【感想・ネタバレ】健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方 (BuzzFeed Japan Book)のレビュー

あらすじ

WELQ問題の火付け役 朽木誠一郎が語る
医療デマから身を守り、誰も騙されない世の中をつくるために今できること

ネット時代の今、私たちの「健康になりたい」という切実な想いが狙われています。
ウソや不正確な健康情報を粗製乱造するメディアたち、量産される健康本、健康食品ビジネスの闇。
さらには、高度に発達したテクノロジーにより手口が複雑化し、見分けるのがますます難しくなってきている医療デマ。

なぜ、私たちは医療デマに「騙され」てしまうのか、医療デマに「騙されない」ためにはどうすればいいのか――。

「WELQ問題」の火付け役となった著者は、医学部卒業後ウェブメディアの編集長を経て医療記者となり、
「ネット時代の医療情報との付き合い方」というテーマで取材を重ねています。
本書は、このテーマでの取材内容をまとめ、なぜ健康・医療に関してウソや不正確な情報、デマが発生しやすいのか、
それらから身を守るために今私たちにできることを紹介するものです。

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Posted by ブクログ

医療の世界に足を突っ込んでいるものとして、大変興味深く呼んだ。著者の書いている5W2Hは、自分ももう少し意識してみたい。一方で、自分は周りのリテラシーを上げていくのがまず大切と思っていたが、限界があるのだということも意識する必要があると感じた。今後も著者の所属するサイトはチェックしていこうと思う。

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2018年12月31日

Posted by ブクログ

医学部出身でこういう方がいると世の中頼もしい。
儲けようと思ったりズルしようと思ったりすればいくらでもできる世の中。
出版業界や医療業界も闇深い。

インターネットの情報は信用しすぎるなと言われて育ってきた世代で意識してはいるけれど、それでも見抜けていない自覚あり。なんとなくだったので、この本のおかげで頭のなかで整理できた。健康オタク目指す私も気をつけなきゃなーと

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2018年10月05日

Posted by ブクログ

「健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方」

医療デマは命にかかわる
 例1.ガン放置理論・・・標準治療を否定する
 例2.反ワクチン

つけ込まれる理由
・情報格差・・・医療についての情報には、医師などの専門家とそれ以外の人に大きな格差がある。悪意のある(ない人も多いと思うが)騙す人はこの格差につけ込んでデマを流す。騙されないようにするには知識が必要。

経済合理性が騙す人を生む
・売れるから作る。健康食品は健康になりたいという需要と、利益を見込めるから売るという供給で成り立っている。

経済合理性は医師に対しても働きうる
・転倒した子供がいたとして、頭を強く打った様子はないので、様子を見る判断をした時に、保護者が頭部CTを撮ってほしいと依頼した場合。撮影すれば被曝のリスクが僅かだがあるが、売上が上がるし、親からの要望という大義名分があるので、CTの撮影に踏み切ることは十分起こりうる。

ネット検索の弊害
・検索上位にデマ情報が並びえた。その最たる例がWELQ問題。WELQはSEO対策を駆使して自分たちのサイトを上位に表示させ、専門家でない人が書いた情報を流していた。しかも、記事の最後に当社は記事の正確性などに一切責任を負わないと書いていた。WELQには、記事広告の売上を伸ばすため、どれだけの人に読ませるかというノルマを課しており、正確な情報よりもより多くの人が目にするように不正確な情報が優先して掲載されていた。
 ・「がん」で検索すると、標準治療ではなく代替療法のサイトが1位に表示された時期があった。最近はgoogleアルゴリズムの改定があり、大学や公的機関の専門家が書いた信頼性が高く有益なサイトが上位を占めるようになっているが、完璧ではない。

既存メディアにも問題あり
・新聞やテレビの信頼性にも疑問がある場合がある。昨年、新聞に「医師の25%が抗癌剤治療に消極的」という見出しの記事が出たが、こういう強調の仕方は意外性をもたせたかっただけであり、読者に抗がん剤治療の不安を持たせる結果になるが、「医師の75%が抗癌剤治療に積極的」という見出しで書けば受け止め方はかなり変わるはず。しかも、「医師」と書かれていたうちの3割は薬剤師であった。

