【感想・ネタバレ】人事こそ最強の経営戦略のレビュー

あらすじ

世界で勝負する企業の、すべての経営者と人事担当者に贈る
永久保存版! 「日本型・グローバル人事の教科書」

人事のグローバル化に求められるのは、日本企業で行われてきた人事施策を「人材の多様化」「人材需給のグローバル化」「人材の流動化」という三つの変化に対応したものにいわば“バージョンアップ”していく作業であり、なにか全く新しいことをゼロからスタートさせるといったことではありません。
そして実際に正しい方法でやってみると、実は日本企業ほどグローバル人事に向いている企業はないというのが、私自身の実感です。
本書では、「変化」に直面した日本企業が、この「変化」をチャンスと捉えて、世界で勝てる組織に変わっていけるよう、グローバル人事を最短で実現させる具体的な方法と、その際に人事が知っておくべき考え方を余すことなくお伝えしていきます。(「はじめに」より)

早稲田大学ビジネススクール准教授
入山章栄氏、大絶賛!
本書は、人事が意思決定するための知識や考え方を網羅的に解説した良質な手引書である。また、経営学的な視点からも非常に親和性が高く、これから日本企業が進むべき選択肢が体系的に記されている。

パナソニック、ジョンソン・エンド・ジョンソン、オムロン、国連、SAP……先進企業の事例も掲載!

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Posted by ブクログ

国内マーケット縮小による経営のグローバル化の必要性、事業環境がスピーディーに変化する時代にあってイノベーションを支える「人」の重要性の高まりを前提として、日本企業の成長に欠かせない「グローバル人事」のあり方が描かれる

筆者によると、「グローバル人事」とて「人を育て、組織として機能させる」という人事の基本は変わらず、ゼロから新しいものを作り上げたり、海外企業の人事施策を盲目的に導入することではない。
むしろ旧来の日本の人事をベースとしながら、事業のグローバル化に伴う「人材の多様化」「人材の需給のグローバル化」「人材の流動化」に対応していくことが「グローバル人事」であると述べられる。
また、事業のグローバル化にも類型があり、それに応じて人事の方向性が変わることが強調され、人事の領域でトレンドとなっている制度や施策にどのような背景や目的があるかについての説明は非常にわかりやすい。

「グローバル人事とは、人事のための取り組みではない」「グローバル人事とはあくまでも経営のための改革の一つ」。終章で筆者が強調するこのスタンスが、最も重要性を再認識した点である。人事はあくまで経営の目的を達成するための手段の一つであり、人事業務に携わる者としては、経営に対する深い理解や素養を持つこと、あるいは自身が経営に関与することが必要と感じた。人事の制度や施策を身のあるものにすることは、それ自体に価値があるわけではないが、経営の目線を持って考えられたものであるか? この視点は自戒の意味も込めて常に心掛けるようにしたい。

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2020年05月24日

Posted by ブクログ

【人事こそ最強の経営戦略】

先輩から人事のことを体系的に学べる本として勧めていただいた本。

グローバル人事に関して体系的に学べたので、
人事初心者やグローバル人事に興味がある人におすすめ。

人事はほんと経営者のパートナーだし、
より組織(会社)が良くなるためにも人が重要。

人に関するエキスパートになる必要性を感じ、
企業の発展のために欠かせないグローバル化に対する取り組みが記載されてました。

印象的な箇所は以下の通り。
経営者×人事の知見、経験を身につけていこう。

余談やけど、
人事は理論的には分かることが多いけど、
実際に取り組む際に障害が多いなと思う日々です。



1.
成果につながる要因で大きいのは、
経験とモチベーション。
海外ではスキルよりも経験を問う。

2.
人事パーソンに求められる仕事
・育成を担う管理職やリーダーを支援する仕事
・組織全体を広く見渡して、問題解決を行うような仕事

3.
グローバル人事パーソンに求められる能力
・人の価値を客観的に見定める力
・本音を引き出す力
・組織の課題を見抜く力

4.
多様化そのものは目的ではなく、
多様化を事業に活かす戦略実行が目的。

5.
ノーレイティングという評価制度を海外企業が積極的に行うのは、2000年以降に大人になった優秀なミレニアム世代を囲い込ため。
この世代は、「個性や、この考えを大切にしたい」というニーズが強いと言われていて、一人ひとりをきちんと認め、より能力を高めることに寄与する人事施策が求められているから。

