あらすじ
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事故・技術者倫理・リスクマネジメントについて詳解!
本書は、技術者倫理、リスクマネジメントの教科書であるとともに、事故の発生について深い洞察を加えた啓蒙書です。技術者倫理・リスクマネジメントを学ぶ書籍の中でも、事故・事例などを取り上げ、その対処について具体的に展開するかたちをとっているユニークなものとなっています。
原発事故、スペースシャトル爆発、化学プラントの火災などを事例として取り上げ、事故を未然に防ぐこと、起きた事故を最小の被害に防ぐことなど、リスクマネジメント全体への興味が高まっている中、それらに応える魅力的な本となります。
第1章 技術者倫理はなぜ必要か?
第2章 リスクマネジメントとは何か
第3章 技術者と経営者
第4章 説明責任
第5章 危機管理
第6章 変更管理
第7章 事故とヒューマンエラー
第8章 製品事故と製造物責任
第9章 企業不祥事と技術者の行動
第10章 内部告発
第11章 技術者が期待されていること
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Posted by ブクログ
様々な事故事例の原因と技術者が取るべきであった対応や取った対応などを通じて、技術者倫理とリスクマネージメントのあり方をまとめた本。事例中心で分かりやすく感覚的に身につく部分もあると思う。
Posted by ブクログ
新しい技術を開発し実用化することは技術者の使命であり、誇りであり、技術者ならではの社会貢献である。そのために多くの技術者が昼夜を問わず研鑽を続けている。しかし、技術の世界に「完全」はない。世の中に役立てようと開発した技術が思わぬ結果を引き起こすこともある。そのような事態になったとき、いかに技術者が良心的であったとしても、社会の目は厳しい。
現代社会では技術者は大きな社会的責任を負わされており、リスクとリターンの狭間で思い悩むことも珍しいことではなくなった。そんなジレンマを抱える技術者に薦めたいのが本書である。著者は安全工学を専門とする中村教授であるが、かつては企業に在籍し、自身が設計したプラントで事故を起こした経験をもつ。本書ではご自身の他意見だけでなく、福島第一原発事故、JR西日本の脱線事故、三菱自動車のリコール事件等々、大きな社会的な注目を集めた事例をケーススタディとして技術者の倫理とリスクマネジメントの要諦を解説している。技術者のジレンマを身を持って体験されているだけに、その言葉は重く、技術者には深く響くだろう。
Posted by ブクログ
技術士による技術倫理書。
有機過酸化物によるメタノール蒸留塔爆発事故
福島第一原子力発電所の事故
スペースシャトルチャレンジャー号
シティーコープビルの強度補強
原子力発電所後発配管破裂事故
牛海綿状能症(BSE)
集団食中毒
JCO臨海事故
JR西日本福知山線脱線事故
医療事故
カビ取り剤
シュレッダー事故
自動回転ドア事故
シンドラー社エレベータ事故
三菱自動車リコール事件
パロマ工業瞬間湯沸かし器事故
食品不祥事
などなど、事件、事故について、詳しく、丁寧に調べている。
リスク管理に焦点をあてようとして、事故を防ぐのが、技術者倫理を鍵にしようとしている。
様々な事例があるが、技術者の責任記述と技術者に対する報償について触れていない。
倫理だけで一人歩きできるものではないと感じた。
「期待される技術者」には、責任と報償の組を提示するとよいかもしれないのではないか。
安全工学という分野の確立が、技術倫理だけに依存しない安全なシステムの設計、保守に役立つような気がする。
公益通報という仕組みを、安全工学の分野では補強するとよいかも。
福島原子力発電所事故では、
電源が喪失した場合の外部電源の確保(発電機のヘリコプタなどでの輸送)
水を喪失した場合の水の確保(海水を利用する場合の基準を含む)
倫理規定というよりは、技術規定ではないのか。
「情報提供者としての専門家の責任」では、「科学者は自説を主張することに留まり」とあるが、公的な試験研究機関では自説ではなく第三者の意見を述べる訓練を受けているはずのことを述べていないのはなぜだろう。
Posted by ブクログ
筆者は、もともと企業の研究者であったが、その後、大学教授となられた方。
様々な技術的事故を分析し、そのような事故を起こさないために、技術者はいかにあるべきか、を論じたもの。それが、書名の「技術者倫理」である。
扱っている事故は有名なものも多い。チャレンジャー事故、大震災時の福島第一原発、雪印食中毒事件、JR西日本福知山線脱線事故、三菱自動車リコール不正事件など。
ご本人が技術者だったからこそ、事故防止のために、技術者が、より大きな責任を追うべきとの考えは、ご自身の、技術に対する真摯さ、誠実さから。
ただ実際には、事故を防止できるかどうかは、その組織の総合力だと思う。営業も、マーケティングも、経営者も、企業風土も、あらゆることが実際には関係する。