健康本の経済合理性 「売れるものを作る」
・出版社は売れそうな情報を売る。正しい情報は売れない。
 たとえば、「健康になりたければ野菜を食べなさい」という本では売れない。「健康になりたければ野菜を食べるな」のほうが売れる。
・出版業界は不況にあえいでおり、比較的売上を得やすい健康本を出版したがる。ありきたりなタイトルだと手にとってもらえないので、どうしても過激なタイトルになってしまう。医師が書いているからと言って、正確であるとは限らない。多くの編集者は、その医師の主張がどのくらい正しいのかを判断できない。

医療情報の正確性の判断 5W2H(何を、誰が、どこで、いつ、なぜ、どのように、いくら・どのくらい)を使う
1.【何を】禁止ワードによるチェック 「すぐに」「らくに」「だけで」など、簡単に健康になれると謳うものは信じない。「最新」「最先端」もそのまま受け取ってはいけない。
新しい治療が優れているとは限らない。
2.【何を】エビデンスのピラミッドを理解する。
 一番エビデンスが高いのは、メタアナリシスシステマティックレビュー、以下、ランダム化比較試験(RCT)、非ランダム化比較試験、コホート研究/ケース・コントロール研究、症例報告、論説・専門家の意見や考え、動物を使った研究、in vitroの研究の順。
3.【何を】因果関係なのか、相関関係なのかを見極める。たとえば、メタボ検診を受けている人はそうでない人と比べて長生きするというデータがあるが、メタボ検診を受けているから長生きする(因果関係がある)わけではなく、もともと健康に対する意識が高い人がメタボ検診を受けているから長生きしている(相関関係)ということがわかっている。「長生きの人は〇〇の習慣がある」という情報は、因果関係があるのか、ただの相関関係なのかを見極めなければいけない。
4.【誰が】誰が発信しているか。医師であっても専門医であるか否かは大事。厚生労働省、保健所、大きな病院などは専門性がある。製薬会社や民間の診療所は経済合理性が働いている可能性を考える。
5.【どこで】どこで発信された情報か。「Nature」や「Lancet」などの一流紙と日本の週刊誌だと正確性や社会的責任性は前者のほうが圧倒的に高い。
6.【いつ】いつの情報か。古い情報が出回っていることもある。たとえば、10年前の情報だと新しい情報に塗り替えられている可能性がある。
7.【いくら・どのくらい】高いものはいいものだと思っていると狙われる。数字にごまかされない。60%が有効と言っても、1000人のうち600人と5人のうち3人だとだいぶ違う。
8.【なぜ】なぜ発信された情報なのか。非営利の情報にみせかけた商品広告であることも少なくない。
9.【どのように】危険を煽るような伝え方に注意。どのように伝えるかは受け止められ方を大きく左右する。「〇〇は菌だらけ」と危険を煽る広告があるが、人間の体はそもそも菌だらけなので、おかしな話。
10.【どのように】リスクを正しく認識し、情報を正しく読み取るためには自分の中にある「好き嫌い」を疑う必要がある。自分たちが好ましいと思うものに対するリスクは軽く感じられ、好ましくないと感じているものに対するリスクは重く感じる傾向がある。

周囲からの誘惑を5W2Hとコミュニケーションで断ち切る
・周囲の友人や親戚に「あなたがやっている治療は毒だからすぐに止めなさい」「〇〇をつかえばもっとよくなる」などと不安を煽られたり、他の治療を勧められたりすることは少なくない。5W2Hを意識することと、納得の行くまで医師に相談して誘惑を断ち切る必要がある。判断つかなければ複数の医師に意見を求める。

エビデンスなど、科学を信じなくてはいけないのか
・1%もないような安全といわれる治療で重大な副作用を生じてしまった場合、科学を信じろという理屈は通じない。科学だけでは全員を救うことは出来ない。ときには科学的ではないもの(宗教など)を信じても良いと思う。しかし、非科学的なことが救える人を傷つけることもある(怪しい治療を信じてしまい、かえって命を縮めてしまうなど)は認識しなくてはいけない。科学を100%信じなくてもいいが、科学的に見えるデマに騙されないように知識をつける必要がある。

医療広告に対する規制が強まっている
・「虚偽、または客観的事実だと証明できないもの」「他との比較により自らの優良性を示すもの」「事実を誇張、または過度に強調するもの」「科学的根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度に煽るもの」は規制の対象。

【まとめ】 今、出来ること
1.健康になりたいという願望が狙われていることを自覚する。
2.リテラシー(5W2H)を身につける
3.情報収集源を精査する
4.リテラシーが全てではないことを肝に銘じる 科学は正義であると思いこむと痛い目にあう
5.声を上げる 医療デマは行政へ通報する

