川班は、及川と永井がそれぞれ仏像でつながっていることに目をつけ、操作を始めようとした矢先に、大学教授の白石がカンボジアで殺されたと聞き、ますます疑惑は確信を深めていく。

***

ベトナムを日本が占領下に置いていた時代にどのようなことが行われたのか、その時代考証もさることながら、現地にいた人間の心情を日記に起こして吐露しているところに、作者の取材力を感じる。
ベトナムで日本人がひどいことをしたかどうかはここでは置いておくが、仏像にゆかりのあった日本人であれば守りたいがために実行してしまいそうなことではある。ただそれを金儲けのために使い、ましてや殺人事件を起こしてしまうことはもってのほかであるのだが。
最終的には関係者がみんな死んでしまい残ったのは悪党だけ、という構図にはなってしまうのだが、十津川の見事な裁きに感服するばかりだ。

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2020年09月29日

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