あらすじ
一切嘘がつけない結合人間=”オネストマン”だけが集う孤島で、殺人事件が起きた。容疑者たちは“嘘がつけない”はずだが、なぜか全員が犯行を否定。紛れ込んだ”嘘つき”はだれなのか――。
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Posted by ブクログ
どうしてこんなことを思いつくのか?白井智之作品読むたびに毎回頭を抱えてるけどこれもだった。
まず生殖方法として人間が結合する、この時点でネジ飛んでるのに結合後は4つ目4本腕4本脚平均3mって異形になるの凄まじい、、さすがにNGが出たのか表紙の結合人間はその姿じゃなくて詐欺。
外で読んだらプロローグからきつくて笑い、少女を売るのえげつなさに慄きながらも後半のミステリを期待して読み進めた。(裏表紙のあらすじがここに触れてなさすぎて面白かった。嘘はついてない)
相変わらずグロさと異常設定をミステリに落とし込んで多重解決続けて論理を作っていく常人には考えつかない美しさだった。新作と比べると物足りなさとか設定のご都合主義感はあるけど、あの醜悪な場面が伏線になる(から読み込まないといけない)のは悪意が強すぎて脱帽。オネストマンに焦点が当たってた分ジョイントマンが死に設定だったのは残念。個人的には4本腕があるから重いものもしっかり支えられるって描写が好き。たしかに便利だね。
船橋結合人間も世界観と悪意をぎゅっと濃縮しててよかった。
この世界だと意識を捨てることになる男性が荒れずに前向きに結合しててすごい。
Posted by ブクログ
生殖のために男女が「結合」を行い、結合人間となる。更には結合の過程で嘘がつけない「オネストマン」が誕生することもある、という理解不能な世界観。 前半は半グレ売春組織の話で後半はオネストマンが集った孤島での殺人事件の話。無茶苦茶な設定なのにも関わらず、全編に張り巡らされてる伏線でうまく前後半をまとめて納得させてしまう凄い作品。 初期作品から白井智之ワールド全開で楽しめた。 ところで、結合したあとどうやって子供産むんだろう?全くイメージがつかない。
Posted by ブクログ
例えるならば「上から汚物を塗りたくられた名画」「目に染みるガスが立ち込める景勝地」「腐敗臭がするけど味覚的には絶品料理」
そこまでして読みたくないわという方も続出だね
1p目から生理的嫌悪と耐性を試され汚物を除去していかなければならず、その全体像を完璧な形で味わうためには流し読みだの飛ばし読みなどと雑に拭いてはいけません。ソコに重要な部分を隠すのが作者の手口ですから
そうして120pほど読んだところで第一部完
やはり何かが目に染みるぜ
ここから二部ということはなるほど連作短編か、ってそのまま話が続くんかーい!いいね!
て、完食してみたらやっぱり美味いのよね
食べたことない食材だけど調理法と味付けは完璧だと理解させられるのよね
なんなん?
Posted by ブクログ
初めてこんなに現実世界とかけ離れてるけどかけ離れてないところで起こる話を読んだ。
結局、誰が誰で何がどうなったのか、考えれば考えるほどわからんくなる
Posted by ブクログ
【一言感想】
読んでいて不快かつグロテスク。特殊世界にはつっこみどころ満載。しかし,多重解決や叙述トリックは見事。クセの強い作品だが,白井智之の作風は嫌いではない。
【感想】
生殖のために男女が身体を結合させて「結合人間」になるという特殊世界を舞台にしたミステリ。この世界では,結合による突然変異として,時折,うそがつけない「オネストマン」と呼ばれる存在が生まれる。当然,この特殊な設定を活かしたプロットで描かれている。白井智之の作品らしく,グロテスクな描写がある。また,ネズミ,ビデオ,オナコと呼ばれる登場人物は,かなり不快な人物として描かれている。
人気モデル川崎千果と映像作家ヒロキによる結合とオネストマンが誕生するシーンが描かれたプロローグから始まる。このプロローグもちょっとした伏線になっており,
この小説は,「少女を売る」と「正直者の島」の2つに分かれた構成になっている。「少女を売る」は,栞という少女が,なぜ,死の直前になって友達をほしがったのかというホワイダニットになっている。栞という少女は,学校では周囲を見下しているようなタイプの少女だった。それが何でも言うことを聞くようなスタンスでネズミ,ビデオ,オナコが運営する寺田ハウスという売春
をしていたのか。真相は栞の復讐。性被害を受け「羊歯病」という病気になった栞は,殺害された弟の復讐のために寺田ハウスの3人に羊歯病を移そうとしていた。自分だけだと3人と性交渉できないので,別の少女を連れてこさせ,連鎖的に感染させようとしていたというもの
グロテスクな設定ではあるが,ホワイダニットの謎としては驚かされる。読んでいて不快な点に目をつぶれば,ミステリとしてはそれなりの作品に仕上がっている。
