あらすじ
日本植物学の父と呼ばれた牧野富太郎。花と植物の魅力の真髄を語った表題作、「私は植物の愛人」と軽口を飛ばしつつ研究人生を振り返る「植物と心中する男」などを精選。
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Posted by ブクログ
牧野富太郎(1852~1957)は、日本で最も著名と言っていいほどの植物学者です。牧野さんによる「牧野日本植物図鑑」などは、現在も植物の学習をする人にとっては、必要不可欠なものです。数多くの日本の植物を分類しまとめあげた方が書かれた、植物についてのエッセイを、再構成し一冊にまとめたものです。
小学校を中退したあと、学歴と言えるものがないまま、独学で植物の研究に没頭した方です。
その植物偏愛が激しく、この本の「植物と心中する男」では「私は植物の愛人としてこの世に生まれきたように感じます」とまで書かれています。
その牧野さんならではの観察眼と植物愛に溢れる文章で、様々な植物について書かれています。牧野さんが書かれた文章をそのまま本にしているので、古典的な響きのある文章で、馴染むとなんとも味わい深いです。
基本的な植物の用語を知っていると読みやすいように思いますが、巻末の注を見ながらでも読めます。
植物について詳細に書かれていますので、必要なときには植物図鑑を見るといいでしょう。
Posted by ブクログ
とても読みやすかった。研究に没頭しすぎて、貧乏な生活を送っていても研究を続ける一生懸命さに感動した。
また、一番面白かったところは、奇跡の蘇りのところで、あり得ないなぁと思いました。(爆笑
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牧野富太郎氏の書かれたエッセイをまとめられた本。
全編を通して彼の植物に対する知識と愛が溢れた一冊。
お恥ずかしながらあまり植物に詳しくないため本編に知らない名前の植物が出る度にネットで調べながら読んだのですが、普段道端に生えているのを何気なく見ていた植物だったりして、自分がいかに植物に対して無関心だったのかを思い知らされました。
雑草という草はないとはまさにですね。
最後に牧野富太郎氏の植物愛が全開だった文章を一部引用させていただきます。
気になった方は是非ご一読してみてください。
『面白いことは植物は人間が居なくても少しも構わずに生活するが人間は植物がなくては 生活のできぬことである、そうすると植物と人間とを比べると人間の方が植物より弱虫である といえよう。
つまり人間は植物に向こうてオジギをせねばならぬ立場にある。』
『人間は 植物を神様だと尊崇し礼拝しそれに感謝の真心を捧ぐべきである。』
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楽しい本でした。牧野先生の情熱が熱く伝わります。人生をかけて植物を愛した人。好きなことが仕事になると苦も苦では無い。奥様や周りの人に愛されお幸せな人生だったと思います。もちろん素晴らしい功績を残されました。星一つ減は当時普通だった表現が、現代では差別的表現と捉えられるからです。私は笑いましたけど不快な人もいると思うので。
Posted by ブクログ
ちょっと失礼な言い方をすると植物ヲタクの暴走エッセイ(笑)
牧野先生は、本当に植物が好きだったんですね
甲南大学の田中先生の本を読んだ時も思ったけど
愛情あふれた文章を読んでいるとこちらも笑顔になっちゃいます
Posted by ブクログ
かの有名な植物学者。
植物への好奇心は言わずもがな、「もう一度大地震に会いたい」とか「富士山大爆発を見たい」と書かれていて度肝を抜かれた。
彼にとって一回目の大地震、つまり関東大震災では「どんな具合に揺れるかしらんとそれを味わいつつ坐っていて」「それをさほど覚えて居ないのがとても残念でたまらない」と書いていた。
地震ですら味わう男。そんなふうに自然をおもしろがる姿勢を垣間見ることができた。
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随所に草花を擬人化していて、好きが溢れていた。
ここまで迷いなく好きを貫けるってうらやましい。普段見慣れている花たちの不思議が知れて面白かった。
Posted by ブクログ
尊敬をもって言うのだが、専門家というのは究極のオタクなのかと感じた。この牧野富太郎という大先生が植物について溢れる知識を溢れさせながら書いている。植物だけでも膨大な知識なのに、それに関連する句や社会背景、国ごとの違いなど、どれだけの事を知っているのだろう。花を観察し、それを絵に写し取り、調べ分類し•••途方もない。それでもあえて“オタク”と表現したのは、本当に楽しそうに聞こえるからだ。植物を愛していると感じるから。蜂が入りやすくなってるからこの花びらの形なのだ、なんて話をずっと聞いていたい。
Posted by ブクログ
結構好きな植物学者、牧野先生のエッセイをまとめた本。
原文は戦前に書かれたもので、専門的な言い回しも多いので、読みやすいとは言えない文体。それでも、植物に対する偏愛っぷりはよくわかる。
Posted by ブクログ
植物についての数々の話はとても興味深く、面白い。
古典の引用が多数認められることからも、その教養の深さが伺われる。
この時代、理系も文系もないのだ。
それは総じて学問であり、探求だったのだなあ。
しかし、どうも文体がくどい。
どの文章も高齢になってからのものであるせいかもしれないが、やはり、変人気質が見え隠れしている気がした。
なかなかのくせもの、南方熊楠に通じるものを感じた。
Posted by ブクログ
植物愛が苛烈。それも幼少期から94歳までとは凄まじい絶倫ですね。愛護とか愛玩じゃなくて愛そのものなのでもはや理不尽ですらあるけど、なぜか語り口には愛嬌も感じるんだよなあ。