あらすじ
2018年の全人代において、中国国家主席の任期である「2期10年」が撤廃される。
その意味について、彼の国にいま「新しい皇帝」が誕生しようとしている、と石氏はいう。
なぜ21世紀に入り、世界が民主化へ向かっているにもかかわらず、中国は「皇帝政治」に戻るのか?
始皇帝の時代から近現代史までを一気に通観しながら、つねに「皇帝」という存在を求める中国の社会通念と、そこから生まれる歴史の「法則」を明らかにしつつ、「新しい皇帝政治」が日本と東アジアに与える強烈なインパクトを読み解く。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
中国が民主化できない理由や習近平がこれからどのようなことを狙っているのかを、中国の古来からの近代までの歴代王朝が行ってきた皇帝政治を理解し、分析することで解き明かしていくとても興味深い一冊です。本書により、中国の王朝の歴史や皇帝政治の本質を学ぶことができ、とても為になりました。
Posted by ブクログ
中国出身で日本に帰化した中国問題の評論家として活動する著者が、習近平体制における強力な中央集権化を支えるメカニズムが、中華思想に基づく強い皇帝への期待心にあるということを、中国の歴史を紐解きながら解説する論考。
始皇帝以来、中国の戦乱の歴史は、強固な皇帝の中央集権体制により政治の安定性を確立することと、皇帝のような指導者が道を踏み外した際のリスクを、どうバランスを取るかに苦心した点にあることを指摘した上で、未だ人々の心には強い皇帝を求める民心があることを著者は指摘する。中国共産党が政権を取ってから、皇帝たる権力基盤を確立した毛沢東及び鄧小平に比べて、確たる政治実績を持たない習近平が次代の皇帝たる中央集権化を確立できたのは彼がそれを望んだ、というよりも、そうした民心が、彼を次代の皇帝に駆り立てた、というのが本書の骨子である。
その上で、毛沢東のような国家統一も、部分的な市場主義経済の導入による鄧小平のような経済成長も、いずれも期待できない現代において、鄧小平が皇帝たる実績を作るには、中華思想の元で世界の覇権を取ることしか道は残されていないということが、近年の中国の膨張主義的な外交の理由であるということが結論として導き出される。
それぞれの議論のベースとなる事実はいずれも若干なりとも中国の歴史を知っている人間であれば周知のものが過半であるが、このような一本だったストーリーで現代の中国政治を語る筆力は非常に分かりやすい。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章習近平という新しい皇帝の誕生
第2章皇帝の本質は秦の始皇帝に学べ
第3章前漢王朝が定着させた国不可無君
第4章中華思想に基づく歴史の法則とは
第5章なぜ蒋介石は皇帝になれなかったか
第6章皇帝政治の終焉を狙った鄧小平改革
第7章新皇帝率いる中国の戦略と日本の覚悟
おわりに
セントレアで出国前買った本。
長いあいだ読みかけ放置であったものを何気に読んだ。
言っていることは以前から言われていることなので
つまらなくて放置していたのだろう。
出版後4年して状況はどうなのか?と考えて
あまり大差ないと思う。
このコロナ禍の下、どのように考えるるのか。。。