【感想・ネタバレ】ギロチンハウス ~課長 榊江梨子の逆襲~のレビュー

あらすじ

リストラ社員が会社の闇を暴く痛快ミステリ。

精密機器会社・京都クルミ製作所の「セカンドキャリア戦略室」。その実態はリストラ小屋、通称「ギロチンハウス」。突然そこに異動となった経営企画部第二課課長・榊江梨子・42歳、営業一課課長代理・下島裕二・52歳、総務部五係係長・勝見亮・30歳の3人。納得がいかない3人がその直後に起こったある事件を調べていくと、徐々に会社の闇が明らかに。社内不倫、不正経理、派閥争い、盗聴、裏切り・・・。崖っぷち社員たちの人生をかけた闘いが始まった。第69回日本推理作家協会賞短編部門受賞後、著者が初めて書き下ろした痛快リベンジ・ミステリ小説。

──ギロチンハウス。
(中略)あそこに押し込められた社員は、ときが経つにつれて、目は虚ろに、動きは緩慢になり、やがて生きる屍のようになっていく。
──私があそこに……?
全身から血の気が引いた。
しかしすぐに、いくらなんでも──、と思い直した。
──これまで、社内の誰にも文句を言わせないぐらいの実績を上げてきた。こんなことぐらいでリストラなどされるはずがない。
「冗談じゃない」
こみ上げる怒りを抑えるために、江梨子は、両手の拳を固く握りしめた。
(プロローグより)

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Posted by ブクログ

 精密機器会社・京都クルミ製作所経営企画部第二課課長の榊江梨子は、理不尽な理由から突然異動を言い渡された。
 異動先は「セカンドキャリア戦略室」。聞こえはいいが通称「ギロチンハウス」と呼ばれるプレハブ小屋で、リストラ対象社員を自主退職に追い込むためだけに作られた部署だった。
 納得できない江梨子は、社内でめぐらされる陰謀と対峙する決心をするが……。

 京都を舞台に繰り広げられる痛快リベンジサスペンスミステリー。
          ◇
 その瞬間、会議室内が凍りついたように静まり返った。経営企画会議の出席者全員の目が、スクリーンを見つめたまま動かない。

 出席者の反応を不審に思った江梨子は、プレゼンを中断しスクリーンを振り返って驚いた。そこに映されていたのは説明中の円グラフではなく、生ビール片手に料理に箸を伸ばす江梨子を正面から捉えた姿だったからだ。

 昨日 USBメモリを確認したときには、あんな画像は入っていなかった。ということは、今日の会議前に江梨子が席を外したときを狙って、誰かが USBメモリをすり替えたのに違いない。

 だが、この場でそれを言い立てたところでどうにもならない。屈辱に耐えつつ江梨子は態勢を立て直し、「失礼いたしました」とポーカーフェイスで頭を下げると、プレゼンを続けたのだった。 (「プロローグ」) ※全4章と、プロローグ及びエピローグからなる。

      * * * * *

 不当な理由でリストラ対象となった人物やリストラ部屋を舞台にした作品は数多くありますが、痛快さで言えば本作はかなり上級の部類に入るのではないでしょうか。
 例えば『半沢直樹』シリーズも痛快ではありますが、深刻なシーンや胃が痛くなるような辛い局面を経なければいけません。
 その点、本作はそこまでの重圧を感じずに済む。サクサク読める。小心者の私にはほっとできる作品でした。


 まずは物語について、簡単に紹介しておきます。
 
 主人公は榊江梨子という女性で、42歳にして経営企画部第二課課長職に就いています。
 元は東京支社にいた江梨子は、女性の執行役員だった立浪麗子の肝煎りで京都本社の課長へと抜擢されました。この人事は、公正で風通しのよい社風を目指す、当時の社長の方針に沿ったものでもあったのです。

 ところが創業者一族と派閥好きなヒヒ親父どもの裏工作で、社長と麗子が失脚。孤立無援状態に陥った江梨子は、(特に年配の) 男性社員たちから目の敵にされ出します。冒頭の会議でのトラブルは、露骨な嫌がらせが原因でした。
 このトラブルは江梨子の人望のなさから来る失態であるという理不尽なこじつけで、江梨子は部長の吉田から「ギロチンハウス」行きを命じられてしまいました。

 それでも、もともと負けず嫌いでパワフルな江梨子は、自分をハメた勢力へのリベンジを決意。まずは敵を特定すべく、社内の情勢を探ることにします。
 ただ、いかに頭の回転が速く行動力のある江梨子でも、1人で事態を打開できるものではありません。そこで必要になってくるのが援軍というわけです。

 江梨子は、時を同じくして理不尽な理由でギロチンハウスに左遷された2人の男性社員と手を組みます。その2人とは、営業一課課長代理で52歳の下島裕二と、総務部五係係長で30歳の勝見亮です。
 下島は小心者で人のよさだけが取り柄の人間で、社内だけでなく妻や娘にまで軽く見られているという、少し頼りない人物です。
 一方の勝見は30歳で係長になった男で、イケメンであり人の気を逸らさないコミュ力も持っていて、 (特に年上の) 女性社員から人気があります。
 この2人が江梨子のリベンジ計画の実行部隊として活躍するさまが、見せ場のひとつになっています。

 江梨子はさらに、2人の強力な人間を味方につけることに成功。クーデター決行に向けて計画は着々と進んでいきます。この過程でハラハラさせられる仕掛けが2つほどあるとは言え、展開はかなりスムーズです。でもこのテンポのよさが本作のウリの1つになっています。

 と言っても、決して軽いばかりの作品ではありません。横領あり、粉飾ありの陰謀渦巻く社内。それに加えて殺人未遂あり、偽装殺人ありと、なかなかハードなサスペンス要素もあって十分に楽しめる内容です。
 お正月疲れを癒やすにはピッタリの作品だと思います。

 また、京都が舞台とあって、京都好きの人に馴染みのある地名がちらほら出てくるのもうれしい!

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

精密機器会社・京都クルミ製作所の「セカンドキャリア戦略室」。
その実態はリストラ小屋、通称「ギロチンハウス」。
突然そこに異動となった経営企画部第二課課長・榊江梨子・42歳、営業一課課長代理・下島裕二・52歳、総務部五係係長・勝見亮・30歳の3人。
納得がいかない3人がその直後に起こったある事件を調べていくと、徐々に会社の闇が明らかに。
社内不倫、不正経理、派閥争い、盗聴、裏切り・・・。
崖っぷち社員たちの人生をかけた闘いが始まった。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

この人の本はどれも面白いのに、なぜ今一つ人気がないのかがさっぱりわからない。(デビュー後、本が売れないために一度廃業したというようなことを聞いたので)
何かきっかけがあれば絶対ブレイクすると思う。

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2018年05月17日

Posted by ブクログ

まず、タイトルがすごい。
内容は一言でいえば痛快。水戸黄門とか大岡越前とか「悪者は懲らしめないと」的な部分にも通じるものがあります。
著者の大石直紀さんはテレビや映画のノベライズも手掛けられているようで、構成の仕方やストーリー展開のうまさも納得。そのままドラマ化できそうです。

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2018年07月21日

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