6.
研修は、何かを教える場というよりも、今、何を学ばなければならないかを本人に気づかせる場であり、何を学ぶかは本来個人によって異なります。

7.
組織開発とは、社員が理念、価値観、文化など形のないものへの共感を促す取り組みです。

8.
グローバル人事において対応しなければならないこと
・人材の多様化(多様な人材を活用し成果に結びつける)
・人材需給のグローバル化(海外を含めた人材ニーズの把握と供給)
・人材の流動化(主要な人材の退職などのリスク対応)

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2019年10月05日

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海外で事業展開をする企業の人事制度についての考え方をまとめた教科書的な本。

よくまとまっていて参考になる。手元に置いて参照したい。

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2019年04月19日

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人事こそ最強の経営戦略
2018/6/13 著:南 和気

事業のグローバル化を進めるための重要な差別化要素として価値を高めているのが「人」である。グローバル市場で企業の人材・組織を支える人事のグローバル化、すなわち「グローバル人事」がますます重要となっている。

人事のグローバル化に求められるのは、日本企業で行われてきた人事施策を「人材の多様化」「人材需給のグローバル化」「人材の流動化」という三つの変化に対応したものにいわば、バージョンアップしていく作業であり、なにか新しいことをゼロからスタートするといったことではない。「外国人だから」「海外子会社だから」という違いの前に同じ「人」を扱う仕事であり、「人材の価値を最大化する」という意味では、人事の仕事の本質はなにも変わらない。

本書の構成は以下の6章から成る。
①グローバル人事とはなにか
②人の価値を正しく測る
③人材配置を成功に導く戦略
④グローバル・リーダーをどのように育てるか
⑤自ら成長し変化する最強の組織づくり
⑥テクノロジーがもたらす未来の人事

書名である「人事こそ最強の経営戦略」、全くもってその通りである。ますます「人」の重要性については疑う余地はなく、長いスパンで経営を捉えた際には、「人」「人事」の考え方ひとつで企業のすべてが変わってしまうと言っても過言ではない。

本書では特にグローバル人事に焦点を当てて、著者の経験と知識から体系的に素晴らしくまとめられている。本書を読んで感じたことは、グローバル人事も旧来の日本型人事においてもやはり扱うのは「人」であり、それはこれからも変わることはない。

本質ではすべてがつながっており、グローバル人事の中にこそ、今、日本型人事の本質が隠れているようにも思う。

学びそれを活かすという視点においては、今の自分が行っている「人」関連の業務にも大きな気づきをもたらせてくれた。

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2018年07月16日

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グローバル人事、ひいてはメンバーシップ型からジョブ型への移行を検討するに際して礎となる本。欧米との雇用慣行の違い、その歴史から形成されてきた従業員のマインドの違い(特に異動の考え方など)が分かりやすく語られており、「経営の視点で人事戦略をつくる」重要性が分かる。

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2025年05月31日

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第1章

変化すべき観点
①成行人事から計画人事へ
②主観人事から客観人事へ
③密室人事から透明人事へ

やること
①事業計画に合わせた需給把握・要員計画
 ・部門別
 ・どんな人材をいつまでに何人どのように育成すべきか?

②計画的に育成する
 ・必要な時期に供給する
 ・サクセションプラン

組織開発、組織活性化
 ・価値観や理念の共有
 ・それぞれがリーダーとして能力発揮

第二章 人の価値観

◯人の価値=スキル✖️経験✖️モチベーション
 ・若手 モチベーションアップ、スキルアップ
 ・管理職または専門職 多様な経験→経営者へ

◯モチベーションアップ効果
 金銭<自己実現<社会的(上司・友人・家族など関係性)

第3章 配置

・活性化
・個人の経験を増やす
・not 玉突き人事

◯異動の効果を高める
本人の主体性を高め、成長意欲につなげる
①自己申告制度 本人の希望
②CDP
③社内公募

◯サクセションプラン

◯人材プール

第4章 計画人事

◯意図的に人材を育成する

・研修以上に経験
・目標設定 
 具体的、測定可能、達成可能、成果、期限
・ネガティブフィードバック
 ①傾聴・事実確認
 ②認知・期待の表明
 ③具体的な不足の確認
 ④今後の目標の明確化
 ✖️その場しのぎ
 ✖️他人との比較 
 ✖️不明確な根拠提示

・ノーレーティング;ABC評価をやめる。Qごとに会話して進捗を確認していく

・報酬制度の透明性→なにをどうすれば自分の報酬を上げていけるのか理解できる→長期雇用につながる


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2024年10月02日

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■(スキル)×(経験)×(モチベーション)=人材価値
■「属性」の人事から「個性」の人事へ
■問題を解決しようとする前に問題があることを周りと
 共有する。
【理想的組織】
組織に対して与えられたミッション、活動の方針や理念、価値観がきちんと共有されつつ、それぞれの人達が自らリーダーシップを発揮してそれぞれの分野を受け持ち、自ら考えて意思決定を行い、責任を持って進めていく。

