あらすじ
感じる、圧倒的ノスタルジー――。手探りでも懸命に未来を探した、「あの頃」が蘇る! 1981年、札幌。喫茶店〈D〉でアルバイトをしている大学生・コウヘイのもとに、東京で働く姉が「しばらく泊めて」と現れた。コウヘイは彼女がやって来た理由を聞けないまま、共同生活を始める。一方〈D〉では、店長が突如「辞める」と言い出して……。平和に思えた人間関係の綻びが垣間見えたとき、コウヘイたちがとった行動とは? 見えない未来に焦り、それでも前に進もうともがく若者たちを描いた傑作青春小説。
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Posted by ブクログ
帯に「圧倒的ノスタルジー」とあるけれど、生まれる前の知らない街のお話なので、そこまでノスタルジックな感傷は浮かばない。この時代に青春を送った人であればもっと異なる感慨と共に読めるのかもしれない。
ただ、ケータイやスマホのない頃の人間関係、ネットやSNSであらゆる情報を即時発信・収集できないからこその遠い土地への憧れ、あとは、働くことや未来に対する主人公たちの意識。それぞれに抱えたものはありつつ、道を示してくれる大人の存在。
主人公にとってはそれこそ当たり前のことなので、そういうものだ、みたいに語られる話をどこか他人事のようにそうなんだと頷きながら読むしかないのだけれど、彼らの目に映る世界は、素直にいいなあ、と思ってしまった。
Posted by ブクログ
札幌の大通南の喫茶店でのバイト仲間の中での人間模様と主人公の成長。学校で学べないことを、学外のいわばバケーションの中で学んで成長していく物語。姉さんとかカッコいいナオキさんとかキャラ立ちのする存在である。いつもの小路ワールドで、悪人がいなく、温かく見守る筆者のまなざしが読み取れる。
Posted by ブクログ
1981年。札幌の喫茶店でバイトをする主人公大学生コウヘイのもとに、東京へ上京したはずの姉が7年ぶりにいきなり現れ、姉との共同生活が始まる。
未来に焦り、それでも前に進もうともがく若者たちを描いた小路氏らしい青春小説。
タイトルの通り、大学生活って思い返すと人生の夏休みだったな。学生時代のバイトって固定のものは少なかったな。今はなき玉学ローソン、今はあるのか国府津のバーミヤン、その他は日雇の変わったのばかりだったな。日本語の喋れないアジア人と新幹線の車輪磨き、一日中ペットボトルのラベル観察、豆腐工場で延々とがんもどきを揉む、東海道沿線のゴミ収集からスクラップ、独居老人リストから訪問カウンセリング、当時は派遣業法もザルだったから、大分グレーなのものもあったな、思い返すと。
現在じゃ、金の稼ぎ方ってのが大分変わってきたが、今思うとどれもこれも面白かったな。特に日雇いに来てた人間って本当に色んな人間がいるのな。反面教師にする典型みたいな。
今、現在関わりのある学生たちが今後どんな未来を歩んで行くのか楽しみだなーなどと思いを馳せてしまう一冊でした。