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2018年05月20日

Posted by ブクログ

「誰も医療デマに騙されることのない世の中」というのは、アスレティックトレーナーとしてブログで情報発信をしている一個人として私も強く願うもの。「格差があるところには必ずと言っていいほど医療デマが発生する」「『最新』の治療が『標準』の治療よりも優れているということでは消してない」「因果関係なのか相関関係なのかを疑うクセをつける」など、改めて情報発信をする責任と、読んでくれる人をより幸せにするという気持ちを忘れないようにしよう、と心に誓いました。

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2018年05月14日

Posted by ブクログ

BuzzFeed Japanの医療部門コーナーで記者をやっている朽木誠一郎さんが書いた一冊。
あやしい医療情報に対して丹念に取材を行い、その怪しさをひもといたり、そういう情報への精査の仕方も書いています。

医療デマがなくなるように、と書き始めた本ですが、その難しさや背景も後半で語っています。
正しさを伝えるだけでは、どうにもならないという難しさ、悩みも伝わり、考えさせられる部分もあります。

途中、出版業界においての健康本問題にもメスを入れています。
その途中で、出てくる本に関わる人たち(匿名が多かったけど)の悩みやつらさも、構造的な問題から出てきていることもあった。
また、そうしたことが表現の自由という正しそうな言葉でかぶしているが、国際人権規約から引いて”国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護の目的においては、表現の自由が制限される”という話も書かれており、情報発信(おもに出版に関して)に関わる立場としてもいろいろと考えないといけないと読み終えたあとに考えた一冊でした。

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2018年04月10日

Posted by ブクログ

とても良い内容だった。
以下はポイント。
ハッシュタグは今も生きている

第一章 健康になりたい人とそれを騙す人
・もっとも確からしいダイエット法は、「食事の節制」と「適度な運動」だけである

・機能性表示食品やトクホには、不十分とはいえ、一定の基準が存在するが、本当に注意が必要なのは、なんの基準もない、いわゆる健康食品

・「医療の不確実性」とは医療に100%はないという意味

・医師でもパターナリズムとインフォームド・コンセントの狭間で悩んでいる

・医師は「不完全な代理人」である
経済合理性は医師に対しても働き得る

・免疫療法は効果があるのと効果が証明されていないのがある。
「免疫チェックポイント阻害剤」は証明ありだが、免疫細胞療法、高濃度ビタミンC療法、温熱療法は証明なし

・キューブラーの「5段階モデル」
第一段階は「否認と孤立」
第二段階は「怒り」
第三段階「取り引き」
第四段階「抑うつ」
第五段階「受容」

・メディアは、経済合理性と無関係ではいられない

・正しい情報は売れそうに無い

第二章 ネットメディアと既存メディア、分かれた明暗
・健康本なんて9割ウソ
・出版社も経済合理性に巻き込まれている

第三章 クロを切り捨て、グレーを探る
・情報の見極めは5W2H。WHAT(何を)→WHO(誰が)→WHERE(どこで)→WHEN(いつ)→HOW MUCH(いくら)→WHY(なぜ)→HOW(どのように)

・WHAT(何を) スクリーニングを「禁止ワード」「エビデンスのピラミッド」「因果関係」で行う
「禁止ワード」の例「すぐに」「ラクに」「だけで」「最新」「先端」「奇跡」「生還」「聡明」「若々しさ」「高配合」「高濃度」「ポリフェノール」「オメガ脂肪酸」これらは「法律リスク回避」を狙った言葉
「エビデンスのピラミッド」のどこに位置するかを確認
レベル1 メタアナリシス システマティックレビュー 標準医療はこれを満たしている
レベル2 ランダム化比較試験(RCT)
レベル3 非ランダム化比較試験
レベル4 コホート研究 ケース・コントロール研究
レベル5 ケースシリーズ症例報告
レベル6 論説・専門家の意見や考え
それ以下 動物を使った研究 in vitro(試験管)の研究
「因果関係」が大事。相関関係に注意

・WHO(誰が)
個人の信頼性の確認方法
名前、プロフィール、資格、所属、これまでの実績
専門性について、国家資格の医師や看護師、薬剤師、管理栄養士など、もっとも信頼できるのは医師。医学博士は医師であることを意味しない
実績は学会発表であれば、日本医学会の128分科会のものかどうか、「Lancet」「Nature」といった有名どころに掲載されているか
社会的責任として、名前やプロフィール、所属をはっきり明かしているか

