【感想・ネタバレ】光の犬のレビュー

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<poka>
歩が亡くなることはかなり最初ほのほうで示唆されていたが、亡くなる場面以降、冷静に読み進められなくなってしまった。落ち着いてから気を取り直して読み終えました。

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2023年02月26日

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文体がさほど難しいわけではなく読みやすいのだけれど、物語が一つの家族の何世代に渡った時代のエピソードをちりばめながら進んでいくので、サーと読み流すことができず、じっくりゆっくり読み進んでいきました。ここまで作者によって計算された事なのでしょうね。久しぶりに読み応えがある本、しっかりと満足感のある本です。

血族、親戚、家族間の複雑で細かいリアルな心理描写、作中に現れる様々な死の描写が、リアルで他人事ではなく、身につまされるというか、こんな家族が今現代の日本中のあちこちにありふれていて、日本の今の家族のリアルを突きつけ、嗤われているようで、ただ現実をしっかり客観的に俯瞰的にみさせてくれる、そんな助けにもなったような気がします。

ただ時代はどんどん進んでいき、近い将来にこの本も、昔の家族の在り方を教えてくれる貴重な資料の一つになるんだろうなぁと思いました。

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2020年05月22日

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小説を読んだ充実感が得られた。
好きな感じの小説だなととてものんびり読み進めていたが、歩の病気以降、一気に読んだ。
歩の死がとても悲しかった。一惟との関係は美しかった。あり得ないような、割とあるかもしれないような。
充実した生を、一緒に生きてるような感じで読んでたのが、こんなところで終わるのかい、えーあんまりだーととり残された感じがした。
眞二郎と三姉妹の老後の生活は身につまされた。
眞二郎の最期も辛かった。一般的な死に方などないとは思うが、現代の老人の死に至る過程は多くの場合こんな感じなんだろうなと思えた。
みんな生まれて死んでいく。
幸せな読書の時間が過ごせた。

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2018年04月16日

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読み始めるといつも脳裏に映像が浮かんだ。
キャストは不明だが、画面の中で静かに登場人物が動き始める。
ときに言葉でなければ表現できない「風景」にも出会うのは、文学の醍醐味。
まるで一人の一生を書いた長い文章がハサミで切られたように分断され、他の人物のそれと無作為ににつなげたように思える構成。しばらく読まないと誰のことかわからないこともあった。
章の中に描かれた人物と、次の章の人物との関係を意図的に断っているとしか思えないくらい、時間も、時代も、場所も途切れたまま語られる。しかし、家族であっても、時間や距離をおいて暮らせばそのように過ぎているのだろうと思うと、この構成を巧みと感じる。
歩は北海道犬を愛し、異性からも好かれ、自分の師と思える人ととも出会え、望んだ職業にもつく。しかし、自分は結婚しないし、両親の面倒も見られないだろうという。

それぞれが死に至るリアルさが、胸にこんなにも迫ってくる。登場人物たちはそれぞれが消失点に向かって「一生」をかたちづくる。最後の消失点を背負っているのは自分だ、と始自身思うのだが、それとて最後が自分とは限らないと思い直す。
もう一度読み返したい。難解な意図がもう少しほどけるかもしれない。

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2018年03月22日

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松家さんの火山のふもとで、沈むフランシスにつぐ3作目
前2作ともとても好きなので、だいぶ前に購入していたのだけど
静かに、落ち着いて読む気持ちになかなかなれず
5日頃からやっと読み始めて、少しずつ読み続け、幸せな時間を過ごした
ハッピーエンドとか、推理小説とか、全然そういうことはなく
淡々と家族それぞれの視線でそれぞれの人生を書いてあるのだけど
たくさんのことを考え、感じる小説だった
変わった旅をした気持ちにもなったな

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2018年01月19日

Posted by ブクログ

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北海道東部の架空の町枝留(えだる)。そこに根付いた添島家親子孫三代の、明治期から現在にいたるまでのそれぞれの人生の断片を描き出す物語。

章の途中でも語りの目線が変わったり、時代も行きつ戻りつで慣れるまでなかなか大変だった。大きな事件が起こるでもなく、貫くテーマがあるわけでもない。
でも、結局人生ってこんな何気ない毎日の積み重ねなんだと人生50年も過ぎた今だからこそ、実感をもってわかるのかもしれない。
急がず、じっくりこの物語の世界に身を置いて、大切に惜しむように読んでいった。ところどころに現れる、人生の真実を言い当てるような言葉に心を震わせながら、光の中で、闇の中で添島家の一員になったような気持ちで読み進んだ。
特に、始の姉の歩が愛おしくてたまらなかった。
歩の生き方、愛、無念を思うとき涙が出そうになる。
そうして全てを読み終わったとき、こみあげてくる得も言われぬ感動に言葉もなく、レビューさえ書けず、そっと表紙を眺めてため息をついた。

あ~私はこの作家が好きだ。「火山のふもとで」に続いて良作を読ませてもらった。

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2017年12月15日

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三代に渡る添島家の家族、そしてその周辺の人々の話。話の視点が複雑に入れ替わり、時間軸もあっちへ行ったりこっちへ行ったりでこちらも探りさぐりの読書を強いられる(そういう効果を意識してのことだろうが…)。
関係者を含め、みんな性格は違えどもどこか心の底で醒めているような節があり、お互いに踏み込んで関係を維持しようとか、変えていこうとはしない。そんな添島家はいつしか子供が途絶え、全員が老いてゆっくり欠けていくことになる。初老ながら一番若い始は一族の「消失点」を意識しながら田舎へ帰り、一人一人が自我を失い死んでいくのを看取る役割を引き受けるのだ。

いつもながら文章は非常にきれいで、文章がたんたんと進んでいく中にはっとするような表現がたくさんある。だけど登場人物たちの希薄な関係にともなう空虚さ、病気や老いの重苦しさが小説全体を覆っていて読んでいる私のほうも窒息しそうになってしまう。そしてその行き場がどこにもないまま終わる。
この人の小説の家族や恋人って常に関係が冷めきっているように思う。惹かれ合う段階の恋人でも、なんだか明日になれば別れていても不思議でないような雰囲気がある。最後の方にはその不安感が主人公のつかみ取る観念のようなものによって昇華し、吹き上がって抜けていく美しさを感じるんだけど、今回は重たさはあってもそういった昇華の実感がなかったような…。同じように一族を書いた話に角田光代のツリーハウスがあったけど、私はそちらの方が凄みを感じて好きかも。

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2021年11月18日

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