後半の「正直者の島」は一転してクローズドサークルモノになる。寺田ハウスの3人が映画を撮るために7人のオネストマンを集める。しかし,寺田ハウスの3人は今井イクオクルミという探偵により船から落とされる。オネストマン7人がたどり着いたのは狩々ダイキチモヨコとその子どもが住むというカリガリ島。カリガリ島で,狩々ダイキチモヨコとその子どもの麻美が殺害される。オネストマンの7人はいずれも犯行を否定。ほかの人物がいるのか,誰かがオネストマンではないのか。読者には2人,オネストマンではない人物が含まれていることが示されている(誰がオネストマンでないかは分からない。)。そのうちのどちらかが犯人なのか。
続いて,神木トモチヨが殺害される。
この物語でも,多重解決が示される。まずは今井イクオクルミの推理。狩々ダイキチモヨコを殺害したのは神木トモチヨ。決めては,狩々ダイキチモヨコが宿舎に怒鳴り込んできたことを知らなかった(そのとき神木トモチヨはいなかった。)こと。神木トモチヨを殺害したのは丘野ヒロキチカ。神木トモチヨが,狩々ダイキチモヨコを殺害した場面を見ることができ,脅迫できたのは丘野ヒロキチカしかいないという消去法での推理
続いて犯人と指摘された丘野ヒロキチカの推理。犯人は浅海ミズキハルカ。狩々ダイキチモヨコは二重人格で,自分を殺そうとしていた。医者である浅海ミズキハルカは疑心暗鬼になるように嘘の検視をしたというもの。これは現場の状況に全く合わず破綻
そこに今井イクオクルミの依頼者である茶織(栞の友達として拉致された少女)の妹と伯父が現れる。茶織の復讐に来ているが二人は死亡。定期船の乗組員は殺害される。今井イクオクルミも死亡。浅海ミズキハルカも死亡
次に生き残った丘野,小奈川,杯が推理。包丁を利用したアリバイ工作ができたのはノーマルマンの二人組。7人の中からノーマルマンを探し出せば犯人が分かる。杯,丘野,小奈川,双里の4人に一人でもオネストマンがいれば全員オネストマンになる。そうすると犯人足り得るノーマルマンは浅海と今井の二人。犯人はこの二人う推理。丸一日眠らせる睡眠薬を使っていたというトリック
エピローグで,ヒメコが現れ,オナコと再会。真相が明かされる。丘野ヒロキチカのふりをしていたのは,オナコ。オナコは丘野萌子という名前だった。丘野という表記を利用した叙述トリック。寺田ハウスの3人のうち,オナコは女で,オナコだけが生き残っていた。丘野ヒロキチカとは船で入れ替わった。物語の中で,オネストマンの1人,杯はヒメコの父親だった。最大のポイントはカリガリ島には,もう一人少年がいたこと。オナコであるとばれると今井に殺されると思ったオナコはその少年と結合した。オナコが犯人。神木トモチヨはオナコ丘野ヒロキチカのふりをしていることに気付き,ゆすったので殺害された。
ボーナストラックの船橋結合人間は結合人間スーツを着ている自分が結合人間だと思った恋人を自殺させた男
の話。おまけ程度
なんというか不思議な魅力がある作品。グロテスクだし,不快な描写が多いし,特殊世界のミステリだけど,どういう世界なんだとつっこみたくなるような世界観。しかし,ミステリとしては多重解決となっており,叙述トリック(オナコ→丘野と丘野ヒロキチカを「丘野」と書いて誤信させる叙述トリック,そもそもオナコの性別がはっきりしない叙述トリック)も効果的。オナコが真犯人で,カリガリ島にはもう一人少年がいたという真相にも意外性が十分。寺田ハウスが解体されるきっかけになった中村大史が兄弟を監禁という前半部分のニュースがちょっとした伏線になっているのも見事
白井智之の描く作品は,確実に読む人を選ぶけど,個人的にはクセの強いこの作風は嫌いではない。とても人には勧められないが。★4を付けたい。
Posted by ブクログ
結合するという人間たちの生態が妙にリアルな気がして、詳細を知るにつれ「なるほどな〜」と感心していた。男性側に強い痛みと苦しみがあり、さらに人格をも捨てる覚悟が必要な点が興味深い。そのうちに結合を望まない人が増えて絶滅しそうだ。
嘘をつけないオネストマンの存在が、かえって全体の疑心暗鬼を生み出していて面白かった。
白井作品では、序盤の些細な情報も後半で拾われて謎解きに関わってきたりするため、頭に叩き込みながら読んだ。それでもやはり、どんな展開になるのかも、どことどこが繋がっていくのかも予想がつかなかった。何が起こってもおかしくない面白さがある。
ただ、もう少しスカッとしたかったかな、という感想。
Posted by ブクログ
こっちもだんだんと白井智之に慣れてきたので『犯行後に結合した』というところまでは予想がついた。
今回は「オナコが女性でかつ生きていたら」というファクターから多重解決につながっていくわけだけど、性別の叙述トリックがなくても一応密室殺人とアリバイのトリックについては説明がついてしまう(麻美が避妊(?)の失敗から結合させられてしまった)し、叙述トリック自体も雑で安易なものに感じられたので、ややキレが悪い。
オネストマン論理パズルは面白かったが、そもそも別の抜け道があったというオチなのもやや物足りない。オネストマンの性質を利用した多重解決を見たかったところだ。