組織の信頼性の確認方法
厚生労働省や保健所、病院、製薬会社
行政に準じて信頼しやすい、民間クリニックはこれだけで判断しない

・WHERE(どこで)
発信する場によって信頼性の判断ができる。
ただ信頼性は相対的で、つど、検証が必要

・WHEN(いつ)
10年も経てば医学は進歩している

・HOW MUCH(いくら・どのくらい)
「先進医療」は厚生労働省がしているものと無いものがあり、指定しているものでも有効性が完全に証明されているわけではない
標準医療が最強
数字にごまかされないように注意

・WHY(なぜ)
なぜ発信されているかも信頼性を判断する材料。公共機関なら信頼性高い、民間団体はステマなどもあり注意が必要

・HOW(どのように)
どのように情報が伝えられるかで判断がかわる。感情はリスク認知に影響を与える

・「標準治療」は「最善の治療」
・医療者と積極的にコミュニケーションをとる。難しい時はセカンドオピニオンを求める。「がん拠点病院」などできるだけ専門性と社会的責任が大きいところでお願いする

第4章 それでも私たちは、「医療デマ」に巻き込まれる
・医療デマを信じ込むのは、普通の人
・健康・医療情報は複雑なもの。科学の言葉が通じなくなる背景は認識が必要
・科学と比科学というニ項対立的な分断を避け、コミュニケーションを図ることができるように、人と人とのつながりを残しておくことが大事
・フィルターバブルに注意。プライベートモードなどで比較を
・小林製薬は2018年にやらかしている
・相互監視がネット情報には必要

第5章 ネット時代の医療情報との付き合い方
・国立がんセンターは、「がん情報サービス」というサイトを運営している
・厚生労働省が運営している「医療機関ネットパトロール」というサイトで通報できる
・Twitterでリストを作るのがおすすめ、厚生労働省、東京都福祉保健局、世界保健機関といった公的機関や、日経メディカル、朝日新聞医療サイト「アピタル」、読売新聞yomiDr.(ヨミドクター)、バズフィード・ジャパン・メディカルなどの報道機関
・声を上げる先は、まずは行政がオススメ、各都道府県の薬務課や、消費者庁の消費者ホットライン、次に報道機関、匿名でも構わない
・「#情報のリレー」で書き込めば繋いでくれる

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2024年10月09日

Posted by ブクログ

文字通り、氾濫するメディアでの医療情報についての正しい取り扱い方を指南した一冊。

他の情報と異なり、医療情報は知識の非対称性(多くの一般人は医療知識にたけてない)があり、騙されやすいから、単に自分で調べるだけでなく、医師やセカンドオピニオンなどを通じて気を付けなければならない、ということを改めて感じた。

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2020年07月19日

Posted by ブクログ

☆本書のメッセージ
正しい医療情報を選択できる社会を作る

●読んだきっかけ
audiobookのセールに惹かれて

●本の概要
医療ジャーナリストである著者が、今日のメディアにおける誤った医療情報の氾濫について叙述。この問題を食い止めることの難しさについても述べながら、どのように医療情報と付き合っていけばいいかを語る

●本の面白かった点、学びになった点

*「ヘルスケア大学」を運営している、リッチメディア最低やん...。就活してたときに目立ってたけど、、やっぱ儲かって、自社が成長していくことにしか興味がない会社ってあるもんなんだな

*大学の研究教育で誤った情報の選択は防げるだろう
・著者は正しい情報を選択するための手法について様々書いているが、多くは大学の研究・レポート教育で行われることと一致する
・少なくとも、大学での研究教育が一般国民まで浸透すれば、防げるかもしれないが..
・誤った医療情報を信じ込むのは、そういったリテラシーがもともと低い層が多いため、なかなかに難しいかもしれない
*医療情報は、真摯に伝えようとすると、伝わりづらくなる。医療において絶対は存在しないため、明確に言い切ること、シンプルに表すことが難しい
→そういったところをついて、都合のいい、過度にシンプルな医療情報が人々の間で流行してしまう
*「健康になりたい」「痩せたい」「病気を治したい」そうした人々の根源的な欲求に付け込んで、金もうけをたくらむ企業は少なくない。エビデンスの弱い

*「絶対的」な証拠、というものは存在しない。したがって、情報の信頼性は、複数の観点から測るようにする。発信者、掲載媒体、引用があるか、記述の論理性など..

