あらすじ
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
・最高だった!
ホモソーシャルを描く作品の中でも、かなり好きな描かれ方だったような感じがする!
主人公が飾磨に彼女に振られたことを伝えた時の、「幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を一つ産み出した。その分は勿論、俺が頂く。」というセリフは今まで読んだ小説の中でもかなり好きな方かもしれない。
ホモソーシャルの紐帯はあくまで競争を前提にしていて、たがいを気遣いつつも戦友なのだ。親友というよりは戦友。
・飾磨は登場シーンからよかった。「二十歳の自分」を書いて粘土に埋め、後から掘り起こす“夢玉”ってなんだよ、タイムカプセルじゃダメなのかよ。と思うし、その後の「夢なくしちまったよ、俺」も最高。
・妄想的債鬼:湯島←何これ
・p.91「ここでゴキブリキューブの登場である。」←こんなワクワクする章の書き出しがあるか?
・水尾さんの描写はそんなに多くないけど、確実に魅力的な女性なのがわかるのがよかった。「これで私も雀を食べた女ですね」とか気に入らないプレゼントにしっかりもの言う感じとか、上級生の変なやつにも対等に話しかける感じとか、正直オタクは全員好きになってしまうタイプの女の子だと思う。あえてヒロインとして神聖視するつもりはない、こういう女は怖いから…
・遠藤も意味分からんウジウジさでよかったな、主人公含む男汁四人衆が他から隔絶されているが、遠藤も間違いなくそちら側の素養があると思う。映画を通して欲望を昇華している感じもする。
・水尾さんと付き合うまでの物語ではなく、別れてからの物語なのが、とても良かったと思いました。
・すごくユーモラスで情景描写の上手い青春小説なんだけど、水尾さんの夢のくだりとかはそこに留まらない説明不能な魅力を放っていた………………
・よかった!
しかしまあ高校生の時に読んでおきたかった〜最近そういう小説によく出会う。
Posted by ブクログ
森見さんの作品は最初全然わからなくて、遠ざけてたんだけど、四畳半を読んで、その文章、世界観にはまってしまいました。
太陽の塔は、初期の作品ということですが、この世界が楽しくて一気に読みました。
叡山鉄道に乗って、彼女の夢の中に入る そこで
青々と繁る木々の向こうに太陽の塔が立っていた
宇宙遺産に指定されるべきだと彼女は語る
ラストのクリスマス、ええじゃないかの大合唱、最高でした
Posted by ブクログ
四畳半神話体系の前身になった話と聞いて購入。
超絶難しく超しょうもないこと言ってる感じ大好き。
彼女の話が回想でも全然出ないから、なんで付き合ったのか、何で別れたのか辺りが謎ではあった。
でも、森見先生の書く、陰気で、自分が1番頭いいと勘違いしているアホな大学生たち大好き。
面白い。
全編通してホモソーシャルな話ではあるんだけど、嫌な感じはしない、何でだろう。
Posted by ブクログ
★★★★☆面白かった。何でもないような出来事が独特の言い回しによって壮大に語られ、アホちゃうかとこちらもブツブツいいながら口元は笑ってしまうような本でした。世にも恐ろしいゴキブリキューブ、幻の猫ラーメン、太陽電池で半永久的に動く招き猫などなど。
Posted by ブクログ
読み始め→言ってることが面白い
少し後→自信満々に聞こえて耳障りになる
中間あたり→言葉や語り口調は保身?と感じる
それからかなり後→切なく聞こえてきた
ゴキブリキューブに騙された時は、冗談でしょう?と
思ったほど間抜けで驚いたけど、悪い人じゃないんだ
ろうと思った。
個性的な同級生や先輩の話をするときに自信のなさも
窺えて、最初に抱いていたフラれたことに納得がいか
ないストーカーという印象が完全になくなっていた。
遠藤のことを応援したり…最後は切ない感情が湧いた。
でも、太陽の塔に関しては共感も理解もできなかった。
招き猫は完全にアウトだわ。
Posted by ブクログ
内容はいつもの非モテ京大生のホモソ呪詛が多めなんだけれど、さすがの文才でテンポよくするする読めてしまう。
最後あたり、ようやく主人公が本音を出してくれて夢か現かじんわりとした光景で幕を閉じるのは幻想的だった。