あらすじ
中国と日本の間にインドが割って入り、「中印二強」時代がやってくるのはもはや時間の問題である。インドの成長で、中国の台頭によって引き起こされたものと同様の激変がアジアで起きる――。本書は、政界、経済界のみならず、庶民の生活にも深く分け入った元朝日新聞ニューデリー支局長が、チャイナ・パワーに対峙しつつインドを取り込もうとする日本の戦略を軸に、10年後、20年後のアジアと日本を考えるための手がかりを明示したルポである。
デリー・ムンバイ産業回廊(DMIC)構想など巨大プロジェクトをいくつも立ち上げ、外資を呼び込みつつインフラ整備に邁進するインド。一方、国内では、世界一ともいわれる貧富の差、カーストに基づく根強い差別、頻発する宗教・民族紛争など、深刻な社会問題を多く抱える。「ばらばらな人びとが好き勝手言い合う社会」をまとめるものはもはや国旗と国境しかないと言っても過言ではない。今のモディ政権は、国民統合の原理に薄いインド社会を「ヒンドゥー・ナショナリズム」の枠で固めようとしているが、懐につねに火種を抱えており、その足場は盤石とは言いがたい。
インドが併せ持つ、こうしたチャンスとリスクを冷徹に見極めるための視点を提供する。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ありとあらゆる点において日本と逆の世界。他に追随を許さない圧倒的な格差とBLM問題を遥かに凌ぐ差別問題を包括したまま、近年中に人口で中国を抜きGDPで日本を抜くことが確実のインド。知らないことだらけで面白かった。
Posted by ブクログ
正直経済の発展著しい部分は中国にいるのでさほどインパクトはなかった。が、非核三原則の日本が原則を崩して原発を輸出させられる事と引き換えにインドに新幹線を売ろうとしている点などインドの交渉力が凄い点は驚いた。モディ首相のヒンディー原理主義な点、英語教育がしっかり行き届いているのが20%(1億人)な点も面白かった。もーちょい英語ができるようになったら、インド行きたい。
Posted by ブクログ
多様性にあふれるインドを解説。人口13弱、22の公用語、宗教はヒンドゥー教が80%だがイスラム教徒も13%以上、キリスト教、シーク教、仏教、その他多様。
憲法ではカーストなどによる差別を厳しく禁じているが、カーストによる人々のグループ化はなくならない。カーストを基盤に政治家を排出し権利を勝ち取ることは状態としておこなわれている。
国境を接する、中国、パキスタンとの関係、スリランカやネパール、バングラデシュとの関係も複雑。
様々な問題を抱えながらも経済は成長しており日本を追い越して世界第三位の経済大国にのし上がってくることは間違いない。其の時にインドがどのような大国としての振る舞いをするかは予想が難しい。しかし、大人しい国にはならないだろう。
ITや数学強い国、英語が話せる人たちの国というイメージが定着しているがその中身がどういうものかは、この本で詳しく説かれている。この部分が一番の読みどころ。
Posted by ブクログ
今のインドについて書いた本。
良い面も悪い面も両方あるが、日本とは正反対の国。
まさに沸騰というタイトルが似合う。
馴染みがない国なので、知識として読んで良かった。
以下は読書メモ:
日印関係
インドは数年後にGDPで日本を抜いて3位に。
停電
モディ
ナレンドラ・モディ 14代インド首相
電気や道路のインフラ整備
高額紙幣の廃止、アーダール・ナンバー(日本で言うマイナンバー)、貧困層向け口座開設 キャッシュレス社会へ
モディノミクス(経済振興)とヒンドゥーナショナリズム
インド外交
中国 スリランカ、パキスタンを巡る駆け引き
インド洋 真珠の首飾り
核
教育
インド12億人のうち英語を流暢に話せるのは4% = 5000万人、意思疎通できるまで広げると20% = 2億人 割合は少ないが数は市場を支えるのに十分
州により言語が異なる 裁判所、大学は英語
英語が話せないといい仕事に就けない。
スーパー30
カースト
人種、宗教、出身等と同様のアイデンティティの1つ 民族みたいなもの 職業別
政治利用
アイデンティティ政治 カーストや宗教などアイデンティティを共有する有権者を集め他者を攻撃することで結束を図る
多様性、日本と正反対の社会