あらすじ
○19万7000部のベストセラーとなった『リンゴが教えてくれたこと』の続編。
著者の木村秋則さんは、人生を振り返ると、常にアゲンストの向かい風と戦い、
毎日がドラマのような生活だったという。
とりわけ、無肥料・無農薬のリンゴ栽培に挑戦したことから
壮絶な人生が始まった。
○ほとんど収入のない時代が約10年続いたあとの1988年、
畑のリンゴの花は満開となった。
著者の成功は数々のメディアで取り上げられ、映画にもなったが、
実は著者の苦悩はその後も続いた。
○2010年、木村さんを支えてきた妻が、過労がたたって倒れ、即入院となった。
そして、木村さん自身も15年末頃から体調悪化に苦しみ始めた。
そして2016年10月、胃がんを診断され、手術。胃を全量摘出した。
さらに講演や農業指導で全国を飛び回るうち、
リンゴ畑の手入れが行き届かなくなった。
異例の大寒波もあって、生産量は激減した。
○一方で、ずっと向かい風の中にいた著者には、
フォローの風も吹き始めている。
大きな幹になりつつあるハンディキャップを抱えた人たちとの
「農福連携」活動が全国に広がっている。
米国やオーストラリアなどでは、木村式の自然栽培が
「AKメソッド」として知られるようになっている。
本書では自然放牧による牛乳生産を行っている中洞正さんとの対談も収録。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
農業の域に留まらず、人生の苦難を如何に乗り越えるかという意味でも非常に有意義に読みました。
農作業や講演で多忙にもかかわらず、多方面に渡る勉強熱心さや興味を見習いつつ、一貫して強い精神力を感じます。
ご本人や家族の病によって苦しみながら模索する描写から、農業の経営以上に人としてどのように心を保ち生きるかを学びます。
「心が先で技術はあとから付いてくる」と印象深く大事な言葉を見つけ、現代の日本社会の中で利便性を追求し過ぎていないだろうか、とにかく“心”なのだと感銘します。
何度も絶望しそうになりながらも起き上がる心の強さを尊敬し、少しでもその強さに近づくようにと心に言い聞かせました。
Posted by ブクログ
〖本から〗
糸川英夫博士
「既存の考えをみんな捨てなさい。風が頭をすり抜けるくらい空にしなさいそうれば必ず答えがあるよ」
「誘蛾誘殺法」
リンゴ等の果実をアルコール発酵させた液に入れたバケツを、木の枝につるしておくと、蛾はバケツに誘い込まれて駆除することができる。バケツは、小さなおもちゃのもので充分だ。赤や黄色の暖色系を選び、人間の目の高さに吊ると効果がある。
自然栽培というのは、単に農薬と化学肥料を使わない栽培ではない。根本には土の偉力があり、それは無尽蔵、無限の可能性を秘めているということだ。土の中に雑草があり、雑草の中には様々な生き物が生息しており、それらが活動して食料を生産してくれる。
私はいつも自分の手と目が肥料であり、農薬であると言っている。これには骨身を惜しむなという意味もある。観察眼が必要だということだ。
Posted by ブクログ
1949年生まれ、木村秋則さん(私と同い年です)「リンゴの花が咲いたあと」、2017.12発行です。無肥料・無農薬、自然栽培でリンゴを栽培する人生を語った書であり、また著者の半生を綴った自伝の書です。2016年10月胃がんの手術後は体重が29kgだったとか。「奇跡のリンゴ」出版後は、国内外、1年で220日以上の講演だそうです。沢山の人々との出会いを語ってられます。東京への列車で永山則夫と隣り合わせむすびを分けて食べたこと、2005年岩合光昭さんがリンゴ園の猫に会いに来て、「リンゴの話を本に」がもとで、その3年後に「奇跡のリンゴ」が生まれたこと、「愛知県のトヨタの豊田ですが」とリンゴの注文をいただいたこと、ダライ・ラマ十四世から仏像が届いたこと など。