あらすじ
差別はどこから生まれてくるのだろうか? ヨーロッパにも職業差別・身分差別は存在したのだろうか? 本書は、『ハーメルンの笛吹き男』で西洋中世の被差別民の存在に初めて光をあてた著者が、賎視と身分差別の問題に正面から取り組んだ、阿部史学の代表的著作である。西洋中世において、キリスト教の浸透による時空観念の一元化と死生観の転換によって、畏怖の対象であった職業を賎視するようになる過程を考察する。「ヨーロッパ中世賎民成立論」のほか「ヨーロッパ・原点への旅」「死者の社会史」等も収め、“小宇宙”と“大宇宙”をキーワードに西洋中世の人々の心的構造の核に迫る。
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Posted by ブクログ
中世の人々と我々とでは、宇宙観(この世界に対する理解)が全く違うことが分かり、非常に興味深く読んだ。この本では主に、空間・時間・死・大宇宙と小宇宙について、取り上げられている。学ぶことが非常に多い本だが、それでも、機械で均質に切り取った時間や物理的な基準をもとに測った空間の中で生きている身には、当時の人々の考え方が分からないことが多々あった。理解できなくても、こういう違いがあったと知ること自体が重要ということだろうか。