【感想・ネタバレ】なぜ、わが子を棄てるのか 「赤ちゃんポスト」10年の真実のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

赤ちゃんポストの是非を問う本。この手の本は何冊が読んだが、一番客観的でわかりやすかった。
問題は赤ちゃんポストそのものではない。相談機関が限られていること、知識不足、母親の孤立など様々な原因が存在する。
赤ちゃんポストの議論では、「子どもの視点」が欠けているように思う。子は親を選べない。親の都合で捨てられた子が、その先どんな人生を歩むことになるのか。もう一度深く考えるべきである。

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2023年10月24日

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◯名著。記載されたエピソードは胸にこみ上げてくるものがある。
◯関係者への取材内容は大変貴重なもの。行政では中々収集できない部分であり、報道の正しいあり方というか、さらには取材を通して訴えたい内容が見えてくる。NHK取材班の執念のようなものを感じる。
◯まとめにおける提言も、上記の取材を土台にした説得的かつ現実的なものであり、行政および支援に携わる関係者に勧めたい一冊。

◯個人的な感想としては、女性にも男性にも共感できないと思っていた分野だったが、この一冊のお陰で、悩む人たちの気持ちを垣間見られたことで身近に感じることができた。

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2020年01月10日

Posted by ブクログ

九州の病院に赤ちゃんポストが設置されて10年経ち、その利用を巡って起きている出来事や日本の児童福祉制度についての本。

子育てを日々行っている親としては、子育てというのは本当に大変であり、産んだはいいが育てられない状況というのはいくらでも思いつく。

いわゆる「できちゃった」で、結婚も、母体も、家庭も、何も準備できてなくて生まれてくる子供。

親が結婚してない、わけありな状況で授かってしまった、健康問題を抱えている、失業している、あるいは、妊娠中や生まれた後夫婦仲が悪化して離婚、シングルになる、etc.

親が健康で、子供の養育にふさわしい環境が用意できて、時間や経済面でも余裕がなかったら子育てはできない。しかも、1人でワンオペでは心身消耗して潰れる可能性もあるという負荷の高い労働であり、夫婦や祖父母、保育園などのサポートがないと厳しい。

しかし現実には、貧乏で荒んだ家庭の女の子が、高校生ぐらいで彼氏を作ってあっという間に妊娠、10代でお母さんになったが、自分もまだ子供で、赤ん坊の世話も母親としての覚悟もできず、父親はどっかに行ってしまい、実家も頼れず、水商売に行き、子供は仕事の間ほったらかし…とか、普通に起きているわけだ。

挙句に彼氏ができて、その彼氏が継子を虐待、とか、子供はネグレクトで餓死、なんていう事件もあった。

赤ちゃんポストは子供を捨てる場所で、ひどい場所とも言えるが、死なせるくらいならよその人に助けて貰おうというと、足を運ぶということは、殺さないだけ心がある親だという考え方もある。

10代でできちゃったとか、DV家庭とか、片親家庭とか、大変なケースはいくらでも想定できる。生まれた子供をしっかり育てられる親ばかりではないことは明らかなので、あまり罪悪感なく、お願いできる場所は必要だと思う。

社会の宝として、いろんな人達に大事にされて成長できれば良いと思う。


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2019年09月09日

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「こうのとりのゆりかご」通称「赤ちゃんポスト」の10年たった現在。
この「赤ちゃんポスト」の件、当時かなり気になっていたが、あれからもう10年たったのか、という驚きとともに読む。
10年たった今も、子どもを取り巻く状況はあまり変わってなくて、むしろ悪化してるんじゃ?と思いながら、苦しくなってきた。
この問題に対する国の姿勢が、ホントに消極的に感じる。
終章の取材を通じて必要性を感じる取組が、何点かあって、取り急ぎ、自分自身にできることは、わが息子への「妊娠、出産、子育てに関する」教育だな、と改めて強く思う。

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2018年06月28日

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ネタバレ

熊本の慈恵病院の赤ちゃんポストの設置から10年。賛否両論ある中、虐待や遺棄で亡くなる赤ちゃんを救おうとドイツをモデルとして設置された。
日本は政治、国の制度として本当に整っていなくて、同じように救いたいと思っていても制度的に難しい面がある。血縁での親子関係を重視しすぎで、特別養子縁組も進まず、ぶら下がりの施設育ちが多くなってしまう。子どもの出自を知る権利もあり、完全に匿名で出産してポストに預けるというのは、憲法違反という意見もある。ドイツでは、産む前も産んだ後も継続的なサポートをしており、生後8日で親権も剥奪される。
一番腹立ったのは、お互い学校教諭で、不倫の末妊娠。職員会議でポストに預けてはどうか、という意見があり、ポストを利用した、というエピソード。

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2021年02月12日

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「赤ちゃんポスト」として有名になった「こうのとりのゆりかご」。
2007年に開設され、十年が経過した。
当初考えられていたよりも多い赤ちゃんが、そして一定程度大きくなった子供達が棄てられた。
十年を過ぎた今、この存在を通して、様々な問題を考える。

本書中で記憶に残るのは、ある少年の語った話だ。
の少年は自分が「赤ちゃんポスト」に預けられたその時を覚えているのだと言う。
彼が預けられるまで、母親には様々な葛藤があっただろう。
一概に、ひどい母親だと責めることはできない。
ただ、どうして、と言う気持ちはなくなることはないだろう。

子供を産めない、産みたくない、頼れない、知られたくない......。
世間体を気にして預けた母親(または父親等も)がいたことは事実としてあるようだ。
それは本当に身勝手な行為であるが、それでも、望みを託して、赤ちゃんポストに預けたのだと私は思いたい。
ここなら、この子を助けてくれる、そう信じて、親であろうとしたのだと。

亡くなった赤ちゃんを預け入れた母親も、「ここでなら供養してもらえると思った」と供述しているようだ。
無知だ、無責任だ、自己中心的だ、罪を軽くするための嘘だ、確かにそうかもしれない。
けれども、どうしてそれを決めつけてしまえるだろう。
ましてや虐待だと断罪することなど。

願わくば、もっとたくさんの場所に設置してほしい。
そして、その先の、子供達に寄り添える環境づくりも。
産んだ母親ばかりに責任と負担がかかりすぎる現状は異常だ。
母を責めるならどうして父の責任を誰も問わないのだ。
「こうのとりのゆりかご」は、母と子の悲しみの涙ではなく、祈りと希望で包まれなければならない。

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2018年07月31日

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