*医療情報の問題は、ネットメディアだけにとどまった話ではない。出版業界にも同じことがあてはまる
・売れることを優先し、過激なタイトルを付けた「健康本」が量産されてしまっている

*動物実験の信頼性は、かなり低い

*ネットの情報は、TwitterやSNSによっての自浄作用が働いた。出版業界はそれと比べてどうなのか?

●具体的なアクション&学んだことをどう活かすか
*陳腐なアフィリエイトメディアはできるだけ読まない。あてにしない
*過激で経済合理性に訴える本、甘い文言のタイトルな本は買わない
*情報の信頼性は、常に複数のエビデンスをもとに測るようにする

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2019年04月29日

Posted by ブクログ

実際のケース、企業名も実名で書かれており、著者の情熱と真剣さが伝わってきた。信頼できるソース。どんな情報もだけど、しっかり自分で考えて受けとめる過程がとても重要だとわかった。沢山の情報に溺れることなく取捨選択できるよう意識していこう。

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2019年03月27日

Posted by ブクログ

「デマで騙される人をゼロにしたい」というのは非現実的かと思うし、医学部出身の筆者とは医学の知識量も違えば医療に対する見方も違う。けれど、自分がこの種の問題を考える上では大いに刺激があった。

リテラシーを高めるということについて、筆者は懐疑的だ。だがメディアリテラシーというよりは科学や医学の基本的な考え方すら習得していない日本人が多いので、ここを改善できれば悪質なデマの流通は大幅に減るのではないだろうか。

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2018年11月07日

Posted by ブクログ

インターネット事業者なら2016年末におきた「WELQ問題」を知らない人はいないはずです。

本書の中では「医療デマ」という言葉を使っていますが、医療に関する信ぴょう性の薄い記事を大量につくって、グーグルなどの検索エンジン対策(SEO)をして、ウェブページに誘導することが大きな問題となりました。

これまでにも「この記事、本当かよ!」みたいなことがありましたが、人の命に係わる「医療」を題材にしていたことが何よりも問題視され、そこから芋づる式に「キュレーションメディア」と呼ばれている特定のテーマについて記事を大量に作る?作らせていたサービスが一気に問題視されました。

何が問題の中心か?と問われると要素が多すぎるので、そのあたりは本書に丁寧に書かれているのでどうぞ!(記事の信ぴょう性、不安をあおる、低賃金で記事を書かせるなど、これによっていろんなことが社会問題として取りざたされましたね)

で、結局何がダメなことで、誰が悪いのか?ということは分かるようで、分からないというのが正直なところだと思います。ということで、この「WELQ問題」をスクープした本人が書き起こしたこの本を読んで全体像をつかんでみると、また捉え方も変わると思います。

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2018年04月04日

Posted by ブクログ

著者は医学部出身でありながら、ジャーナリストの道を進んだ異色の経歴。

DeNAのWELQ問題を世に問うた、火付け役としても有名です。

その強みを活かして、世の健康・医療関連の本やコンテンツの中には、いかにトンデモ情報が蔓延されているか?それらがいとも簡単に信じられてしまっているか?のメカニズムに言及しています。

コンテンツの発信者にとして読むと、実に身の引き締まる(牽制機能、自浄作用)内容。

医療情報だけでなく、金融系情報も当てはまりますね。

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2018年03月26日

Posted by ブクログ

情報を「疑う」「調べる」「比べる」ことは容易なことではない。だから、ジャーナリストいる。

メディア、行政、企業が暴走しないように「相互監視」が必要。誤報・デマなどの「通報」をしやすくする。

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2021年07月21日

Posted by ブクログ

医療系の情報は専門度が高く、医師でも専門外のこととなると間違えるレベル。医療関連の記事を量産するということは、相当なスキルと知識を持った人が大量に従事していることになる。
その前提に立つとコンテンツビジネスとしては成り立たない。
そのため、法に触れない範囲でライトな記事を安く量産することになるのだが、検索エンジンの仕組みも相まって、そうした低品質の記事の方が人の目に触れる機会が多いのが現状。
一方で受けても分かりやすい情報に飛びつきやすいので、ビジネスとして成立している背景もある。そこそこの知識を持つ人ですらデマに騙されることは多々ある。

検索エンジン、そこに乗っかるプラットフォーム、精製されるコンテンツとしての記事、受けてのリテラシーと要因が多々あるので、すぐに現状が変わるのは難しいが、相互監視を行い、ジャーナリズムを適正化することで、少しでも状況を変えていこうという意志が感じられた。

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2019年08月21日

「暮らし・健康・美容」ランキング