あらすじ
なぜ、日本は堕ちていったのか?
『永続敗戦論』『国体論』の著者が、平成の転換点をあぶり出す。
100頁以上の新章をはじめ、新たな論考を多数収録した増補決定版!
なぜ、日本は堕ちていったのか? 昭和に続き、「平成」が終わる。
この間、戦後政治は“冷戦後”の世界に対峙せず、戦後レジーム=永続敗戦レジームの変更ではなく強化、
さらには現実からの逃走に耽り、そして砂上の楼閣と化した。
国民益はもとより国益とも無縁な政治が横行することとなった平成。
その転換点はいつ、どこにあったのかを気鋭の政治学者があぶり出す論考集。
100頁以上の新たな論考を収録した増補決定版!
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Posted by ブクログ
本書は1977年生で、レーニンを専攻する気鋭の政治哲学者である白井聡氏が『週刊金曜日』などに掲載したものや、書き下ろしの論考を一冊にまとめたものです。白井氏が提唱する「永続敗戦レジーム」の発展形です。
本書は1977年生で、レーニンを専攻する気鋭の政治哲学者である白井聡氏が雑誌『週刊金曜日』に発表した時事評論を中心に、あらたに書き下ろした論考や白井氏が世に出るきっかけとなった、『永続敗戦論』(太田出版)で受賞した石橋湛山賞を受賞した際の記念講演を書き起しなども収録されており、白井氏が提言する「永続敗戦レジーム」の発展形といった内容に仕上がっております。
僕は白井氏の書いたものにはほぼ全て目を通しておりますので(学術論文が基になっている『未完のレーニン 〈力〉の思想を読む (講談社選書メチエ)』(講談社)や『「物質」の蜂起を目指して――レーニン、「力」の思想』(作品者)に至るまで)白井氏の主義主張の「根幹」は一応「理解」しているつもりであり、本書の中でも
「「戦後」の断末魔=安倍政権を歴史の屑籠に叩き込め!」
「永続敗戦レジーム」という構造を用いて歴史的、社会的、精神的に舌鋒鋭く批判を加えております。
本書を読んでつくづく思ったことは、「言論空間」におけるネットの影響の大きさで、本書の中でもネットの中で取りざたされている事象―ヘイトスピーチから(僕は本書を読むまで一切関心がなかった)「ラッスンゴレライ」の話まで…。
読み勧めていくとネットが世の中に普及する「前」と「後」がこれだけ如実にわかる本も類を見ないのではあるまいかと。そんな事を考えておりました。
そして、白井氏の鋭い舌鋒は安倍政権のみならず、一般国民にも向けられるも、沖縄知事選での翁長氏の勝利。2015年に学生団体「SEALDs」を中心に国会議事堂前で展開された安保法制反対デモに一縷の希望を見出しているようです。これからも白井氏のラディカルな論考に期待しております。
※追記
本書は2018年5月25日、KADOKAWAより100頁以上の新章を加えた増補決定版で『増補 「戦後」の墓碑銘 (角川ソフィア文庫)』として文庫化されました。