こんなこと、なかなかできないから理想的といえば理想的。責任は上長が取るべきだから、責任感を持って、だろうな。
【変化に対する受容原則】
(否定)→(怒り)→(分析)→(受容努力)→(コミットメント)

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2024年01月30日

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ネタバレ

メモ

グローバル人事とは事業のグローバル化に伴う人材の多様化、人材需給のグローバル化、人材の流動化における人材の変化に対応をすること。

本の中では、グローバル人事の段階分けがあったが、筆者の言う通り日本企業の人事慣習が関係をしてインターナショナル人事などを目指すのは容易ではなさそう。ただ、日本人事が変えるべき計画人事、客観人事、透明人事の観点はまさにと思った。

評価制度について、人の価値はスキル×経験×モチベーションであるという話は興味深かった。新人はモチベ、中間管理はスキル、経営者は経験を重視。そのフェーズに合わせての育成やフォローが必要と納得した。

それらを①客観的に評価をし、②本音を引き出すことで適切なフォローをすること、③現場を外から見て組織の課題を見抜く力(ボトルネックを見つけ手当てをする※HRBPなど)ことが必要。


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2023年05月05日

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著者・南和気さんには、パナソニック時代に一度、大阪の自社までお越しいただいて、直接お話を聞く機会があった。末席だったので覚えていただいてはいないだろうが、議論が盛り上がって延長した上に、その日のうちに帰られるか何かで、タクシーもご一緒したような。。
たまたま、SAPを辞められて、江崎グリコへ人事執行役員として移られたと聞いて、どんな思想の方だったかなと、今更ながら手に取った本。
タイトル通り、日本型・グローバル人事の教科書。よくまとまっていると思う。今の会社は日本にしか拠点がないので残念。

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2021年04月18日

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本書のメッセージは、次のようなものでした。
"人事のための人事をしてはいけない、経営戦略の実現のための手段として「人、組織」を成長させるのが人事である"
そのために企業の成熟度や戦略に応じて、いくつかの考え方が示されており、グローバルで活躍している企業の簡単なCaseStudyも示されている。

経営に近い人事担当の方に読んでほしい良書でした。
しかしながら、あとがきにもあるとおり「経営戦略」を掲げない日本企業CEOの元では、人事の礎が不明瞭になるので難しいと気づくはずです。
CEOを如何に見つけ、選び、育てるのか?が日本企業の根本的な競争力源泉の強化になる気がしました。

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2020年04月18日

Posted by ブクログ

グローバル化に伴ってグローバル人事もと言われるものが必要になるけど、グローバル人事とは何か?
対応しなければならないこと
・人材の多様化(多様な人材を活用し成果に結び付ける)
・人材需給のグローバル化(海外を含めた人材ニーズの把握と供給)
・人材の流動化(主要な人材の退職などのリスク対応)

これらを進めるときの論理的オプションとしてどんなものがあるか?何から始めるか?が説明されている。

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2019年08月18日

Posted by ブクログ

経営に合わせて人事戦略を組み立てようという普通の話であるが、まとまっている。
グローバルな経営をするのであれば、客観性、年功序列より適材適所、密室ではなくオープンな人事が重要となる。また、10年くらいの時間軸となるため、中期長期経営計画には必須となる。
経営に合わせてモデルは吟味すべきである。事業部モデルは組織の重複、人事の固定化が難であるが、人を内外で育てるのであれば行き来は容易である。マトリックスは理想的だが、レポーティングラインと責任が複雑になってしまう。中途採用はコストがかかるので、新卒でいく日本式はうまくやればコストを抑制し、優秀な人材を確保できる方法としてグローバルでも通用する。

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2018年09月01日

Posted by ブクログ

5に近い4。グローバルと言いつつもそれ以外の企業にも通用するベーシックな考え方がまとめられている。かなり実用的

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2018年08月19日

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実務家の経験に基づく内容だけに、記載も具体的でわかりやすい。これが理論として、あまねく企業にフィットするとは思わないが、「我が社には向いていない」と言われることを恐れることなく、一例として非常に参考になる。

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2018年08月08日

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ネタバレ

人事のglobal化が進む中で企業がどのように人事戦略を立てるべきかということをまとめていふ。
海外人事を含めた場合に考えられる仕組みは3つ
①central 人事→本社から海外支社へ人を派遣
②multinational人事→現地に経営を任せる
③international人事→現地マーケットを優先し、国をまたいで人をassignする

