【感想・ネタバレ】野中郁次郎 ナレッジ・フォーラム講義録のレビュー

あらすじ

「ナレッジ・フォーラム」とは、2008年1月に世界的な経営学者である野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)が、知識創造理論に基づいて作り上げた、次世代リーダー育成のプログラムである。ファシリテーターは、竹内弘高氏(ハーバード・ビジネススクール教授)と一條和生氏(一橋大学教授)。現在10年目にして、数多くの企業トップを輩出している。ここでは、1 哲学、文学など、第一人者を招いてリベラルアーツを学び、2 自己の経験を周囲と共有するリーダーシップの訓練、3 日本企業の経営についての課題を見つけ、モデルを作って研究発表をする、というプログラムが行われている。本書は、開講10年目にしてこの非公開のプログラムの中から評価の高いコンテンツをもとに書籍化したものである。

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Posted by ブクログ

野中郁次郎のナレッジフォーラム。各分野のエキスパートが揃い、ビジネスワークショップの一部講演であるのでビジネスよりの解釈をどの人もしていて読んでいて飽きないし、意味のある教養になっている。

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2025年02月14日

Posted by ブクログ

ナレッジ・フォーラムは野中郁次郎さんの造語で、英語ではKnowledge Forumと表記する。野中さんが次世代の経営リーダー育成を目的とした学びの「場」として構成した一連のプログラムのことだ。しかしいわゆる「研修」や「留学」とは少し違う。それは野中さんが次世代経営リーダー育成と言いながら、ひいては将来の日本を経済界から牽引するような、もっと大きな視点からの人材育成を目指しているから。少し内容を見てみよう。

各企業から選ばれた受講者(=次世代のリーダー候補)は、はじめはチームビルディング研修(いわゆる合宿)により、メンバー間の結束が促される。
次は月1回の「教養・経営セッション」。つまり講義による座学だが、内容に関しては野中さんにこだわりがある。「哲学」「歴史」「文学」「自衛隊の国際任務」…つまり必ずしも経済や経営に直接リンクしないものもある。だが実は、企業人への講義イコール経済や経営のレクチャーというのは近視眼的で、一見関係のない分野からも幅広く得た教養や知識の結び合わせこそが、経営に応用される発想や思考のたね(種子)となりうる…それがアメリカで世界的視野が培われた野中さんの考えだ。

さらに次からの展開は、ちまたの人事研修ではめったに見られない、ナレッジ・フォーラムのオリジナルだ。1つは「経験の共有セッション」。これは受講者が他の者の前に立ち、これまでの人生で最も感動した体験あるいは人生最大の失敗などの、自分の人生において最大級に影響を与えた出来事を30分で発表するもの。これは野中さんが特に重要視している。つまり、発表者が他人に話すほどでもないと考えている自分の体験をまとめ上げて人前で話すことで「物語創生」する力が養われ、他の受講者も発表者の語りから「物語」を聴き取り共感する力が養われるからだ。

そして締めとして「グループワーク」による論文執筆が控える。テーマは「日本独創経営コンセプトの提言」と決まっている。

このように野中さんの独創的なフォーラムの各セッションの内容は濃密で読みごたえがあるなかで、私からは本書P168から掲載された、このフォーラムをきっかけに集まった異業種の5人のグループによる研究、発表会とそこでの挫折、そして難産の末の論文完成までの経過を一例として紹介したい。

そのグループは企業経営の重要ポイントの1つを「担ぎ担がせる力」として祭での神輿になぞらえ、それの象徴的な姿として長崎くんちの龍踊(じゃおどり)をクローズアップ。企業において社員が魂を揺さぶられて社員自身が自分の力を最大限に発揮させる源となるような仕組みを「共振エンジン」と名づけ、その社内での位置づけの重要性を長崎くんちと比較検証することで、「これ以上の『日本独創経営コンセプト』はない」という勢いで発表会に臨んだ。

ところがグループ員の予想と期待を裏切り、野中さんはダメ出し。「くんちから突然、共振エンジンに行ってしまっている。具体的な事例や仕組みを訪問企業から選んで、最後にやっぱりこうだ、という流れだと、しっかり腹落ちするんですよね。今の段階では、波動まで行かないような感じだよね」。
ここは私も自分の経験上思い当たる。すごいいいアイデアが出て「これだ」と思うあまり、その結論に至るプロセスが脆弱なのに気づかず、自己満足にひたっていると、周りから「根拠は何」「検証不足」「強引にもってきた感じ」とか言われたことを。

メンバーはそれでも挫けることなく、日本の伝統的な祭の代表格である長崎くんちが持続させてきた共振共鳴力こそが、日本企業の組織や個人が自己の内面に火をつけることによって困難を乗り越える強い力となりうる「共振エンジン」の原点だと主張する論文を、くんち同様に強い磁場を持つと思われる企業を選びヒアリングを行い、その調査結果を絡めたうえで完成させた。

ここまでやれば論文の完成度もそれに値するもののはずだと私は羨望の気持ちで読んだ。だが冷静に考えてみると、そこに至るまでのグループ員間のディスカッションやアイデアの出し合い、企業訪問や多くの人からの聞き取りなどの、今の時代の効率化という流れとは対極の地道な活動こそが堅実なプロセスだと気づかされた。そしてここで、なぜ改めてリベラルアーツなのかという野中さんの“問い”の答えが胸に落ちた心持ちがする。

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2024年10月20日

Posted by ブクログ

SECIモデルだけでなくTPMOモデルも紹介。
具体的に知っている日本企業の事例が多いのでわかりやすい。

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2022年11月02日

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