【感想・ネタバレ】より良き死のために―――「死への準備教育」創始者が伝えたいことのレビュー

あらすじ

「死への準備教育」創始者が教える幸せに死ぬための哲学とは? 死を正面から取り上げることが日本でタブー視されていた50年以上前から「死の哲学」を説き続けてきた著者が、80代半ばとなり、自らの旅立ちのときを意識しつつ、私たちが身近な人や自分自身の死について準備すべきことを精神面と実生活面から教える。

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Posted by ブクログ

「死ぬときは、ぽっくり逝きたい」なんて言うのはやめよう

アルフォンス・デーケン、星野和子『より良き死のために—「死への準備教育」創始者が伝えたいこと』ダイヤモンド社. 2018年

先日著者の訃報記事を目にしたのだが、お恥ずかしながら、このデーケン氏のことは全く知らなかったが、上智大学でながく教鞭をとられ、日本における死生学の提唱者と知り、とても気になったので手軽に読めそうな本書を読んでみた。

というのも、上智大学新書シリーズで『「終活」を考える—自分らしい生と死の探求』(浅見昇吾編、2017年)をひょんな縁で読むことがあり、上智大学が中心となっている死生学の取り組みに興味があったからだ。この本を読んだのはちょうど祖母が亡くなってからだったので、いろいろ考えさせられた。答えを押し付けるのではなく、疑問や考えを膨らませてくれる良書だ。

さて『より良き死のために』は、著者の生涯の取り組みが凝縮された一冊でとても読みがいがあった。昔はうやむやになっていた余命宣告、死に寄り添うホスピスの取り組み、葬儀の様々なあり方の提案、(財産分与だけでなく)様々な遺言の仕方、死別した遺族の受け取り方、交通事故死の遺族と加害者の関係性・・・本書を読みながら、著者の死生学の取り組みによって、どれだけ日本における死の受け止め方が変わってきたのかが垣間見えた。日本における死生学の確立と普及に尽力された著者にはとても感謝しなければならい。

今まではなんとなく死ぬときは、あんまり苦しまずにぽっくり知らない間に死にたいと漠然と思っていたが、死を受け入れる前に死ぬとしたら、それはもっと悲しいことかもしれないと思えるようになった。

亡くなられてから、追悼記事でその業績の偉大さを知ったのはとても残念で、講演会などに行ってみたかった。そして著者自身は自身の死をどのように受け止めたのだろうか?

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2020年10月14日

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