それらを設定していくには人事は現在地点から将来の自社事業の状況を整理し、どんな人事施策を打つべきかが求められていく。

日本企業の多くがもつ人事の仕組みをどのように変えるべきかや、人材力とは何なのかまでまとめられている。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

Apple Microsoftの人事戦略の比較
 事業戦略をスムーズに実現できるよう、最適な人事戦略をいち早く取り入れて実行することの重要性を示す一例として、AppleとMicrosoftの事例を取り上げましょう。
 AppleはiOS 10というiPhoneの新しいOSを600人の開発者で2年間かけてつくりました。一方、Microsoft Windows Vistaという新しいOSを1万人の開発者で5年間かけてつくりました。
 単純な比較はできませんが、この二つのOS開発を比べると、やはりAppleのほうが生産性が高いといえるのではないかと思います。
 では、この違いはなぜ生まれたのでしょうか。
「Appleには優秀な人材が多くいるからではないか」と思われるかもしれませんが、AppleやGoogleなどの先進IT企業に優秀社員がいる率は15%、アメリカの平均的な企業では15%ということで、普通の企業とそれほど大きくは変わらないとの調査結果もあります。
 実はAppleでは、この600人に対して2年間、「個人」の目標を持たせることをしませんでした。iOS 100を開発するという、「チーム」の目標だけを持たせて、全員で共通の目標を追いかけさせたというわけです。すると、全員が協力しあって、とにかくiOS 10を開発するということに向かって仕事し、自分の仕事が終わったら、他の人の仕事を手伝うということが自然に発生するようになりました。
 一方、Microsoftでは、1万人の開発者が、従来どおり個人の目標を持って開発を行いました。すると、当然ながら、自分の担当分が終わった社員は、他の開発者の担当分は関係ないので手伝うことありませんでした。これは、両社における個人の能力や仕事の質の差というよりも、人事戦略の違いによって生まれた差といえます。
 Appleは、事業戦略をもとに「この期間でこの製品を開発しなければならない。開発要員として最適な人材を選び、その人たちに一番活躍してもらうために、どのような評価制度をつくって、どう動かしていこうか」と考えて実行したわけです。
 人事が経営戦略と連動することによって、生産性を高め、事業推進に貢献できるということを示す好例のように思います。


実際に、「スキル」「経験」「モチベーション」を測るには、「スキル」は知識や技術のレベル、「経験」は判断力や予測力、「モチベーション」は仕事に対して主体的に取り組んでいるか、チームワークができるかどうか、といったところで見ることができます。
 例えば、顧客からの値引き交渉に応じるのか否かの判断は、顧客との過去の関係、直近の取引、今回の商談の背景など、様々な状況判断から瞬時に行わなければなりません。この判断の正しさは、「スキル」や「知識」ではなく、同じような場面における「経験」がものをいいます。
 また、モチベーションが落ちていると、「新しいことに積極的に挑戦してみよう」「チームや仲間に持っている情報を共有しよう」という意識は極端に下がる傾向にあります。


人材価値を成果に結びつける:マクドナルドとスターバックスの比較
 人材価値をどうやって事業の成果に結びつけていくのか、ということを考えるうえで参考になるのが、マクドナルドとスターバックスコーヒーによる店舗スタッフのマネジメント事例です。
 マクドナルドはあらゆる業務について徹底した効率化を進めています。様々な店舗業務の手順に関して細かくマニュアルを作成することによって、新しいスタッフが来ても短期間で業務を覚えることができたり、先輩スタッフが教える作業を短縮することができたり、スタッフによる対応の差が出にくくなったりします。人材不足で優れた人材を確保できない場合も、教育にそれほど時間やコストを費やさずに、店舗を回していける仕組みであり、人件費の削減効果も期待できます。ただ、どの店舗でも同じようなオペレーションができる半面、店舗ごとの差別化はせず、画一的なサービスとなります。
 一方、スターバックスコーヒーでは、業務マニュアルのようなものを設けていません。コーヒーを淹れるスキルについては個人に対して資格制度を設けていますが、店舗のオペレーションは全部店長に任されています。店長はスタッフとともに独自の店づくりができるので、様々な経験が蓄積され、店長やスタッフのモチベーションは高まります。ただ、効率最優先ではない分、人材育成にも時間がかかるなど、それなりにコストはかかります。
 マクドナルドは、誰でも一定のスキルを得ることができるようにオペレーションを効率化しマニュアルを工夫することで、成果を出そうという考え方であるのに対し、スターバックスコーヒーは、資格制度によってベースのスキルアップをしながら、店舗ごとに裁量を持たせることで経験の蓄積やモチベーションアップを促し、人材の価値を高めることで成果を出そうという考え方です。スターバックスコーヒーがテレビCMを行うことなく、これほど日本でのブランド定着を成功させることができたのは、店舗での顧客体験に着目し、サービスを提供する人材の価値を高めることに徹した結果だといえます。
 人材の価値についてどう考えるかは、それぞれの事業の方向性によって異なります。
 マクドナルドは、スキルを素早く均質化することに力を入れ、経験やモチベーションの不足やバラつきをカバーすることで、コストパフォーマンスの高いサービスを提供していくことを目指しています。
 一方、スターバックスコーヒーは、経験やモチベーションに注目し、育成コストはかかっても、より高付加価値のサービスを提供して差別化することを目指した事業モデルです。
どちらの方法も、成果を高めることを目的にしているわけですが、正反対の手法をとっているということがわかると思います。


効率性VS多様性の議論
●多様性は議論を複雑にするため、意思決定のプロセスにより多くの労力が必要となる。均質性のなかで効率を求める仕事においてはメリットが小さい。
●変化の加速、顧客の多様化、競争環境の複雑化に対応し、新しい発想を生み出していくためには多様な視点からの意見を取り入れることが企業の競争力に直結する。
●効率性を軽視することはできないが、イノベーションや顧客への価値創造を継続するためには異なるバックグラウンドをもつ人々によるコミュニケーションが欠かせない。
IMD教授マーサ・マゼヌフスキ Diversity can improve performance : HBR (2013年9月号)

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2024年12月14日

Posted by ブクログ

人の成長における7:2:1の法則は腑に落ちるところがあった。人事や組織開発について書かれているが、自分を成長させたいときに読むと良いかもしれない。

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

グローバル企業のように、働く人の数や場所に物理的な壁があると、タレントマネジメントをせざるを得なくなる。人の顔と名前が一致する範囲の企業とは、どれだけ差があるのか。

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2022年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この間に続いて人事ものです。
あれ、こないだの本にも書いてあったことが。。。
リーダー育成に必要なことを全部で10とすると、
仕事の経験…7
上司や顧客からの学び…2
研修や書籍での学び…1
なのに、日本の会社はすぐにリーダー研修をやりたがる。むむ。激しく同意。
どういう経験を積ませて経営層まで持って行くかが大事、と。
あと、印象に残ったのは。。。
日本で●人抜きで社長に昇格は海外ではあり得ない。経営の経験が無い人を抜擢するのはとんでもないリスクだから。ふむふむ、なるほど。納得です。
ちなみに、●人抜きとなるのは、
社長の下の役員がずーっと変わらずにみんな年取っていって、いざ社長が引退するとなったときにはみんな年寄りになってるからだと。これも見覚えがある光景。。
仮に55歳の社長をつくろうとすると、
40代前半で部長
40代後半で本部長、役員
50歳ころに取締役
になってないと十分な経験を積めないのではないかといってます。当たり前ですけど、これも納得。
どれもこれも納得の内容ですが、企業の中では上手く進められないのは何故なのでしょうか。何かが邪魔しているんですね、きっと。

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2020年05月16日

Posted by ブクログ

GE
9ブロック 業績とバリューでの評価
セッションC 必要人材と今のギャップをどう埋めるかセッション

スタバ
意欲、能力、エンゲージで評価

ノーレイティング
ランク付けをやめる。ベルカーブによる相対評価ではAよりのBや、となりの部署ならAなど出てしまう。もっと細かく各自の仕事成果を記録として残して評価する仕組み。
どのような目標をどれくらい達成できてるか
どのような成果をあげているか
将来のキャリアに対してどんな考えか

7対2対1の法則
育成で7割は仕事のけいけん、2割は上司や顧客からの学び、1割は研修書籍での学習

研修は何かを教える場ではなく、何を学ばなければいけないか気づかせる場

本人の学ぶ意欲、学ぶ内容、学びを使えるタイミング、の3つがどれだけ意識されているか

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

日系企業が真のグローバル企業になるために、いかに人事が大事であるのか?
現在の社内外の要因から説明している内容。
やはり人は勝手に育つものではなく、育てるもの。
それもグローバル化を念頭に置いた上で、戦略的に育てる必要があるのか?
本書を読むことで痛切に感じる。
自社に置き換えてここまでできているのか?と色々と考えさせられる。

会社の事業ステージ・またどうありたいのか?で、目指す方向は当然変わるが、
本書に書かれたポイントは極めて重要であり、仕事にも生かしていきたいと思う。

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2018年07月28日

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